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第141話 デート3

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「終わってしまった…」

僕は最寄り駅で降りてから、独り言を吐いていた。
何が終わったのか、それは今日のデートが終わってしまったという意味だ。今日の昼頃までは良い雰囲気だったんだけど、なぜかその後はそのままだった。そのままと言うのは良い雰囲気のまま終わったのだ。そう、終わってしまったんだ。

「どうして何も出来なかったんだ。男として悲しい限りだ」
独り言が止まらない。
でも、落ち込んでもいられない。今日ことを繰り返さないようにする。それが今の僕に出来る唯一の方法だ。
僕は駅のホームのトイレから肩を落としながらトボトボと出た。

「遅かったね」
「不ぇい?」
「…どうしたの?」
トイレから出てきた僕の目の前に真城さんの姿がそこには在った。

こ、これはもしかして…
…延長戦か!!

神が与えてくれたチャンスなのか!

ありがとう神様! 仏様! そして。
「お天道様!」

「お天道様? もう出てないけど?」

「あ、ほ、ホントだね…」
ヤバイ口に出てたらしい。怪しまれただろうか。いきなりチャンスを失うところだった。
もう陽は沈み、その代わりに月が輝きを放っていた。
時間で言うともう夜の7時と言ったところだ。どうしてそんな時間まで一緒なのかと言うと、ただ単に水族館に居過ぎただけ。だから、遅くなってしまい、そして、何も考えずに一緒に電車に乗ったので降りる駅も一緒になってしまった。
こうして、遅くなったら男が送っていく。当然の結果となった理由で…

涼しい風が僕達に吹く中、二人の間には静かな時間が過ぎていた。
どうして僕達が会話をしないのかと言えば、話すことがないというのもあるが、ただ今日は疲れているからと言うのが一番の理由だろう。
実を言うと、今すぐにでも帰って風呂に入って自分のベットで寝たいくらいに疲れている。

そんなことを考えながら歩いていると、真城さん家の近くまで来ていた。
でも、その家の近くにはあるいわく付きの建物が…

「こ、怖いなここ…」
そう言って建物に目をやる。すると、廃墟かと思われていたその建物に明かりが付いた部屋があった。
「誰か住んでるんだ…」
「そのようね」
どんな人が住んでるのか気になった。しかし、行くのは怖いから止めておこう。
すると真城さんが、「行こうか」と言うので、僕は頷いて真城さんの後を追った。

…って待てよ!
「どうして、そっちに行くの。ま、まって~」
真城さんは明かりのついた部屋に向かって歩き始めた。僕の制止も聞かずに…
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