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第37話 誘拐2
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「おい、ヴェロニカを置いてきてよかったのか?いつも一緒なんだろう?」
と女騎士は走りながら、勇者に尋ねた。
「いつもじゃない。学園にいるときだけだ」
「そうなのか?町で一緒にいるところを見たという情報があるんだがな」
そういえばそんなこともあったな。忘れていたが。たしか勇者殺しに初めて襲われた日のことだ。
「そんなことよりももう一人の勇者は呼ばなくていいのか?」
「ん?そういえばそんなやつもいたな」
「おい」
女騎士は惚けていた。本当に忘れていたのだろうか?
「まぁ、アイツは勇者殺しにも狙われないくらい弱いから、呼んだところで意味があるとは思えないが」
「それでも呼んだほうがいいだろう。戦力は多いほうが、言い訳だし」
「分かった。ならば洞窟に向かう前に探すか?」
探す?いつも城にいるのではないのか?
町で見たことないぞ。
「城にはいなかったかたな。どこにいるのやら。見当もつかない」
「なら、俺を洞窟に案内してから、探してくれ。その方が早い」
「分かった」
女騎士はそういうと、洞窟に一直線に向かった。勇者も後を追う。
「おいまだなのか?はぁ、はぁ、はぁ…」
と勇者は息を切らしながら、息を切らさない女騎士に尋ねる。
一体どういう体作りしているんだ、こいつは。
「まだ、もうちょっと先になる」
「まじか……少し休憩しないか?」
と勇者は弱音を吐く。
だが
「何を言っているんだ!姫様がさらわれているんだぞ!休憩などしている暇があるわけないだろう!」
「そうだけど……」
「それに今は姫様と勇者殺しが一緒に居るんだぞ。あんな可愛い姫様を独り占めしているなんて、一分一秒でも許す訳にはいかない」
何か燃えてるぞ。
そこまで姫様を独り占めされているのが、気に食わないらしい。
「分かった。急ごう」
これ以上おかしな事を言うと、何言われるか分からんからな。
「着いたぞ。ここが例の洞窟だ」
と女騎士と共に走って20分の場所にあった。
洞窟の入り口には、文字が書かれた看板があった。
多分、洞窟であることが書かれているのだろう。
と、読めない文字を見ながら、勇者は考えていた。
「よし、入るぞ」
「分かった」
洞窟の奥は暗く先は見えない。奥からは風の吹く音が聞こえる。
どうやら洞窟は目に見える終わりはなく、奥に続いていると思われる。
勇者は洞窟の中に足を踏み入れる。
暗いと思われた洞窟だったが、入り口より先に進むに連れて明るくなっていた。
壁にはたいまつが取り付けられており、足元から洞窟の奥まで見える。
押元は乾いており、足音が洞窟内に響く。
少し進んだ勇者は、足を止めた。
カツカツ。
と勇者のものとは違う足音が、後ろから近付いてきた。
勇者は振り返る。
「何、やっているんだ?お前」
振り帰った勇者の目の前には女騎士が忍ぶことすらせずについてきていた。
「何ってきまっているだろう。姫様を助けに来たに決まっている」
と胸を張る。
「いや、それは分かるんだけど、紙に書かれていたこと覚えてるか?紙には勇者一人でこいと書かれていたんだぞ!その意味が……」
「それはもちろんだ。覚えているが、それでもついてきた。私もいてもたってもいられないんだ。姫様に何かあっては困る」
いや、それなら姫がさらわれる前にどうにかしろと言いたいが……
あれ……?
「どうした勇者?考え事か?」
と女騎士は尋ねる。
「なぁ、もう一人の勇者探す約束だったよな?そっちはどうなったんだ?」
「ぎくっ!?」
「擬音が口に出てるぞ」
動揺を見せる女騎士。
「あんな奴よりも私が一人いるほうがマシだと判断したまでだ」
と開き直り、自分の行動を正当化しようとし始めた。
女騎士の意見も分かるが……
「それでも探すべきだ。それに、勇者一人で来いとのことだった。姫様を人質に取られた今、勇者殺しの言う通りにするべきだと思う」
と勇者は女騎士を説得する。
女騎士は少しの間考える。
そして、しぶしぶ納得した様子で、洞窟の出口に向かう。
「姫様の事を頼んだぞ」
そう言い残して、その場を去っていった。
さて、行くか。
勇者は、洞窟の奥に向かって歩き始めた。
と女騎士は走りながら、勇者に尋ねた。
「いつもじゃない。学園にいるときだけだ」
「そうなのか?町で一緒にいるところを見たという情報があるんだがな」
そういえばそんなこともあったな。忘れていたが。たしか勇者殺しに初めて襲われた日のことだ。
「そんなことよりももう一人の勇者は呼ばなくていいのか?」
「ん?そういえばそんなやつもいたな」
「おい」
女騎士は惚けていた。本当に忘れていたのだろうか?
「まぁ、アイツは勇者殺しにも狙われないくらい弱いから、呼んだところで意味があるとは思えないが」
「それでも呼んだほうがいいだろう。戦力は多いほうが、言い訳だし」
「分かった。ならば洞窟に向かう前に探すか?」
探す?いつも城にいるのではないのか?
町で見たことないぞ。
「城にはいなかったかたな。どこにいるのやら。見当もつかない」
「なら、俺を洞窟に案内してから、探してくれ。その方が早い」
「分かった」
女騎士はそういうと、洞窟に一直線に向かった。勇者も後を追う。
「おいまだなのか?はぁ、はぁ、はぁ…」
と勇者は息を切らしながら、息を切らさない女騎士に尋ねる。
一体どういう体作りしているんだ、こいつは。
「まだ、もうちょっと先になる」
「まじか……少し休憩しないか?」
と勇者は弱音を吐く。
だが
「何を言っているんだ!姫様がさらわれているんだぞ!休憩などしている暇があるわけないだろう!」
「そうだけど……」
「それに今は姫様と勇者殺しが一緒に居るんだぞ。あんな可愛い姫様を独り占めしているなんて、一分一秒でも許す訳にはいかない」
何か燃えてるぞ。
そこまで姫様を独り占めされているのが、気に食わないらしい。
「分かった。急ごう」
これ以上おかしな事を言うと、何言われるか分からんからな。
「着いたぞ。ここが例の洞窟だ」
と女騎士と共に走って20分の場所にあった。
洞窟の入り口には、文字が書かれた看板があった。
多分、洞窟であることが書かれているのだろう。
と、読めない文字を見ながら、勇者は考えていた。
「よし、入るぞ」
「分かった」
洞窟の奥は暗く先は見えない。奥からは風の吹く音が聞こえる。
どうやら洞窟は目に見える終わりはなく、奥に続いていると思われる。
勇者は洞窟の中に足を踏み入れる。
暗いと思われた洞窟だったが、入り口より先に進むに連れて明るくなっていた。
壁にはたいまつが取り付けられており、足元から洞窟の奥まで見える。
押元は乾いており、足音が洞窟内に響く。
少し進んだ勇者は、足を止めた。
カツカツ。
と勇者のものとは違う足音が、後ろから近付いてきた。
勇者は振り返る。
「何、やっているんだ?お前」
振り帰った勇者の目の前には女騎士が忍ぶことすらせずについてきていた。
「何ってきまっているだろう。姫様を助けに来たに決まっている」
と胸を張る。
「いや、それは分かるんだけど、紙に書かれていたこと覚えてるか?紙には勇者一人でこいと書かれていたんだぞ!その意味が……」
「それはもちろんだ。覚えているが、それでもついてきた。私もいてもたってもいられないんだ。姫様に何かあっては困る」
いや、それなら姫がさらわれる前にどうにかしろと言いたいが……
あれ……?
「どうした勇者?考え事か?」
と女騎士は尋ねる。
「なぁ、もう一人の勇者探す約束だったよな?そっちはどうなったんだ?」
「ぎくっ!?」
「擬音が口に出てるぞ」
動揺を見せる女騎士。
「あんな奴よりも私が一人いるほうがマシだと判断したまでだ」
と開き直り、自分の行動を正当化しようとし始めた。
女騎士の意見も分かるが……
「それでも探すべきだ。それに、勇者一人で来いとのことだった。姫様を人質に取られた今、勇者殺しの言う通りにするべきだと思う」
と勇者は女騎士を説得する。
女騎士は少しの間考える。
そして、しぶしぶ納得した様子で、洞窟の出口に向かう。
「姫様の事を頼んだぞ」
そう言い残して、その場を去っていった。
さて、行くか。
勇者は、洞窟の奥に向かって歩き始めた。
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