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84話 ジークムント3
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「おかえり」
イケメンが温かく迎えてくれる。
不思議に感じていてもおかしくないと思っていたのに、そんな考えは間違いだった。不思議だと感じても、その事について聞かない……まさか、そこまでイケメンだとは。ほんと助かる思いだ、こっちとしては。
「ごめん、それで話に戻るんだけど」
と戻るや否や話に入る。イケメンもにこやかにハミカミながら「うん、なにかな」と言っている。まるで何事もなかったのようだ。
僕なら気になって、なにを言おうとしてたのか、なにを隠しているのか問い詰めてしまいたくなる場面。
イケメンはそれをスルーできるとは、いやはや出来が違う。
「それで、聞きたいことなんだけど、ジークムントって奴知ってるかな?」
「ジークムント……君からその名前が出るとはどういうこと?」
そこは尋ねるのだな。スルーしてほしい。
「ジークムントって人が、強い魔力を持ってると聞いて、一応危ない人なんだろう? 知っててもいいかなって」
「確かに、強い魔力を持っているからね。八雲くんに匹敵するか、それ以上だ。俺でさえ、近くのが難しいからね」
と肩をすぼめるイケメン。
近づくことができないとは、それだけ魔力が強いって事を意味している。
「ジークムントって人がどの人なのか教えてほしいんだけど、今なら何処にいるかな?」
「ジークムントは、普段から1人でいることが多い。何処にいるかは分からないけれど、見た目は白い長髪で黒い鎧を着た男の人だ。見ればすぐにわかると思うよ」
白い髪に長髪、黒い鎧でぼっち……
と脳内にメモをしていく。
取り敢えず、特徴さえ分かればこっちのものだ。ゲートを探すよりも簡単だろう。
「ありがとう、これさえ分かれば、自分で探してみるよ」
「お役に立てたようで何よりだ」
僕はイケメンに感謝を伝えて、握手を交わす。
「それよりもどうして翔子は口にバッテンマークをつけているんだい?」
「えっ?」
振り向き確認すると確かに口元にバッテンマークが貼られている。おいおい、僕が張ったみたいに思われるだろう……
「さぁ……」
一応知らないふりをしておく。
僕はやってないからな。
イケメンが温かく迎えてくれる。
不思議に感じていてもおかしくないと思っていたのに、そんな考えは間違いだった。不思議だと感じても、その事について聞かない……まさか、そこまでイケメンだとは。ほんと助かる思いだ、こっちとしては。
「ごめん、それで話に戻るんだけど」
と戻るや否や話に入る。イケメンもにこやかにハミカミながら「うん、なにかな」と言っている。まるで何事もなかったのようだ。
僕なら気になって、なにを言おうとしてたのか、なにを隠しているのか問い詰めてしまいたくなる場面。
イケメンはそれをスルーできるとは、いやはや出来が違う。
「それで、聞きたいことなんだけど、ジークムントって奴知ってるかな?」
「ジークムント……君からその名前が出るとはどういうこと?」
そこは尋ねるのだな。スルーしてほしい。
「ジークムントって人が、強い魔力を持ってると聞いて、一応危ない人なんだろう? 知っててもいいかなって」
「確かに、強い魔力を持っているからね。八雲くんに匹敵するか、それ以上だ。俺でさえ、近くのが難しいからね」
と肩をすぼめるイケメン。
近づくことができないとは、それだけ魔力が強いって事を意味している。
「ジークムントって人がどの人なのか教えてほしいんだけど、今なら何処にいるかな?」
「ジークムントは、普段から1人でいることが多い。何処にいるかは分からないけれど、見た目は白い長髪で黒い鎧を着た男の人だ。見ればすぐにわかると思うよ」
白い髪に長髪、黒い鎧でぼっち……
と脳内にメモをしていく。
取り敢えず、特徴さえ分かればこっちのものだ。ゲートを探すよりも簡単だろう。
「ありがとう、これさえ分かれば、自分で探してみるよ」
「お役に立てたようで何よりだ」
僕はイケメンに感謝を伝えて、握手を交わす。
「それよりもどうして翔子は口にバッテンマークをつけているんだい?」
「えっ?」
振り向き確認すると確かに口元にバッテンマークが貼られている。おいおい、僕が張ったみたいに思われるだろう……
「さぁ……」
一応知らないふりをしておく。
僕はやってないからな。
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