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70話 洞窟(八雲視点)

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ボクと結城は洞窟に来ていた。
目的はこの洞窟にいるという女に会いに来たのだ。
ブラン……魔力がボクよりも強いという化物。人の姿をしているだけで、恐ろしい存在だ。
結城は一切危機感を感じていないようだ。結城がいつ襲われてもおかしくないのに。
そんな友達を危険人物と一緒に居させる事は、友達として阻止しなければならない。目的を聞き出して、結城を利用させるのを阻止する。

「おーい、ブラン!」

結城は大きな声を出す。
こいつ何処でもこんななのか。
洞窟に結城の声が響き渡り、反響する。もっとうるさく聞こえる。

「なんじゃ、大きな声で呼ばんでも分かっておる」

結城が呼んで直ぐに、少女は顔をだした。どうやら近くにいたらしい。
まだ、洞窟の深部には到達してないから、待っていた可能性もあるな。

洞窟は暗くて分からなかったが、少女が洞窟に灯をともした。光の魔法か。

「それで、そいつは何者じゃ?」

「そうだ、今日は僕の友達の八雲を連れて来たんだ」

と結城はニコニコと話す。
「よろしく頼む。八雲だ」
ボクは一応名を名乗る。
「ブランだ。よろしくの」
何だこのミスマッチな喋り方は。
まるで年寄りみたいな喋り方なのに、見た目は少女。白い服に長い藍色の髪が特徴的な、不思議な少女。
喋り方といい、見た目といい、魔力といい、全てが不思議な存在だ。

「しかし、八雲とやら、よくわちの近くに居ても平気でおられるの?」
「本当だ、どうして何ともないの八雲?」

2人は不思議そうにボクの事を見る。
よく見れば分かるだろうに。

「見れば分かるだろ。特にブランとやら」

ボクは少女の実力を図るために問題を出した。
女は考えるそぶりも見せずに、ニヤリと笑った。

「なるほどの。結界じゃな」
「正解だ」
「結界?」

1人だけ首を傾げているのは結城だった。真横では分かりにくいのだろう。
それに結界と言うものを知らないからでもある。

「ボクは今、自分の周りに結界を張っている。外部からの魔力や衝撃を防ぐ効果がある」

「そうなんだ。あ、だからブランの近くに居ても平気なんだ」

「そう言う事だ。まぁ、結界を張れる時間は決まっているからゆっくりしているとボクは死んでしまうがな」

とふっ、と笑いながら言った。
実際、魔力が尽きた時点で、僕は結界を失い目の前の女の魔力を浴びて死んでしまう。

「そうか、いいこと聞いたぞ、八雲とやら」

さっきからニヤニヤが止まらない女が目の前にいた。やはり、危険人物とと言うわけか。

「こら、ブランそんなこと言ったらダメだろう。八雲にとっては命に関わることなんだから」

と結城は突然ブランの事を怒った。
すると、さっきまでにやけていたブランが今度は、慌ててアワアワしはじめた。何事だ。

「分かっておる、じょ、冗談じゃ!冗談!! ちょっとからかっただけじゃ。そない怒らんとってくれなのじゃ」

急に叱られる子供のように言い訳をし始める。
本当に何事だよ。
ボクはこの2人の関係性が分からなかった。
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