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44話 洞窟の中3

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「おいおい、マジかよ」

洞窟の奥に着いた。
そこには異様な檻があり、僕を驚かせた。
こんな洞窟の中に檻があるなんて、予想していなかったからだ。
檻の中には何がいるのだろう。
多分、魔力を放つ存在がそこにいるに違いない。

でも、心情は最悪だった。
僕は洞窟の奥に檻があった事に、酷く残念な気持ちになっている。

檻があるという事は、生き物が魔力を放っているという意味に違いない。

勇者の剣や魔力を宿した武器やアイテムがあると思っていた。
それを使って僕はこの洞窟から出る算段だったからだ。
しかし、そこには檻がある。
それだけで武器やアイテムでないと言う事が分かる。
魔力を放った存在が生き物だとしたら、解き放った時点で僕の身が危ない。

一番最悪な状況という事だ。

まぁ、一応声かけしてみるか…
僕は息を吸う。
そしてこう言うのだ。こんにちは、とな。
さて言うぞ。獣の声が返ってこない事を祈るのみだ。

すぅー。
はぁー。
よし。

「お主は誰じゃ」

「えっ」

僕は言葉を発しようとしたタイミングで、檻の中から声が聞こえて来た。
意気込むでいたこともあり、変な声が出てしまう。

檻の中からだよなぁ…
しかも、その声は女の子の声だと感じた。
一体どういうことだ。

この奥にいるのは、女の子? という事なのだろうか?
しかし、それならばどうしてそこにいるのだろう。
洞窟の奥に囚われた女の子とは一体…なんだ。

「おい、そこにいるのだろう? わしの声が聞こえているかの?」

返事をしなかった僕に、返答を求めてくる。

まずい返事を返し忘れていた。

「あ、はい、聞こえてます…」

「そうか。こっちに来るがいい。こっちは暇で死にそうじゃ」

なんだこの老婆の様な喋り方は…
でも、声は若い女子の様なんだよなぁ。

謎は深まるばかりだ。
仕方なく僕は声の主に誘われるままに、檻の中に入ることにした。

ガチャガチャ。

「あれ、鍵掛かってる?」

それはそうか。檻なんだもんな。
外側から鍵掛かってるよな。

檻の入り口には南京錠が取り付けられている。
当然鍵など持ってはいない。

「すみません、鍵がかかってるみたいなんですけどー」

「鍵なら右壁の中じゃ」

「右の壁の中?」

僕は言われるがまま、右の壁に近づいた。

そして、壁を見つめる。

もしかして、掘れとでもいうのだろうか…
僕はそう思いながらもよく観察した。

するとそこには不自然な切り込みが入っている部分を見つけた。

まさか…これか。

僕は切り込みの入っている壁の一部に手を触れる。
カコッという音と共に壁の一部が外れるのを感じた。

外れた壁には窪みができ、そこに打ち付けられた釘に鍵が一本ぶら下がっていた。

どうやら、これが檻の南京錠を外す鍵の様だ。

僕はその鍵を持って南京錠の元に行き、鍵を南京錠にはめて回した。

カチッという音がなる。
南京錠は外れた。
これで檻の中に入れる様になる。

恐る恐る、檻の中に入る。
そこには声の主が待っていた。
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