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28話 相棒
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自室に戻ってきた僕は、買ってきた銃を磨き始めた。
汚れがひどかった銃は見る見るうちに、綺麗になっていく。
さすがに分解して掃除をしてしまう勇気は僕にはなく、使えなくなったら仕方ないと思っていた。もし分解して使えなくなってしまったら、萎えるので、内部に異常がないことを祈るのみだ。
「よし、綺麗になったな」
銃は、片手で持てる銃。いわゆるリボルバーと呼ばれるものだ。少し試し打ちをしてみたい気持ちがあったが、室内や城内でぶっ放すわけにもいかないし、弾も限りがある。そう問題は弾が6発しかないことだ。遊びで使うわけにはいかない。
店主のおっちゃんの話では、この世界で銃の弾は自分の魔法で生産できるといっていた。
だけど、僕にはその力がない。そう僕には…
僕は自室を出ると、大切に懐に隠した銃を持ち、図書館に向かった。そう八雲に会いに行くためだ。
図書館に入るとやはり八雲がいた。ほほう…
僕は何を思ったか、弾を入れていない、銃を持ち、八雲に銃口を向けた。
「手を上げろ! お前はすでに包囲されている!!」
「どうしてボクが悪者の方なんだ…」
呆れたように言葉を発した八雲は、僕の手元をみて銃口を向けられていると知った。
「それはおもちゃか?」
「残念、本物だ!」
「嬉しそうだな…そして、怖いからこっちに銃口を向けるな、犯罪者」
「犯罪者じゃねーよ!」
「銃刀法違反だ」
「残念でした、この国にそんな法律はねーよ! そうこの国では合法的に銃を持つことができるのだ!!」
「楽しそうだな」
八雲はやはりテンションが低い。どうしてそれほど低いのだろう。僕はこんなにテンションが高いというのに。
「そうだ、八雲頼みがあるんだけど…」
「頼み? 聞いてやっただろ。茶番に付き合ってあったではないか?」
「それは頼んでない。それじゃなくて…実は、弾を作ってほしいんだ」
「弾? 魔法で作れというのか? このボクに?」
「そうそう、実はさ~、この銃の弾が6発しかないんだ。これ売ってくれた店主のおっちゃんが、弾は今は魔法で作れるから、ほとんどないっていててさ~。でもさ、僕ってあれじゃん、魔力ないじゃん! だから、優秀な八雲君に頼めないかな~て思って…」
「はぁ~」
ため息が深い。八雲の答えはなんだ。どっちだ。
「……」
僕は八雲に拝む。
「はぁ~。仕方ないな。少しならいいぞ」
「やった~! ありがとう八雲!! 持つべきは友達だな!!」
八雲の手を握って感謝を伝えた。
「おい、辞めろ…握るな…」
八雲は僕の感謝を拒む。そこまで強くない力で、僕を押しのけようとする。
仕方ないので、放してやる。
「これが弾なんだけど、これがあれば複製ってできる?」
「あぁ、多分な」
八雲の手に弾を1発渡す。受け取った弾を持って、八雲はじろじろと観察している。材質や質感、大きさなどを図っているのだろうか…僕にはさっぱりわからない。
「ちょっと時間くれ」
「分かった」
僕は、図書館の隅の椅子に座った。さて出来上がるのを待つか…
と考えている間に、うとうとしてしまった。
汚れがひどかった銃は見る見るうちに、綺麗になっていく。
さすがに分解して掃除をしてしまう勇気は僕にはなく、使えなくなったら仕方ないと思っていた。もし分解して使えなくなってしまったら、萎えるので、内部に異常がないことを祈るのみだ。
「よし、綺麗になったな」
銃は、片手で持てる銃。いわゆるリボルバーと呼ばれるものだ。少し試し打ちをしてみたい気持ちがあったが、室内や城内でぶっ放すわけにもいかないし、弾も限りがある。そう問題は弾が6発しかないことだ。遊びで使うわけにはいかない。
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だけど、僕にはその力がない。そう僕には…
僕は自室を出ると、大切に懐に隠した銃を持ち、図書館に向かった。そう八雲に会いに行くためだ。
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僕は何を思ったか、弾を入れていない、銃を持ち、八雲に銃口を向けた。
「手を上げろ! お前はすでに包囲されている!!」
「どうしてボクが悪者の方なんだ…」
呆れたように言葉を発した八雲は、僕の手元をみて銃口を向けられていると知った。
「それはおもちゃか?」
「残念、本物だ!」
「嬉しそうだな…そして、怖いからこっちに銃口を向けるな、犯罪者」
「犯罪者じゃねーよ!」
「銃刀法違反だ」
「残念でした、この国にそんな法律はねーよ! そうこの国では合法的に銃を持つことができるのだ!!」
「楽しそうだな」
八雲はやはりテンションが低い。どうしてそれほど低いのだろう。僕はこんなにテンションが高いというのに。
「そうだ、八雲頼みがあるんだけど…」
「頼み? 聞いてやっただろ。茶番に付き合ってあったではないか?」
「それは頼んでない。それじゃなくて…実は、弾を作ってほしいんだ」
「弾? 魔法で作れというのか? このボクに?」
「そうそう、実はさ~、この銃の弾が6発しかないんだ。これ売ってくれた店主のおっちゃんが、弾は今は魔法で作れるから、ほとんどないっていててさ~。でもさ、僕ってあれじゃん、魔力ないじゃん! だから、優秀な八雲君に頼めないかな~て思って…」
「はぁ~」
ため息が深い。八雲の答えはなんだ。どっちだ。
「……」
僕は八雲に拝む。
「はぁ~。仕方ないな。少しならいいぞ」
「やった~! ありがとう八雲!! 持つべきは友達だな!!」
八雲の手を握って感謝を伝えた。
「おい、辞めろ…握るな…」
八雲は僕の感謝を拒む。そこまで強くない力で、僕を押しのけようとする。
仕方ないので、放してやる。
「これが弾なんだけど、これがあれば複製ってできる?」
「あぁ、多分な」
八雲の手に弾を1発渡す。受け取った弾を持って、八雲はじろじろと観察している。材質や質感、大きさなどを図っているのだろうか…僕にはさっぱりわからない。
「ちょっと時間くれ」
「分かった」
僕は、図書館の隅の椅子に座った。さて出来上がるのを待つか…
と考えている間に、うとうとしてしまった。
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