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21話

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「はぁ、はぁ、疲れたぞよ」
 
 また一人また一人と仲間を運んでいく。一人で運ぶには人数が多すぎる。人数にして20くらいだったはずだ。

 
「俺も手伝うよ」

 突然イケメンが森の外に現れた。手伝ってくれるのはありがたいが、八雲はどうなった?

「いや、イケメン。八雲の事頼んだはずなんだけど? 何してんの?」

「俺がいても何もできんし、どうやら八雲君が倒してしまったからな。手が空いた」

「もう終わった? マジで?」

「ああ、あっけなく」

 それならば、八雲は今何してんだろう。森の外に5人ほど運んだので、次の人を迎えに森の中に戻ることにした。

「このイケメン、手伝うなら一人くらい運んでこいよ…」

 と心の中で思う僕がいた。

「君って、そんなに口が悪かったんだな…」

「え? 何のこと?」

「いや、なんでもない…忘れてくれ」

 まるで僕の声が聞こえているかのような反応を見せた。一体、なんだっていうんだ。

「八雲、終わったんだな…」
 
 森の中に戻ると、座っている八雲がいた。
 八雲は空を見上げている。そのすぐ近くには大男が倒れている。黒焦げだ。 

「やぁ、結城。お疲れ様。この通り楽勝だったよ」

「そのようだな。お疲れ様」

 僕は、八雲に激励の言葉をかける。嬉しそうではないが。

「じゃあ、帰るか」

「あぁ、そうする。先に帰った方がいいだろう」

 八雲はそそくさと立ち上がると、森の外の方へ向かっていく。
 その途中でイケメンこちらに向かってくる。八雲は気にするそぶりを見せず、イケメンのすぐそばを抜けていった。そして、そのイケメンは八雲が通り抜けた後、倒れた。

「くわっ」

 ドサッという音と共に地面に顔面をぶつけに行く、イケメン。さすがにイケメンなのだから、顔からはやめた方がいいと思う。いや、イケメンだから顔から行って普通面になった方が、いいかもしれない。
 なんて皮肉めいたことを考えながら、イケメンに近づく。

「お~い、おきろ~」

 しかし、反応はない。
 本当に気絶しているのか…なんて使えない男なんだ…
 運ぶ人が一つ増えただけじゃねぇか……

「八雲、手伝ってくれないか…」

 といった言ったのだが、そこに八雲の姿はなかった。
 もう帰ったのか。ということは、ここにいる動ける人間は僕だけということか…

「この現場、僕一人でどうせ一ちゅうねん…」
 
 自然と関西弁が出てしまう。
 途方に暮れるのは言うまでもない。
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