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6話

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「おい、結城なんかを連れて行くのか」

ある男はいう。
顔は見たことあるが名前は知らない奴だ。

「これはリーダーである俺が決めたことだ。必要だと思ったから連れて行く」

とイケメンは言った。
どうやら、本当にリーダーだったらしい。

「それで、メンバーは前線の5人だけか?」

また違う男がものを言う。

「あぁ、この先に進めそうなのは魔力が高い前線のメンバーだけだ。この5人で洞窟を攻略する」

僕もいるんだけどなぁ…
前線の5人の僕を合わせて6人が、洞窟に入る。
人数が減ったからか、動きやすい気がする。それでも僕は5人の後ろを少し距離を空けて歩く。

先程皆で入った時よりも奥に進んでいく。一体何が奥にあるのだろう。
僕は考え事をしながら歩くと、突然1人が倒れた。どうやら、前線のメンバーでも厳しいらしい。

僕が駆け寄るよりも先に他の4人が助けていた。

「やっぱりキツイな…俺も気分が悪くて、倒れそうだ」
「わかるわ~」

と倒れた男とは別の者たちもキツイらしい。

「おい、結城お前は何ともないのか!」

「う、うん。僕は何とも」

「まじか…」

驚かれてしまう。
魔力がない身体がこんな時に役立つとは思わなかった。

「俺はまだいける。お前たちは倒れた者を外に運び出してくれ」

イケメンは言った。

「でもよ、お前だけじゃ、流石に心配だ」

「大丈夫だ。彼がいるから」

とイケメンは僕に指を刺す。
急な事で驚く。

「え、え」

戸惑う。

「不安だ…」

顔色の悪い男子達に見られる。
でも、彼らは既に限界なのか、反論する事なく

「アイツの事任せたぞ」

僕の肩を叩いて、4人は洞窟の外へ向かっていった。
任されても戦えないぞ、僕は。

「では、行こうか、結城くん」

「あ、うん」


ちょっとの間でもう2人っきりになってしまう。
そのせいか、僕とイケメンは並んで歩くことになる。

まさかこんな前を歩く事になるとは思いもしなかった。

「何かあったら俺が助けるから」

「僕は君に何かあっても助けられないぞ」

「分かってる」

「理解してくれている様で安心したよ」

「ふ、君は力がない割には度胸だけあるみたいだ」

「そうなのかな」

自分ではそんな気がしないんだけどな。
2人だからか、歩く速さも早くなり、どんどんと奥へ進んでいく。
魔力を感じないためか、恐怖を感じる事なく進む自分に恐怖を覚える。

「それにしてもこの奥には何があると思う?」

「さぁ…モンスターでなければいいんだけどな」

「同感」

今日はよく喋るな、僕は…
八雲といる時以外でこんなに喋ったのは、こっちに来てから初めてかもしれない。

「なぁ、結城くん」

「なに?」

「ごめん、もうダメみたい」

「え?」

イケメンは僕に謝ると倒れてしまった。
限界が来た様だ。気がつかなかったが、イケメンの顔には汗を大量にかいていた。もう少し早く気付いてあげれば良かった。4人と別れてから5分くらい進んでいる今。
さて、どうしたものか。
1人で進むか、彼を担いで外に出るか。
僕は考える。

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