異世界で勇者をすることとなったが、僕だけ何も与えられなかった

4話 任務

束の間の休日も終わり、また任務が言い渡される。

「みんな集まったな」

リーダーシップを取るのはイケメン男子。僕は集団の後方に位置を取る。

当然の事ながら八雲の姿は無かった。
寂しく一人ポツンと立って周りの様子を伺う。

「さぁ、みんな行こう！」
「「おー！！」」

いつの間にか任務の内容を話し終えたようで、その内容を僕は何一つ聞いてなかった。後方に立っているだけなので、知らなくても何も問題はないんだけど、何をしにいくのかは聞いておくべきだったと思う。
周りを見渡しても、話せる相手は居ないので、聞く事を諦める事にした。


我々勇者一同は元クラスメイトの男女30名で構成されている。
ある日突然異世界にやってくる事になったのだが…残念ながら、元クラスメイトといえど、友達と呼べる者は1人しかいなかった。
まぁ、その1人も任務に同行しないので、任務中はぼっちなのだ。
悲しきかな。悲しきかな。




「おい、着いたぞ。例の洞窟だ」

「なんか不気味だね」

城を出て少し歩いた山の中にある洞窟にたどり着いた。
一体こんな所に何しに来たのだろう。
洞窟の中にモンスターでもいるのだろう。それを討伐しに来た、と考えられる。

「みんな、この中は危険だから、危ないと思ったら引き返すんだよ」

「「分かった」」

何か一致団結している。
その中に入れない。

すると彼らは洞窟の中に入っていく。
誰かが光魔法を使い照らす。
だが…入ってすぐにその光は失われた。
一気に辺りが暗くなる。

「どうした？！」

「ごめん消された」

誰かが謝る。

「まぁ、仕方ないか…こんなに濃いんじゃ」

と誰か言う。

一体何が濃いんだか、話が分からない。

「確かにこれは凄いな…」

何が凄いの？

僕は後方から先頭の様子を伺う。

すると、先頭から光が生まれた。

たいまつに火を付けたらしい。メラメラと燃える炎があたりを照らし出した。

「これでいこう」

また進み始める。

この先に何があると言うのだろう。

後方からついて行っていると、1人が過呼吸をし始めた。

「どうした！？」

その異変に気が付いた、リーダーのイケメン男が振り返り立ち止まる。

僕も過呼吸の人に近づく。

「大丈夫？」

問いかけに返事がない。

まだ洞窟に入ってすぐの場所で過呼吸を発症するとは思わなかった。

僕は考える。
高山病？　いや、ここは山だが入り口で、高さもほぼ平地と変わらない。
なら、暗闇恐怖症か…いや、洞窟だから閉所恐怖症か！？

僕は過呼吸の人に肩を貸した。
このまま外に出る。

「僕が連れていくよ」

と言い外を目指して歩み出した。
その時だった。

洞窟の中にいる他の人も過呼吸で倒れ始めたのは…

「な、何が起きてる！」

僕は何が起き始めているのか、僕には分からなかった。