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第7話 続きの続き……

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「遅かったな」

「な、何でいるの……」

校門の前で待っていた俺を紅羽ちゃんが不思議そうに見てそう言った。
まぁいるはずのない男がここにいたらそれは驚くだろう。俺もわざわざ校門まで引き返してきた自分に驚いている。

「帰るぞ」

俺は紅羽ちゃんに近ずき頭の上に手を置いた。するとどうだろう。次の瞬間には

「ぐはっ……」

鈍い音とともに紅羽ちゃんの拳が腹を抉るように刺さっていた。堪らず口から苦しみの声を上げてしまった。

「気安く触るな!」

そう怒鳴ると紅羽ちゃんは腹を抑えて蹲る俺を放置して歩き始めた。どうやら頭を触ったのが気に食わなかったようだ。ほらそうだよな……俺も他人に髪を触られるのは嫌だし、紅羽ちゃんからしてみれば兄でもない男からそんなことをされれば不愉快だろう。そう俺は紅羽ちゃんの大好きな兄ではなく、その親友の男なだけだ。そう他人なのである。だからこれからは軽率な行動は気を付けよう。そうでないと死んじまう……

「待ってくれ~」

俺は腹の痛みを我慢しながら、紅羽ちゃんを追いかけた……



「で、どうして待ってたの? 殴られるため?」

「そんな分けないだろ!」

まぁ実際殴られたから勘違いしてしまうのも無理はないのかもしれないな。俺は紅羽ちゃんの誤解を解くために真実を告げた。

「学人に騙されたんだよ」

「お兄ちゃんに? どう騙されたの?」

「え?」

俺は戸惑った。
騙された内容……言われてみると説明が難しい気がする。どう言えばいいんだろうか。さっぱり分からん。
少しの間考える。しかし説明する文章を思いつかなかった。
仕方ないここは……あれだな!

「忘れた」

俺はそう言ってはぐらかした。これは俺の必殺技の一つだ。まぁめんどいことを避けための言い逃れ方なだけだけど。そんな大層なもんじゃないよな。
それに他人からは間抜けだと思われるだろう。
でも俺は別にそんなこと気にしない。相手からどう思われようが、分かる人にだけ分かってくれればそれでいい。だから……

「ふふふ、そんなので私を誤魔化せると思ってるわけ? 」

残念ながら長い付き合いの紅羽ちゃんには俺の必殺技は通じなかったようだ。それはそれでめんどくせぇ……

「何黙ってるの? 早く吐きなさい、言わないならまた殴るわよ?」

と握り拳を作り俺に見えるように目の前に突き出してきた。もしその拳で殴られると違うものを吐いちゃう気がするんだが……

「だ、駄目だ」

と俺はこんな脅しには屈しないアピールをする。
いつまでも紅羽ちゃんに負けてる俺ではない。

「そう……」
「お、諦めたか!」
「そんなに殴られたいんだ」
「え?」

駄目だ……屈してしまう……


……

「ど、どうした? その顔……」

「聞くな……いつもの事だ」

「そ、そうなのか」

紅羽ちゃんにボコボコにされた俺だったが、何とか紅羽ちゃんを家に送り届けることに成功した。
当然殴られたが口は割らなかった。
今思えばそこまでして隠すようなことではなかったような気がする。済んだことだからもういいけど……

それよりも俺は学人に怒りを覚えていたのだ。こうなったのも学人のせいだ。
学人の野郎、よくも恐ろしいちびっ子怪獣のお守りをさせやがったな。文句言ってやる。
そう思っていたんだが到着と同時に玄関から学人が出てきて「ありがとう」とお礼を言われたのだ。頭を深く下げてだ。そんなの見たら怒れなくなってしまったのだ……

「お兄ちゃん、ただいま」
「あぁ、おかえり」

と仲の良い兄妹の挨拶を目の前で見せられる。

「そうだ乙樹。飯食っていくか?」

と学人は突然俺に晩御飯の誘いをしてきた。しかし俺はそれを断った。どうしてか? それは俺には分からなかった。多分気分じゃなかったんだろう。ただそれだけだ。

俺が学人の誘いを断ると、学人は少し寂しそうな顔をした……いや、そんな気がした。

「じゃあな」
「あぁ」

俺はさよならを告げて自宅に帰る。
学人と紅羽ちゃんは俺を見送ってくれた。
何かしんみりした雰囲気だが、明日も学校で会うんだけどな……どういう反応すればいいのか戸惑う。
泣けばいいのか? いや、泣けねぇよ!

さて、帰るか……

俺はいつもより遅い帰り道を歩いた。
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