ポニーテールの勇者様

相葉和

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191 善戦

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雪合戦で雪玉の中に石を入れることは、雪合戦の公式ルールで違反行為になっているらしい。
普通に考えれば当たり前のことだが、効果が抜群であることも間違いない。
わたしの放った城の瓦礫入り水球弾は、火の精霊の左掌を見事に貫通してダメージを与えることに成功した。
訝しげな目を向ける火の精霊は、治癒魔術で左手の負傷を治し始めている。
治癒術が使えるならば畳み掛けたほうがよさそうだ。

「ファーストアタックはいただいたわ。続けるわよ!」

わたしは再び無数の風の刃で四方八方から火の精霊を攻撃した。
同時に、土の魔術で生み出した岩の弾を風の魔術に紛れ込ませて威力を高めた。
火の精霊は体捌きと剣技で風の刃と岩弾を防いでいる。
そこですかさず水球弾を御見舞する。

「ふん、受けずとも躱せばよいのだ」

全方位防御を展開して風の土の魔術を防ぎながら、火の精霊は優先して避ける。
城の瓦礫入り水球弾を受け止めなければ被害は被らないのでその作戦に間違いはない。

・・・だけど、瓦礫が水球弾の中だけにあると思うなよ?

「ぐっ・・・」

火の精霊の動きが止まる。
小さい城の瓦礫が火の精霊の右肩付近を後ろから貫通していた。
勢いを無くした石ころはカツンと音を立てて火の精霊の前で転がった。
今わたしが放った水球弾には瓦礫を紛れ込ませなかった。
かわりにわたしは風魔法で瓦礫を飛ばし、背後から超高速でぶつけたのだ。
瓦礫は火の精霊の魔力防御を無視して見事に体に突き刺さったというわけだ。
水球弾に意識を引き付けている隙をついての攻撃だった。
火の精霊は肩の傷を押さえて目の前に転がる石を見つめた。

「そうか、王城の瓦礫を利用していたのか」

・・・さすがにバレたか。
もう少し気が付かないでいてほしかったけれども仕方がない。

「そうよ。でも気がついたところで防ぎようが無いわよね。残念だったわね」
「いや、そうでもない」
「えっ?」

すると火の精霊は納刀して魔力を練り始めた。
そして空手の息吹のように息を吐きながら、同時に魔力を体の周囲に纏った。
火の精霊の上半身に残っていた鎧や衣服が焼け落ち、真っ赤な肌が丸見えになる。
やがて纏った魔力は体の中へと浸透していくように消えていった。
なんとなくだが、火の精霊の体が少しだけ大きくなったように見える。

「さあ娘。我の体に城の瓦礫を撃ち込んでみろ」
「気合でどうにかなるもんじゃないと思うけど・・・」

わたしは城の瓦礫を拾い上げると、風魔法を使って火の精霊の体の中心をめがけて瓦礫を撃ち込んだ。
瓦礫は火の精霊の体にぶつかり、貫通、もしくはダメージを与えるはずだった。
しかし瓦礫は火の精霊の肌にぶつかると、そのまま地面に落ちた。
火の精霊の体に一切のダメージは見受けられなかった。

・・・え、マジで?
まさか内気功とか硬気功ってやつ?

「我の体に傷をつけた理由が分かれば対処のしようもあるというものだ」
「どうやって・・・」
「簡単なことだ。我はバルゴの体と融合して肉体を得た。この肉体を魔力で改竄して城の瓦礫の強度以上の頑丈さを持たせたのだ。肉体を持たぬ以前のままであればできなかったことだがな」
「そんな、デタラメな!」

わたしは周囲の大小さまざまな瓦礫を火の精霊に向けて闇雲に風魔法で飛ばした。
しかし瓦礫は火の精霊の肉体に傷一つつけることはなかった。

「分かったであろう。これでもう同じ手は喰わぬ」
「べっ別に、ひとつぐらい防がれたところで、わたしには第二第三の手が!」

・・・特に無いです。
どうしましょう。

魔力攻撃は魔力防御によって防がれる。
物理攻撃は強靭になった肉体によって防がれる。
八方塞がりじゃね?

どうすればいいか考え、攻めあぐねていると今度は火の精霊が動いた。
火の精霊が再び剣を抜く。

「行くぞ、娘」
(来る!)

火の精霊の姿が消える。
いや、消えたかと思えるぐらい速い動きで私に肉薄する。
わたしは例によって周囲に張り巡らせた魔力のレーダーに異物が入ってくるのを感じ取り、火の精霊の突進方向を察知すると、地面を蹴って進路から外れるように体ごと横に振った。

(ユリよ、まだじゃ、もう一度・・・)
(えっ?うわわっ!)

火の精霊はわたしが元いた位置でキュッと方向を変えると、わたしが避けた方向に直角に曲がって追撃してきた。
わたしは慌てて地面を蹴り、あと一歩遅ければ斬撃の餌食になるというところで、なんとか飛行魔術で宙に逃れた。

・・・危ない危ない。避ける動作が早すぎたんだ。
もっとギリギリまで引きつけて躱さないと。

「娘。逃げるなと言っただろう」
「逃げた訳じゃないし!飛んで避けただけだし!」

・・・ちょっと飛んだら逃げたことになるの?
これまた理不尽な・・・

「ならば上にも逃げられないようにしてやろう」
「え、ちょっと、これは・・・何!?」

火の精霊が手を上にかざして魔力を放出し始めたと思うと、あっという間に周囲が真っ赤なドームで囲まれ始めた。
わたしは慌てて地面に着地した。
屋上広場の三分の二ほどを覆うドームの表面は、まるでマグマを思わせるように赤とオレンジの光が流動している。
心なしか、気温も上がったような気がしてきた。

「我の結界だ。出られると思うならば試しに触れてみよ」
「・・・火傷しそうなので遠慮しておくわ」

元から逃げるつもりは無いが、高く飛び上がって避けるという行動は封じられたと思うしか無い。
幸いなことにアドルとミライを囚えている檻はドームのギリギリ外側にあるので、この中で大暴れしてもむしろ檻に飛び火することは無いだろう。

「さながら『金網デスマッチ』って感じね」
「何を言っているのか分からんが、この結界、ただの結界だと思うな」
「えっ?」

火の精霊の言った意味はすぐに分かった。
ドームの一部で魔力の高まりを感じたかと思った途端、その場所から炎弾が放たれたのだ。
魔力障壁を展開して止めたものの、案の定、炎弾は一発で済まなかった。
ドームのあちこちで炎弾が発生し、四方八方からわたしを狙って炎弾が飛んでくる。

「ああ、もう・・・きりがないわね・・・っと!」

炎弾を躱すだけでは済まない。
火の精霊自身による火球攻撃に強烈な斬撃。
それら全てに対処しなければならず、こちらから攻撃に転じることが難しくなっていった。
防戦に集中している所で、アフロから念話が飛んできた。

(ユリ、その魔力剣、一度刀身を消しなさい)
(アフロちゃん・・・なにか策があるの?)
(策というほどではないわ。試したいことがあるわ)
(・・・よく分からないけどわかったわ!)

アフロの助言を聞き、一旦魔力剣の刃を消す。
魔力の供給を止めれば刃は消えるのだ。
わたしはそのまま防御に専念して機会を待つ。
無数の炎弾を防いでいたその時、背後から火の精霊の斬撃が来るのを感じた。

(・・・来るわよ、合わせて!)
(やるけど、結構怖いんですけど!)

油断していればあっという間にわたしの体が真っ二つに切り裂かれる、それほどに速く鋭い火の精霊の斬撃。
その斬撃を今度は躱すだけでなく、カウンターを合わせるのだ。
やることは単純なことだが、死と隣り合わせと思うと割が合わない。
だけど、わたしはアフロを、皆を信じてる。
わたしは振り向かず、魔力の気配だけで火の精霊の距離を測った。

・・・約3メートル・・・2メートル・・・今!

わたしは魔力剣の柄を持つ右手に左手を添え、その右手を右肩の上に寄せる。
そして刀身を具現化した。
肩越しに刀身が出現し、わたしの後ろに伸びていく。
剣を振るうには不釣り合いな長さの刀身、だが振るう必要はない。
狙いは私の背後、その直線上にいる火の精霊。

「ぬうっ!」
「あだだだっ!」

わたしは吹き飛ばされ、広場の地面を軽く転がされ、壁にぶつかってようやく止まった。
攻撃を食らったのはわたしのほうだけのようだが、驚愕の顔をしているのは火の精霊の方だった。

(痛たたた・・・はあ。こっちもなんとか斬撃は防げたけど、攻撃はダメだったみたい。ごめんねアフロちゃん)
(いえ、十分よ。よくやったわ。ユリ)

わたしの『突然飛び出して伸びる刀身攻撃』は、火の精霊の頭をめがけて攻撃したものの、火の精霊の顔に当たる直前で剣によって防がれた。
そして返す刀でわたしは胴を薙ぎ払われたのだが、火の精霊の剣の勢いが死んでいたことや、わたしの攻撃を避けた体制から繰り出された攻撃だったことで威力は半減していたようで、なんとか魔力防御で深刻なダメージは受けずに済んだようだ。
勢いで吹っ飛ばされたけど。
とにかくまずは起き上がろうとした時だった。

「小癪な」
「わわわっ!」

わたしが倒れている隙に生み出したのか、火の精霊の手には無数の火の弾が出現していた。
そしてすぐさまわたしを目がけて放たれる。

「ちょっ!とっ!あぶなっ!」

無様だろうがなんだろうが知ったこっちゃない。
わたしはなりふり構わずに転がり、魔力防御で防ぎ、逃げ回った。
避けるたびに火の弾が壁を破壊し、破片が宙を舞う。

・・・あれ、なんで魔力攻撃で壁が壊れるの?
あ、これ、壁じゃないや。

火の弾によって破壊されまくっているそれは、壁ではなく『さんだあぼると』号の外周部だった。
床から突き出た『さんだあぼると』の前面は、火の弾の攻撃によって残念なほどに破壊されていった。

(ごめんね、『さんだあぼると』号・・・そういえば『さんだあぼると号』の中には・・・)

ふと『さんだあぼると号』のハッチに目を向ける。
そこには、悲壮な顔をした闇の精霊がいた。
一応精霊自身は無事なようだが、壊れていく『さんだあぼると』号を見てこの世の終わりのような顔をしているのが大変気になる。

(あーユリには言ってなかったっけ?あの船、あの子が貰ったのよ。壊れてるけど、それでもいいんだって。でも流石にあんなにぶっ壊されちゃってはねえ・・・)
(なるほどミっちゃん、そうだったのね)

壊れた船を貰ってどうするつもりかは知らないが、闇の精霊が悲しそうな理由はわかった。
しかしそれ以上、考えている余裕は無かった。

「娘、余所見をしていていいのか?」
「・・・しまった」

火の精霊が無数の小さな火球を繰り出してきた。
ひとまず魔力防御を展開して全弾防ぎ、それから体勢を整える。
そのつもりだったが、甘かった。

「痛ああああっ!」

一発の火弾が魔力防御を突破し、わたしの足を貫通していた。
立とうとしたところに激痛が襲い、わたしは再び地べたに座り込んだ。

「・・・やられたっ・・・いや、やり返されたっ・・・」
「発案者はお前だ。どうだ、自分で食らった気分は」

火の精霊は火弾の中に小さな瓦礫を紛れ込ませ、わたしに撃ち込んだのだ。
その一発が魔力防御を無視して、わたしの足を貫通したわけだ。
ひとまず頭や心臓に撃ち込まれなくてよかったと思うしか無い。
しかし、それはちょっとだけ先延ばしになっただけらしい。

「娘よ。お前は我を相手に善戦した。しかしここまでだ」

火の精霊は、これまでとは比べ物にならないほどに巨大な火の玉を作り出し、わたしに向かって放つ。
回復は間に合わない。
一時的ではあるが、機動力を失ったわたしがこの火の玉を避ける事はできない。
ならば魔力防御で受け止めるしか無いが・・・

(受けきれる?受けきれるのこれ!?)
(ユリよ!あれはマズイのじゃ)
(見れば分かるわよ!!!)

とにかく魔力全開で全力防御するしかない。
わたしは魔力を振り絞り、飛来する火の玉に対抗するために意識を集中する。
火の玉と魔力障壁がぶつかり、まばゆい光を放つ。
そして光は急速にその輝きを失い、暗闇へと変化していった。



・・・暗い。
真っ暗ではないけど、暗いわね。
わたし、今どうなっているの?
てか、ここ、どこよ?

わたしは火の精霊から巨大火の玉による攻撃を食らった。
必死に防御したものの、やはり防ぎきれなかったのだろうか。
その後、わたしはどうなったのだろうか。
ここは何処だろうか。
周りには何もなく、静寂に包まれた暗い世界でわたしは立っている。
足の怪我はそのままに、しかし痛みは感じない。
それを見て、ふと『ああ、そういうことか』と悟った。

「そっか。わたし、死んじゃったんだ」

こんな世界に来たことはない。
でもきっとここはすべての人間が最後に来るところなのだろう。
いわゆる、死後の世界なのだろう。

・・・この後は天使か死神か分からないけれども、お迎えが来てくれるのかな?
それともずっとこのまま放置?
それはちょっと嫌だなあ・・・

ふと、涙が頬を伝う。
自分の死後のことより、敗北してしまったことのほうがよっぽど辛い。
結局皆を守ることが出来ず、志半ばでやられてしまった。
きっとこれからあの星では、火の精霊による蹂躙が始まる。
多くの人達も遅からず、今自分がいる場所に来るのだろう。

・・・アドル、ミライちゃん、ごめんね。
みんなを守れなかったわたしを許してなんて言わない。
せめてみんなが火の精霊の魔の手から逃れて生きていけますように・・・

「あのー・・・」

そんな祈りを捧げていると、背後から小さな声が聞こえてきた。
どうやらお迎えが来たらしい。

「あのー・・・」
「はい、お迎えありが・・・・・・えっ?」

声がする方を向いて返事をすると、そこには一人、闇の精霊が佇んでいた。
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