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137 第一回精霊会議
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「というわけで、第一回精霊会議を始めます!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・意味が分からないので説明してくれるかしら?」
カークにお願いして会議室を完全貸し切り・立入禁止にしてもらい、わたしとディーネ、サラ、アフロ、ミネルヴァの五人だけが部屋の中にいるこの状況で、第一回精霊会議の開会宣言をした。
さっそくアフロから説明を求められ、続けてディーネからも疑問を投げかけられた。
「ユリよ。精霊会議とは何じゃ?」
「ああ、ネーミングはあんまり気にしなくていいから。何か会議に名前があったほうが締まりが出るかなと思って」
「戦が迫っているこの状況で何の話をするのよ」
「そう。だからこそよ」
サラが言う通り、現在は王都軍がニューロックの領海付近まで侵攻してきている状況だ。
北方からは王都管理区からの主力、西側からは地球で言うところのアフリカ大陸に該当する大領地、セントロードからの艦隊が迫っている。
おそらくあと三日もしないうちに領海に入り、臨戦態勢となることだろう。
ニューロックの艦隊もそれぞれの艦隊に対抗すべく、戦闘準備に取り掛かっている。
わたし達も二手に分かれてそれぞれの艦隊支援に入る予定だ。
だがその前に、色々と整理しておきたい事がある。
「戦いの前に、情報を整理しておきたいの。わたしは訓練に明け暮れちゃったし、ミっちゃんには魔道具の製造のお手伝いをしてもらったりで、わたし達だけで情報共有とか、戦いの方針とか、今後の取り組み方とか、そのへんをちゃんと話し合った事がないでしょ?」
「・・・話をしようと思えばこれまでだって幾らでもできたのではないかしら。夜だって時間はあったでしょう。なのにユリが毎晩麻雀ばかりしてるから」
「なっ!だってせっかくニューロックに戻ってきたんだし、皆と卓を囲みたいじゃない?それにアフロちゃん達だって毎晩一緒にやってるのに・・・さてはアフロちゃん、昨夜わたしがアフロちゃんから役満を直撃したからそれを根に持・・・あぶなっ!」
わたしはアフロの見えないゲンコツを察知してブロックした。
わたしだってこのぐらいの事がたやすくできるぐらいには成長している。
「・・・で、何を話したいの?」
ミネルヴァが話を進めるように促す。
わたしが検討したいことは三つ。
ー 今回の戦いに火の精霊は出てくるかどうか、出てきた場合はその対策について。
ー まだ発見できていない精霊について
ー 今後の方針
「最後の今後の方針については、まずこの戦いで無事に勝ってから考えることかもしれないし、その前の二つの議題次第でもあるからちょっと置いとくとして。まずは火の精霊のことと、その対処方法ね」
原初の精霊として火の精霊が生まれ、そこからディーネや他の精霊達が派生して生み出された可能性があるとアフロが言っていた。
そのため、火の精霊の強さは派生した精霊の力を合わせてやっと同等ぐらいなのではないか、という事だ。
ではどうすれば勝てるのか。
勝つためにはどうすればいいのか。
その辺も含めて考えたい。
そんな感じでわたしが問題提起をすると、ミネルヴァがわたしに質問した。
「ユリ、あんたは一度火の精霊に襲撃されて負けたって言ってたわね」
「うん。倒した敵の船から突然火の精霊が現れたの。で、わたしは火の精霊と戦って・・・完敗したわ。その後、火の精霊は消えちゃったんだってディーネちゃんとサラちゃんから聞いたわ」
「なるほど・・・きっとそれは魔道具によるものだと思うわ。その船に乗っていた誰かに魔道具を渡しておいて、その対象の魔力あるいは生命力を媒介にしてその場に精霊を具現化させるの。でもそれは一時的なもので、魔道具の限界を超えた時点で元の場所に戻されるわ」
「うん、ディーネちゃんやアフロちゃんも同じ意見だったわ」
ミネルヴァが少し悩んでから、再び口を開いた。
「仮にあんたが負けたのはあんたが弱かったからだとして・・・」
「う・・・すみません・・・」
「なぜ、そんな手の込んだ真似をするのかだけど・・・火の精霊は今、あんまり自由に動けないんじゃない?」
「ワタシもそう思うわ」
アフロもミネルヴァの意見に同意する。
では、なぜ火の精霊は動けないのか。
「・・・もしや隷属かの?」
「そうかもしれないわね。そこまでする理由は分からないけど」
「あの火の精霊が隷属?信じられないわよ」
「あの、ディーネちゃん、アフロちゃん、サラちゃん。わたしにも分かるように説明してください・・・」
精霊同士で何か分かりあったようだが、わたしにはさっぱり分からない。
解説を頼むと、ディーネがそっとわたしの手の上に羽を乗せた。
「ユリよ。妾はユリと契約をしておるな。ユリが妾を支配する契約を結んでおるのじゃ。サラちゃんやアフロちゃんも同様じゃ」
「うん、支配って言葉は好きじゃないけど、分かるわ」
「他にも人との契約の仕方はあるのじゃ。それが隷属じゃ。隷属は、魔力の核の共有はせずにただ純粋に主とした人間に従う契約じゃ。歴代の王が使っていた『使役の魔道具』の影響下にずっと入るものだと思えば良い。そしてその主の命令に完全服従となるのじゃ」
・・・完全に奴隷として契約する感じ?
でも結局のところは主次第で、支配契約でも同じな気がするけど。
「どちらの契約でも良いが、主とする者と契約することで、精霊としての大きな力を振るうことができるようになるのじゃ」
「契約しないと力が出せないの?でもわたしはディーネちゃんに撃たれて死にかけたり、サラちゃんにも殺されかけたりしたわよ?」
「そのぐらいの事にたいした力はいらないのじゃ」
「あ、そうですか・・・」
大きな力がどの程度なのかは分からないが、人と契約しないことには本来の力が発揮できないらしい。
「じゃあ、ディーネちゃんが前に火の精霊に負けたのもそのせい?その時は誰とも契約していなかったわけだし」
「それだけが理由では無いとは思うが、そのせいでもあると思うのじゃ」
「ただ、ワタシ達が人と隷属契約をするなんて、まずあり得ないのよ」
「そうなの?」
「ユリも知っての通り、支配契約はワタシ達が真の名を明かしてその人間と契約する。それはその人間を信頼しないと出来ないこと。真の名を明かせないような人間と隷属契約する理由なんて思いつかないわ」
アフロがもっともな意見を言う。
隷属契約は一方的に相手に従う契約だ。
その人間が好き放題に精霊の力を行使できるようになるなんて、危なくて仕方がない。
「その現在の王・・・バルゴだっけ?それに精霊を支配する適性すら無くて、仕方なく隷属契約にしたとか?」
「そうね。支配する適性が無ければ隷属という手が使えるけど、サラはそんな人間に隷属されたい?」
「私はお断りだけどね。火の精霊にはそうまでして契約したい理由があったんじゃない?」
うーん、と悩むわたし達。
話が止まってしまったのを見て、再びミネルヴァが説明を続ける。
「話を続けるけどね。隷属契約にした場合は、支配契約とは別の制約が発生するの。それは、主から離れられないということ」
隷属契約した場合、せいぜい百メートル程度しか離れることが出来ないそうだ。
自らそれ以上離れることはできないし、主が移動すればそれにつられて引っ張られる。
「つまり今度の戦いでは、バルゴが親征して来ない限りは火の精霊も現れないと?」
「例の魔道具を使われれば別よ。おそらく高価な魔道具とかなりの魔力を使える人間が必要だと思うから、そうそう使われることは無いと思うけど」
・・・確かに、あの時に戦ったライオット領の騎士隊長はかなりの魔力使いだった。
そんな人間がゴロゴロいるとは思えないが、王都の親衛隊長フラウスや王城の魔道師達であればそのぐらいやってのけそうだし。
さしあたり、突然火の精霊が現れた場合には、魔道具を発見して破壊するか、魔道具の効果が消えるまで防衛戦を行うということで意見が一致した。
最初から時間稼ぎに徹すれば火の精霊の攻撃も凌げるはずだ。
「もしもバルゴが親征してたらどうする?」
「その時は火の精霊なんて無視してバルゴを倒せばいいじゃない」
「・・・ごもっとも」
・・・言うほど簡単ではないだろうけど、その場合はバルゴ自体がウイークポイントになるだろうから、きっと親征なんてしないだろうね。
それからわたし達は、火の精霊が出現した場合の具体的な対処方法と、北方、西方の配置とそれぞれの戦術について相談した。
草案は固まったので、明日カークに提案してみることにして、次の議題に移る。
わたしはミネルヴァに質問した。
「今わたしが認識しているのは、ここにいるディーネちゃん、サラちゃん、アフロちゃん、ミっちゃん。それと王都にいる火の精霊。水、風、土、光、火だから、魔石の属性で考えると、あとは闇だけだと思うけど、あってる?」
「ええ。そうね」
「ミっちゃんはシュクリフさん・・・ライオット領の領主さんからの情報で見つけることが出来たのだけれども、未だに闇の精霊は見つかってないの。ミっちゃん、何か情報を持ってないかな?噂話とかでもいいんだけど」
私の質問に、ミネルヴァは目を瞑ってしばし考え込んだ。
そして一言、つぶやいた。
「・・・あるわよ」
「ええっ!?」
・・・まさかあるとは思わなかったので驚いちゃったよ。
「・・・自分で聞いておいて驚かないでよ。でも、確証は無いのよ。たぶんだけどね」
「それでも十分よ!この戦いが終わったら闇の精霊に会いに行こう!」
「ユリ、それはなんというか『しぼうふらぐ』というやつに似ているのじゃ」
確かに死亡フラグっぽいが気にしない。
可能性が低くても、探してみる価値はある。
「とりあえず場所を・・・」
「無理よ」
「無理?なんで?」
ミネルヴァが首を大きく傾けて天井を仰ぐ。
そして、とんでもない場所の名を告げた。
「・・・闇の精霊なんだけどね・・・あの子、たぶん、この星の中心部にいるわよ」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・意味が分からないので説明してくれるかしら?」
カークにお願いして会議室を完全貸し切り・立入禁止にしてもらい、わたしとディーネ、サラ、アフロ、ミネルヴァの五人だけが部屋の中にいるこの状況で、第一回精霊会議の開会宣言をした。
さっそくアフロから説明を求められ、続けてディーネからも疑問を投げかけられた。
「ユリよ。精霊会議とは何じゃ?」
「ああ、ネーミングはあんまり気にしなくていいから。何か会議に名前があったほうが締まりが出るかなと思って」
「戦が迫っているこの状況で何の話をするのよ」
「そう。だからこそよ」
サラが言う通り、現在は王都軍がニューロックの領海付近まで侵攻してきている状況だ。
北方からは王都管理区からの主力、西側からは地球で言うところのアフリカ大陸に該当する大領地、セントロードからの艦隊が迫っている。
おそらくあと三日もしないうちに領海に入り、臨戦態勢となることだろう。
ニューロックの艦隊もそれぞれの艦隊に対抗すべく、戦闘準備に取り掛かっている。
わたし達も二手に分かれてそれぞれの艦隊支援に入る予定だ。
だがその前に、色々と整理しておきたい事がある。
「戦いの前に、情報を整理しておきたいの。わたしは訓練に明け暮れちゃったし、ミっちゃんには魔道具の製造のお手伝いをしてもらったりで、わたし達だけで情報共有とか、戦いの方針とか、今後の取り組み方とか、そのへんをちゃんと話し合った事がないでしょ?」
「・・・話をしようと思えばこれまでだって幾らでもできたのではないかしら。夜だって時間はあったでしょう。なのにユリが毎晩麻雀ばかりしてるから」
「なっ!だってせっかくニューロックに戻ってきたんだし、皆と卓を囲みたいじゃない?それにアフロちゃん達だって毎晩一緒にやってるのに・・・さてはアフロちゃん、昨夜わたしがアフロちゃんから役満を直撃したからそれを根に持・・・あぶなっ!」
わたしはアフロの見えないゲンコツを察知してブロックした。
わたしだってこのぐらいの事がたやすくできるぐらいには成長している。
「・・・で、何を話したいの?」
ミネルヴァが話を進めるように促す。
わたしが検討したいことは三つ。
ー 今回の戦いに火の精霊は出てくるかどうか、出てきた場合はその対策について。
ー まだ発見できていない精霊について
ー 今後の方針
「最後の今後の方針については、まずこの戦いで無事に勝ってから考えることかもしれないし、その前の二つの議題次第でもあるからちょっと置いとくとして。まずは火の精霊のことと、その対処方法ね」
原初の精霊として火の精霊が生まれ、そこからディーネや他の精霊達が派生して生み出された可能性があるとアフロが言っていた。
そのため、火の精霊の強さは派生した精霊の力を合わせてやっと同等ぐらいなのではないか、という事だ。
ではどうすれば勝てるのか。
勝つためにはどうすればいいのか。
その辺も含めて考えたい。
そんな感じでわたしが問題提起をすると、ミネルヴァがわたしに質問した。
「ユリ、あんたは一度火の精霊に襲撃されて負けたって言ってたわね」
「うん。倒した敵の船から突然火の精霊が現れたの。で、わたしは火の精霊と戦って・・・完敗したわ。その後、火の精霊は消えちゃったんだってディーネちゃんとサラちゃんから聞いたわ」
「なるほど・・・きっとそれは魔道具によるものだと思うわ。その船に乗っていた誰かに魔道具を渡しておいて、その対象の魔力あるいは生命力を媒介にしてその場に精霊を具現化させるの。でもそれは一時的なもので、魔道具の限界を超えた時点で元の場所に戻されるわ」
「うん、ディーネちゃんやアフロちゃんも同じ意見だったわ」
ミネルヴァが少し悩んでから、再び口を開いた。
「仮にあんたが負けたのはあんたが弱かったからだとして・・・」
「う・・・すみません・・・」
「なぜ、そんな手の込んだ真似をするのかだけど・・・火の精霊は今、あんまり自由に動けないんじゃない?」
「ワタシもそう思うわ」
アフロもミネルヴァの意見に同意する。
では、なぜ火の精霊は動けないのか。
「・・・もしや隷属かの?」
「そうかもしれないわね。そこまでする理由は分からないけど」
「あの火の精霊が隷属?信じられないわよ」
「あの、ディーネちゃん、アフロちゃん、サラちゃん。わたしにも分かるように説明してください・・・」
精霊同士で何か分かりあったようだが、わたしにはさっぱり分からない。
解説を頼むと、ディーネがそっとわたしの手の上に羽を乗せた。
「ユリよ。妾はユリと契約をしておるな。ユリが妾を支配する契約を結んでおるのじゃ。サラちゃんやアフロちゃんも同様じゃ」
「うん、支配って言葉は好きじゃないけど、分かるわ」
「他にも人との契約の仕方はあるのじゃ。それが隷属じゃ。隷属は、魔力の核の共有はせずにただ純粋に主とした人間に従う契約じゃ。歴代の王が使っていた『使役の魔道具』の影響下にずっと入るものだと思えば良い。そしてその主の命令に完全服従となるのじゃ」
・・・完全に奴隷として契約する感じ?
でも結局のところは主次第で、支配契約でも同じな気がするけど。
「どちらの契約でも良いが、主とする者と契約することで、精霊としての大きな力を振るうことができるようになるのじゃ」
「契約しないと力が出せないの?でもわたしはディーネちゃんに撃たれて死にかけたり、サラちゃんにも殺されかけたりしたわよ?」
「そのぐらいの事にたいした力はいらないのじゃ」
「あ、そうですか・・・」
大きな力がどの程度なのかは分からないが、人と契約しないことには本来の力が発揮できないらしい。
「じゃあ、ディーネちゃんが前に火の精霊に負けたのもそのせい?その時は誰とも契約していなかったわけだし」
「それだけが理由では無いとは思うが、そのせいでもあると思うのじゃ」
「ただ、ワタシ達が人と隷属契約をするなんて、まずあり得ないのよ」
「そうなの?」
「ユリも知っての通り、支配契約はワタシ達が真の名を明かしてその人間と契約する。それはその人間を信頼しないと出来ないこと。真の名を明かせないような人間と隷属契約する理由なんて思いつかないわ」
アフロがもっともな意見を言う。
隷属契約は一方的に相手に従う契約だ。
その人間が好き放題に精霊の力を行使できるようになるなんて、危なくて仕方がない。
「その現在の王・・・バルゴだっけ?それに精霊を支配する適性すら無くて、仕方なく隷属契約にしたとか?」
「そうね。支配する適性が無ければ隷属という手が使えるけど、サラはそんな人間に隷属されたい?」
「私はお断りだけどね。火の精霊にはそうまでして契約したい理由があったんじゃない?」
うーん、と悩むわたし達。
話が止まってしまったのを見て、再びミネルヴァが説明を続ける。
「話を続けるけどね。隷属契約にした場合は、支配契約とは別の制約が発生するの。それは、主から離れられないということ」
隷属契約した場合、せいぜい百メートル程度しか離れることが出来ないそうだ。
自らそれ以上離れることはできないし、主が移動すればそれにつられて引っ張られる。
「つまり今度の戦いでは、バルゴが親征して来ない限りは火の精霊も現れないと?」
「例の魔道具を使われれば別よ。おそらく高価な魔道具とかなりの魔力を使える人間が必要だと思うから、そうそう使われることは無いと思うけど」
・・・確かに、あの時に戦ったライオット領の騎士隊長はかなりの魔力使いだった。
そんな人間がゴロゴロいるとは思えないが、王都の親衛隊長フラウスや王城の魔道師達であればそのぐらいやってのけそうだし。
さしあたり、突然火の精霊が現れた場合には、魔道具を発見して破壊するか、魔道具の効果が消えるまで防衛戦を行うということで意見が一致した。
最初から時間稼ぎに徹すれば火の精霊の攻撃も凌げるはずだ。
「もしもバルゴが親征してたらどうする?」
「その時は火の精霊なんて無視してバルゴを倒せばいいじゃない」
「・・・ごもっとも」
・・・言うほど簡単ではないだろうけど、その場合はバルゴ自体がウイークポイントになるだろうから、きっと親征なんてしないだろうね。
それからわたし達は、火の精霊が出現した場合の具体的な対処方法と、北方、西方の配置とそれぞれの戦術について相談した。
草案は固まったので、明日カークに提案してみることにして、次の議題に移る。
わたしはミネルヴァに質問した。
「今わたしが認識しているのは、ここにいるディーネちゃん、サラちゃん、アフロちゃん、ミっちゃん。それと王都にいる火の精霊。水、風、土、光、火だから、魔石の属性で考えると、あとは闇だけだと思うけど、あってる?」
「ええ。そうね」
「ミっちゃんはシュクリフさん・・・ライオット領の領主さんからの情報で見つけることが出来たのだけれども、未だに闇の精霊は見つかってないの。ミっちゃん、何か情報を持ってないかな?噂話とかでもいいんだけど」
私の質問に、ミネルヴァは目を瞑ってしばし考え込んだ。
そして一言、つぶやいた。
「・・・あるわよ」
「ええっ!?」
・・・まさかあるとは思わなかったので驚いちゃったよ。
「・・・自分で聞いておいて驚かないでよ。でも、確証は無いのよ。たぶんだけどね」
「それでも十分よ!この戦いが終わったら闇の精霊に会いに行こう!」
「ユリ、それはなんというか『しぼうふらぐ』というやつに似ているのじゃ」
確かに死亡フラグっぽいが気にしない。
可能性が低くても、探してみる価値はある。
「とりあえず場所を・・・」
「無理よ」
「無理?なんで?」
ミネルヴァが首を大きく傾けて天井を仰ぐ。
そして、とんでもない場所の名を告げた。
「・・・闇の精霊なんだけどね・・・あの子、たぶん、この星の中心部にいるわよ」
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