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127 繋がりと約束
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酒場での騒動から一夜。
わたし達は近所の宿屋で一泊して朝食を済ませた後、指定された待ち合わせの場所へと向かっていた。
それにしても・・・なかなかしんどい。
もちろん二日酔いの話ではない。
あれぐらいで酔うわけもないし、そんな程度で酔っていては酒場で喧嘩など出来ない。
・・・でも床をぶち破ったのは酔ったせいにしておきたい。
しんどい理由、それは・・・
「ユリよ、土の魔力が弱いのじゃ。しっかり魔力量を合わせるのじゃ」
「うん、わかった。ありがとう、ディーネちゃん!」
歩きながらディーネに指摘を受ける。
わたしは昨日の不甲斐ない試合の後でアフロから指導を受けていた。
まずやることとして、常に全身に一定量の魔力を纏わせておくこと。
これは昔アキムにも言われたことで、アドバイスをもらってからはできる限り実践していた。
ただし今は少し事情が異なる。
当時、わたしはディーネだけを支配していたため、水の魔力だけを意識しておけばよかった。
しかし今は風と土の精霊力も得ているため、そのふたつの属性についても水の魔力と同様に均等に纏わせなければならないと言われたのだ。
特に土の魔力についてはまだ日が浅い。
常に慣らしておかないと、いざ土の魔力を使おうとしても思ったような威力にはならない。
ライオット太守の館を地面ごと粉砕した時は、わたしの体自体が土の魔力そのものみたいなものだったのであれだけの威力が出せたが、今はそんなに力を出すことができない。
そのためにも日々の研鑽が必要だ。
「均等に・・・均等に・・・」
「無意識でもできるようになりなさい。それこそ寝ている時もよ。わかる?」
「なるほど・・・わかりません」
アフロにそう言われたものの、寝ている時にどうやれと言うのか。
ひとまず呼吸に合わせて魔力を纏うような感じにすれば無意識でもできるかな?
「吸って、魔力、吐いて、魔力・・・」
「ユリよ、右手と右足が一緒に出ているのじゃ」
「うぐぐ・・・」
無意識どころか意識しすぎて他に不具合が生じてしまった。
その後もわたしは独り言を言いながら、周囲からは突っ込みを受けながら歩き、やがて待ち合わせの場所が見えて来た。
人が増えてきたので、例によってディーネとサラには迂闊にしゃべらないようお願いをする。
待ち合わせの場所はロイドの町の中央通りにある大噴水。
大噴水というだけあってそれなりに大きい。
きっと祭りの日には悪ノリして飛び込む人も多いのではないだろうか。
川ではないが噴水の中に揚げ鶏肉チェーン店の看板おじさんの像などが沈んでいなければいいなとか、どうでもいいことを考えた。
噴水前には待ち合わせ場所として使いやすいためか、待ち合わせをしている人達がたくさんいた。
その人混みの中から、こちらに手を振る女の子の姿が見えた。
「お姉さん達、こっちです!」
「あ、店員さん!おまたせ!」
「ユリ、魔力を均等になさい」
「アフロちゃん、容赦ないわね・・・」
店員さんを見つけて安心した時にふと気を抜いてしまい、魔力の均衡が崩れてしまった。
そこをすかさずアフロに突っ込まれてしまった。
手を振りかえしながら魔力が均等になるように調整しつつ、店員の女の子の元へ歩いて行った。
「それでは案内しますね」
「あれ、ここに連れてきているのではないの?」
「ここだと人目も多いので。彼女の寝ぐらに案内します」
寝ぐら?
家ではなく寝ぐら?
彼女の不穏な言い方が気になるところだが、とりあえずついていくことにした。
◇
歩くこと十数分。
すでに町の中心から離れ、町の華やかさとはやや無縁な場所に立ち入っていた。
手作り感満載の長屋や掘建小屋ばかりで、貧民街とまではいかないが富裕層とは無縁そうな雰囲気だ。
いくつも建っている掘建小屋の間の小道を通り抜ける。
途中、物珍しそうにわたし達を見る人や、小屋の窓から睨みつけてくる男の人の視線などを無視しつつ歩いていると、やがて店員の女の子は足を止めた。
「こちらです・・・メティス!メティスー!いる!?」
到着した掘建小屋の前で店員の女の子が声をかける。
すると中からゴトゴトと音がして、ギギッと扉が開いた。
そして一人の少女がそっと扉の隙間から顔だけを出した。
「おはよう、ネネ。聞こえてるわよ。どうしたの?・・・この人達は?」
・・・そういえば店員の女の子の名前、聞いてなかったね。
ネネという名前だったのか。
しかし、このメティスという女の子・・・
ネネと同年代か、やや幼く見えるメティスという女の子は、わたしとアフロのほうに顔を向けた。
「この人達はメティスのお客さんよ。メティスに道案内をお願いしたいの」
「道案内?」
「うん。あの謎洞窟に連れて行って欲しいんだって」
「・・・まずはお話を伺いたいです。準備しますのでもう少しお待ちください」
そう言うとメティスは、家の中に引っ込んだ。
ネネはわたし達にペコッと頭を下げた。
「すみません、もう少しお待ちください」
「うん、大丈夫だよ」
「ユリ、今の子・・・」
「うん、アフロちゃん。わたしも気になった。だけどちょっと待って。本人に話を聞きたいの」
本人が触れられたくない話ならば触れないでおきたいし。
・・・触れないわけにはいかないだろうけど。
待つこと数分、メティスが出てきてわたし達を近くの広場へと案内した。
先を歩くメティスとネネ。
やはり年は近いように見える。
互いにくだけた感じで接しており、かなり親しい間柄のようだ。
そんなメティスは額にサークレットのようなものをつけており、メティスがネネの話に頷くたびに埋め込まれた魔石が陽の光を反射してキラキラと光っていた。
広場に着き、ちょうど良い切り株に腰掛けると、わたしはメティスに自己紹介をした。
念のため、わたしはここでも偽名を使わせてもらう。
「わたしはリリー。こちらは姉さんのアフロ。わたしたちは旅芸人なの。ちょっと訳ありで祭壇の洞窟に行きたいので、メティスさんに案内をして欲しいのだけど・・・」
「・・・」
しかしメティスは答えない。
すると、ハッとしたネネがメティスに小声で訊ねる。
「ちょっとメティス、もしかして悪い癖が出てない?せっかくの仕事なんだし、ちゃんと受けようよ」
「でも、ネネちゃん・・・」
ネネの叱責を受けて少し困った様子のメティスだが、戸惑いは隠しきれていない。
「大丈夫、この人達はいい人だと思うの。『ちょっと』酒場の床をぶち抜いたりしたけど、私の勘が大丈夫だと言っているわ!」
「あの、その節は本当にごめんなさい・・・」
わたしの謝罪にぷっと軽く吹き出したメティス。
それを見たネネも笑顔を見せた。
しかしネネはすぐに真顔になると、こちらに向き直った。
「お姉さん。既に気がついているかもしれませんが、見ての通り、メティスは目が見えません・・・実はあまり耳も聞こえません」
「やっぱり・・・」
思った通りだった。
この子は目が見えない。
耳も聞こえないというのは気が付かなかったが、メティスはわたし達に会った時から今もなお、ずっと目をつぶっていた。
だからもしかして・・・と思っていた。
「ですが、問題はありません。額の魔道具が目と耳を補助しているのです。もちろん普通の人と全く同じ生活とはいかないですし、そのせいでなかなか仕事がもらえないんです。でもメティスは頑張り屋だし、事務仕事だって得意です。もちろん道案内だって問題なくできます!ですから仕事を与えてくれませんか?」
深々とネネが頭を下げて懇願する。
わたし達がメティスの家を訪れた時、メティスはネネに『この人『達』は?』と聞いた。
メティスはわたし達が複数名で訪れたことを察していたが、気配や足音ではなくその魔道具のおかげだったというわけだ。
それに道案内に支障がないのであれば全然良いのだ。
ネネの友達想いな気持ちは十分に伝わったし、わたしには断る理由がない。
「ネネさん、わたしは全然構わないよ。でも、むしろメティスさんが渋っているような・・・」
「あー、それはなんというか、お姉さんに問題があるというか・・・」
・・・え、わたし!?
わたしのせいなの!?
「いえいえいえ、問題があると言ってもお姉さんが悪いと言っているのではないんです!違うんです!でもメティスにはそれが分かるというか、とにかく違うんです!」
「よく分からないけど、なんか必死にさせちゃってごめんなさい・・・」
その時、メティスがそっとネネの肩をポンポンと叩いた。
「ネネちゃん。悪いんだけど、私とこの人達だけで話をさせてくれないかな。ネネちゃんにはちょっと席を外してもらいたいの。ネネちゃんに待っててもらうのも悪いから、ネネちゃんは仕事に戻ってもらってもいいよ」
「酒場のお仕事は今日お休みなのよ。この人達が酒場の床を・・・」
「お願い、もう言わないで。ホントごめんなさい・・・」
ネネに対する補償のためにもここはメティスを雇いたいところだが、メティスが話を望んでいるのであれば、まずは話をしてみたいと思う。
「ネネさん。メティスさんとお話させてもらってもいいかな?」
「ええ、もちろんです。よくあることですし、慣れてますから」
慣れてるんかい!
もしかしてメティスは仕事と人を選ぶ面倒くさい子なのだろうか・・・
そのために仕事が得られにくいとか?
でもそんな感じはしないんだけどな・・・
とりあえずネネには広場の反対側に行ってもらい、わたし達とメティスだけで話をすることになった。
話はメティスから切り出した。
「わがままを言ってすみません。ネネはいつも私を心配してくれるのです。本当にわたしはいつも迷惑ばかりかけてます」
「二人は仲良しさんなんだね」
「幼なじみなんです。とても大切な友達です」
頬を赤くしてネネのことを語るメティス。
仲良し以上の絆すら感じる。
「・・・少し私の事をお話します。わたしは小さい頃に事故に遭いました」
メティスはロイドの町で、役所で働く両親の間に生まれた。
大商店の娘のネネとは家が近所で、幼い頃から一緒に遊ぶ仲だった。
ある時、両親との旅行中に馬車が崖から転落する大事故が起きた。
その事故でメティスの両親は亡くなり、メティスは頭に大怪我を負った。
メティスはその後遺症で目と耳が不自由になった。
天涯孤独となったメティスだったが、ネネの両親がメティスを引き取って育ててくれたおかげで、路頭に迷うことはなかった。
そしてメティスのために、どこからか視界と聴力を補助する魔道具を調達してきてくれたお陰でメティスは再び光と音を取り戻すことが出来た。
「この魔道具は、私の頭に直接外の景色を映し出してくれます。音も同様です」
「すっごい魔道具なんだねえ・・・」
「ものすごい魔道具を作る職人が西のほうの島にいると聞きつけたおじ様・・・ネネのお父様が買ってきてくれたものなんです。おじ様は大商人なので、色々な情報をご存知なのです」
「そうなんだ・・・」
メティスはそっと額の魔石に触れた。
「私はネネのご両親とネネに恩返しをしなければと思いました。なので働ける年齢になった時に、ネネの家から出て一人暮らしを始めました」
「よく反対されなかったわね?」
「もちろん反対されました。おじ様からも『もはや娘も同じなのだから、養女として本当にうちの子になって欲しい』と言われました・・・とても嬉しかったです。でもこれ以上お世話になるわけにはいかないと思って、家を出る許可をいただきました。そして、せめてこの魔道具の代金だけは絶対にお返しさせて欲しいとお願いして、仕事で収入をもらうたびに、ネネを通じておじ様にお金を返しています」
メティスの過酷な生い立ちに目頭が熱くなった。
こんなにも強く生きられるメティスは凄いと思った。
もちろんネネと、ネネのご両親のありがたい救いがあったことは間違いないだろうが、もしもわたしだったらそのまま養女の身に甘んじていたような気がする。
「メティスさん。とても尊敬する生き方だわ。だからこそ気になるのだけど、なぜ私の仕事の依頼を渋ったのかしら?洞窟までの道案内は決して変な仕事ではないと思うの。わたしが信用出来ないという話なら仕方がないのだけれども・・・」
「私は事故に遭って目と耳が不自由になってから、しばらくはその他の感覚だけを使って生きてきました。魔道具を使うようになってからも、他の感覚のほうが鋭くなっているように思います。そのせいかは分かりませんが、人の感情に対する感覚の受け止め方が変わったというか・・・なんとなく分かるんです。いつもそうだとは限らないのですけど、大体分かるのです」
「何が分かるの?」
「相手が『嘘をついている』ことが分かるのです」
メティスの言葉で、わたしはサーッと血の気が引いた。
・・・たしかに、わたしは嘘をついている。
名前、職業、本当の目的。
説明したことのほとんどが嘘だ。
名前だけならともかく、ほぼ全てが嘘だと見抜かれたとすれば警戒して当然だろう。
「この感覚のおかげで、わたしは何度も危ない目から逃れることができました。例えばこの魔道具を盗んで売ろうとした人や、私そのものを売り飛ばそうなんていう人もいました」
「とんでもない奴らね・・・」
目と耳が不自由な弱者ならば悪い奴らから狙われやすいだろう。
その能力で窮地を乗り越えてきたのであれば、その能力を信頼して当然だ。
さて、どうするか・・・
本当のことを言うべきだろうか。
「ねえ、ユリ。いいんじゃない?本当のことを言ったら?」
「そうは言っても、サラちゃん。事はそんな簡単では・・・ってサラちゃん!?しゃべっちゃ駄目でしょうが!」
ディーネとサラには動物のふりをしてもらうため、人前でしゃべるのを禁止している。
にも関わらず、サラが勝手にしゃべってしまった。
メティスも『動物さんが・・・動物さんが・・・』とガクブルしている。
しかしサラはわたしの叱責にも関わらず、そのまま話を続けた。
「このままでは話が進まないと思ったのと・・・もうひとつ。その子の魔道具、私知ってるわよ」
「サラちゃんが?なぜ知ってるの?」
「それ、アキムが作った魔道具よ」
「なんですって!?」
つまり『西方の島に住んでいるものすごい魔道具を作る職人』というのは、アキムの事だったのか。
確かにアキムならばとんでもない性能の魔道具を作っても不思議ではない。
「私、見てたから覚えているわよ。『娘の大切な友達のために魔道具を作って欲しい。娘の友人だが娘同様に大切な子の将来のために』って毎日毎日男の人が来たのよ。アキムは何度も追い返したんだけど、ついにアキムが根負けしてね。その魔道具を作ってあげたのよ」
「そうだったの。まさかこんなところでアキム様との繋がりが見つかるとはねえ・・・」
「おじ様・・・私のために・・・うっうっ・・・」
メティスはぽろぽろと涙を流していた。
本当の娘のようにメティスを愛してくれているネネのご両親の気持ちに、わたしも感動した。
それにその魔道具。
アキムの形見とも言えるその魔道具を持つメティスの力になりたいと心から思った。
「その代わり、アキムはすっごい金額を要求していたわよ」
「・・・幾らぐらい?」
「確か・・・」
サラが金額を言う。
そしてその金額に、再びわたしの血の気が引いた。
メティスも真っ青になって『やっぱりおじ様が言った金額は嘘だったんだ・・・違うとは思っていたから倍額は返すつもりだったけど、桁が・・・桁が・・・』とブツブツ言っている。
アキム様・・・鬼畜か。
でもまあ超級な魔道具には違いないだろうし仕方ないのだろうか。
ひっそりと余生を過ごしたかったアキムがあえてぶっとんだ金額を提示することで、他の客が来ないようにしたのかもしれない。
「それにしてもリリーさん達、わたしの魔道具を作ってくれた人とお知り合いだとは驚きました。それにおしゃべりする動物・・・」
「ああ、サラちゃんね。実はこっちの子もお話できるのよ。ディーネっていうの」
ディーネが一歩メティスに近づく。
メティスが二歩後ずさる。
・・・まあ、普通は怖いよね。
そのハシビロコウの顔は。
「ディーネちゃんじゃ。娘よ、よろしく頼むのじゃ」
「はっ、はい。よろしくお願いします、のじゃ」
「語尾は合わせなくて良いのじゃ」
「はあ・・・はい」
・・・割と天然な子なのかもしれない。
「・・うん。決めた。嘘つくのやめる!」
「リリーさん?」
「まずその名前ね。わたしはユリって言うの」
それからわたしはメティスに本当の目的を話した。
わたしがニューロックから来たこと、いわゆる勇者だと言われていること、ディーネとサラとアフロの事、洞窟に向かう本当の目的について、メティスに話をした。
「・・・正直驚いていますし、信じがたいです。それに勇者様は亡くなったと噂で聞いていました。でも嘘だとも思えません・・・」
「あはは・・・そりゃそうよね。無理もないわ。でも本当のことなの。それにわたしは死んでない。ただ、今の話は全部秘密にしてね」
「はい、秘密にします!・・・それで、道案内についてですけど、もちろん私にやらせてください!」
「うん、頼りにしてるね」
メティスは話がまとまったことをネネに告げると、ネネは破顔して喜び、わたし達にもお礼を言った。
それからわたし達は一度ロイドの町の商店を回って食料や飲料水、それと必要な道具を買い揃え、いよいよ祭壇の洞窟へと向かうこととなった。
「さあ、気合を入れて行くわよ、洞窟へ!」
「ユリ、また土の魔力量が合ってないわよ。気合を入れるのはユリよ」
「アフロちゃん、水を差さないでよ・・・」
「水じゃなくて土よ」
「・・・」
わたしは纏う魔力量に常に気をつけつつ、洞窟へと向かった。
わたし達は近所の宿屋で一泊して朝食を済ませた後、指定された待ち合わせの場所へと向かっていた。
それにしても・・・なかなかしんどい。
もちろん二日酔いの話ではない。
あれぐらいで酔うわけもないし、そんな程度で酔っていては酒場で喧嘩など出来ない。
・・・でも床をぶち破ったのは酔ったせいにしておきたい。
しんどい理由、それは・・・
「ユリよ、土の魔力が弱いのじゃ。しっかり魔力量を合わせるのじゃ」
「うん、わかった。ありがとう、ディーネちゃん!」
歩きながらディーネに指摘を受ける。
わたしは昨日の不甲斐ない試合の後でアフロから指導を受けていた。
まずやることとして、常に全身に一定量の魔力を纏わせておくこと。
これは昔アキムにも言われたことで、アドバイスをもらってからはできる限り実践していた。
ただし今は少し事情が異なる。
当時、わたしはディーネだけを支配していたため、水の魔力だけを意識しておけばよかった。
しかし今は風と土の精霊力も得ているため、そのふたつの属性についても水の魔力と同様に均等に纏わせなければならないと言われたのだ。
特に土の魔力についてはまだ日が浅い。
常に慣らしておかないと、いざ土の魔力を使おうとしても思ったような威力にはならない。
ライオット太守の館を地面ごと粉砕した時は、わたしの体自体が土の魔力そのものみたいなものだったのであれだけの威力が出せたが、今はそんなに力を出すことができない。
そのためにも日々の研鑽が必要だ。
「均等に・・・均等に・・・」
「無意識でもできるようになりなさい。それこそ寝ている時もよ。わかる?」
「なるほど・・・わかりません」
アフロにそう言われたものの、寝ている時にどうやれと言うのか。
ひとまず呼吸に合わせて魔力を纏うような感じにすれば無意識でもできるかな?
「吸って、魔力、吐いて、魔力・・・」
「ユリよ、右手と右足が一緒に出ているのじゃ」
「うぐぐ・・・」
無意識どころか意識しすぎて他に不具合が生じてしまった。
その後もわたしは独り言を言いながら、周囲からは突っ込みを受けながら歩き、やがて待ち合わせの場所が見えて来た。
人が増えてきたので、例によってディーネとサラには迂闊にしゃべらないようお願いをする。
待ち合わせの場所はロイドの町の中央通りにある大噴水。
大噴水というだけあってそれなりに大きい。
きっと祭りの日には悪ノリして飛び込む人も多いのではないだろうか。
川ではないが噴水の中に揚げ鶏肉チェーン店の看板おじさんの像などが沈んでいなければいいなとか、どうでもいいことを考えた。
噴水前には待ち合わせ場所として使いやすいためか、待ち合わせをしている人達がたくさんいた。
その人混みの中から、こちらに手を振る女の子の姿が見えた。
「お姉さん達、こっちです!」
「あ、店員さん!おまたせ!」
「ユリ、魔力を均等になさい」
「アフロちゃん、容赦ないわね・・・」
店員さんを見つけて安心した時にふと気を抜いてしまい、魔力の均衡が崩れてしまった。
そこをすかさずアフロに突っ込まれてしまった。
手を振りかえしながら魔力が均等になるように調整しつつ、店員の女の子の元へ歩いて行った。
「それでは案内しますね」
「あれ、ここに連れてきているのではないの?」
「ここだと人目も多いので。彼女の寝ぐらに案内します」
寝ぐら?
家ではなく寝ぐら?
彼女の不穏な言い方が気になるところだが、とりあえずついていくことにした。
◇
歩くこと十数分。
すでに町の中心から離れ、町の華やかさとはやや無縁な場所に立ち入っていた。
手作り感満載の長屋や掘建小屋ばかりで、貧民街とまではいかないが富裕層とは無縁そうな雰囲気だ。
いくつも建っている掘建小屋の間の小道を通り抜ける。
途中、物珍しそうにわたし達を見る人や、小屋の窓から睨みつけてくる男の人の視線などを無視しつつ歩いていると、やがて店員の女の子は足を止めた。
「こちらです・・・メティス!メティスー!いる!?」
到着した掘建小屋の前で店員の女の子が声をかける。
すると中からゴトゴトと音がして、ギギッと扉が開いた。
そして一人の少女がそっと扉の隙間から顔だけを出した。
「おはよう、ネネ。聞こえてるわよ。どうしたの?・・・この人達は?」
・・・そういえば店員の女の子の名前、聞いてなかったね。
ネネという名前だったのか。
しかし、このメティスという女の子・・・
ネネと同年代か、やや幼く見えるメティスという女の子は、わたしとアフロのほうに顔を向けた。
「この人達はメティスのお客さんよ。メティスに道案内をお願いしたいの」
「道案内?」
「うん。あの謎洞窟に連れて行って欲しいんだって」
「・・・まずはお話を伺いたいです。準備しますのでもう少しお待ちください」
そう言うとメティスは、家の中に引っ込んだ。
ネネはわたし達にペコッと頭を下げた。
「すみません、もう少しお待ちください」
「うん、大丈夫だよ」
「ユリ、今の子・・・」
「うん、アフロちゃん。わたしも気になった。だけどちょっと待って。本人に話を聞きたいの」
本人が触れられたくない話ならば触れないでおきたいし。
・・・触れないわけにはいかないだろうけど。
待つこと数分、メティスが出てきてわたし達を近くの広場へと案内した。
先を歩くメティスとネネ。
やはり年は近いように見える。
互いにくだけた感じで接しており、かなり親しい間柄のようだ。
そんなメティスは額にサークレットのようなものをつけており、メティスがネネの話に頷くたびに埋め込まれた魔石が陽の光を反射してキラキラと光っていた。
広場に着き、ちょうど良い切り株に腰掛けると、わたしはメティスに自己紹介をした。
念のため、わたしはここでも偽名を使わせてもらう。
「わたしはリリー。こちらは姉さんのアフロ。わたしたちは旅芸人なの。ちょっと訳ありで祭壇の洞窟に行きたいので、メティスさんに案内をして欲しいのだけど・・・」
「・・・」
しかしメティスは答えない。
すると、ハッとしたネネがメティスに小声で訊ねる。
「ちょっとメティス、もしかして悪い癖が出てない?せっかくの仕事なんだし、ちゃんと受けようよ」
「でも、ネネちゃん・・・」
ネネの叱責を受けて少し困った様子のメティスだが、戸惑いは隠しきれていない。
「大丈夫、この人達はいい人だと思うの。『ちょっと』酒場の床をぶち抜いたりしたけど、私の勘が大丈夫だと言っているわ!」
「あの、その節は本当にごめんなさい・・・」
わたしの謝罪にぷっと軽く吹き出したメティス。
それを見たネネも笑顔を見せた。
しかしネネはすぐに真顔になると、こちらに向き直った。
「お姉さん。既に気がついているかもしれませんが、見ての通り、メティスは目が見えません・・・実はあまり耳も聞こえません」
「やっぱり・・・」
思った通りだった。
この子は目が見えない。
耳も聞こえないというのは気が付かなかったが、メティスはわたし達に会った時から今もなお、ずっと目をつぶっていた。
だからもしかして・・・と思っていた。
「ですが、問題はありません。額の魔道具が目と耳を補助しているのです。もちろん普通の人と全く同じ生活とはいかないですし、そのせいでなかなか仕事がもらえないんです。でもメティスは頑張り屋だし、事務仕事だって得意です。もちろん道案内だって問題なくできます!ですから仕事を与えてくれませんか?」
深々とネネが頭を下げて懇願する。
わたし達がメティスの家を訪れた時、メティスはネネに『この人『達』は?』と聞いた。
メティスはわたし達が複数名で訪れたことを察していたが、気配や足音ではなくその魔道具のおかげだったというわけだ。
それに道案内に支障がないのであれば全然良いのだ。
ネネの友達想いな気持ちは十分に伝わったし、わたしには断る理由がない。
「ネネさん、わたしは全然構わないよ。でも、むしろメティスさんが渋っているような・・・」
「あー、それはなんというか、お姉さんに問題があるというか・・・」
・・・え、わたし!?
わたしのせいなの!?
「いえいえいえ、問題があると言ってもお姉さんが悪いと言っているのではないんです!違うんです!でもメティスにはそれが分かるというか、とにかく違うんです!」
「よく分からないけど、なんか必死にさせちゃってごめんなさい・・・」
その時、メティスがそっとネネの肩をポンポンと叩いた。
「ネネちゃん。悪いんだけど、私とこの人達だけで話をさせてくれないかな。ネネちゃんにはちょっと席を外してもらいたいの。ネネちゃんに待っててもらうのも悪いから、ネネちゃんは仕事に戻ってもらってもいいよ」
「酒場のお仕事は今日お休みなのよ。この人達が酒場の床を・・・」
「お願い、もう言わないで。ホントごめんなさい・・・」
ネネに対する補償のためにもここはメティスを雇いたいところだが、メティスが話を望んでいるのであれば、まずは話をしてみたいと思う。
「ネネさん。メティスさんとお話させてもらってもいいかな?」
「ええ、もちろんです。よくあることですし、慣れてますから」
慣れてるんかい!
もしかしてメティスは仕事と人を選ぶ面倒くさい子なのだろうか・・・
そのために仕事が得られにくいとか?
でもそんな感じはしないんだけどな・・・
とりあえずネネには広場の反対側に行ってもらい、わたし達とメティスだけで話をすることになった。
話はメティスから切り出した。
「わがままを言ってすみません。ネネはいつも私を心配してくれるのです。本当にわたしはいつも迷惑ばかりかけてます」
「二人は仲良しさんなんだね」
「幼なじみなんです。とても大切な友達です」
頬を赤くしてネネのことを語るメティス。
仲良し以上の絆すら感じる。
「・・・少し私の事をお話します。わたしは小さい頃に事故に遭いました」
メティスはロイドの町で、役所で働く両親の間に生まれた。
大商店の娘のネネとは家が近所で、幼い頃から一緒に遊ぶ仲だった。
ある時、両親との旅行中に馬車が崖から転落する大事故が起きた。
その事故でメティスの両親は亡くなり、メティスは頭に大怪我を負った。
メティスはその後遺症で目と耳が不自由になった。
天涯孤独となったメティスだったが、ネネの両親がメティスを引き取って育ててくれたおかげで、路頭に迷うことはなかった。
そしてメティスのために、どこからか視界と聴力を補助する魔道具を調達してきてくれたお陰でメティスは再び光と音を取り戻すことが出来た。
「この魔道具は、私の頭に直接外の景色を映し出してくれます。音も同様です」
「すっごい魔道具なんだねえ・・・」
「ものすごい魔道具を作る職人が西のほうの島にいると聞きつけたおじ様・・・ネネのお父様が買ってきてくれたものなんです。おじ様は大商人なので、色々な情報をご存知なのです」
「そうなんだ・・・」
メティスはそっと額の魔石に触れた。
「私はネネのご両親とネネに恩返しをしなければと思いました。なので働ける年齢になった時に、ネネの家から出て一人暮らしを始めました」
「よく反対されなかったわね?」
「もちろん反対されました。おじ様からも『もはや娘も同じなのだから、養女として本当にうちの子になって欲しい』と言われました・・・とても嬉しかったです。でもこれ以上お世話になるわけにはいかないと思って、家を出る許可をいただきました。そして、せめてこの魔道具の代金だけは絶対にお返しさせて欲しいとお願いして、仕事で収入をもらうたびに、ネネを通じておじ様にお金を返しています」
メティスの過酷な生い立ちに目頭が熱くなった。
こんなにも強く生きられるメティスは凄いと思った。
もちろんネネと、ネネのご両親のありがたい救いがあったことは間違いないだろうが、もしもわたしだったらそのまま養女の身に甘んじていたような気がする。
「メティスさん。とても尊敬する生き方だわ。だからこそ気になるのだけど、なぜ私の仕事の依頼を渋ったのかしら?洞窟までの道案内は決して変な仕事ではないと思うの。わたしが信用出来ないという話なら仕方がないのだけれども・・・」
「私は事故に遭って目と耳が不自由になってから、しばらくはその他の感覚だけを使って生きてきました。魔道具を使うようになってからも、他の感覚のほうが鋭くなっているように思います。そのせいかは分かりませんが、人の感情に対する感覚の受け止め方が変わったというか・・・なんとなく分かるんです。いつもそうだとは限らないのですけど、大体分かるのです」
「何が分かるの?」
「相手が『嘘をついている』ことが分かるのです」
メティスの言葉で、わたしはサーッと血の気が引いた。
・・・たしかに、わたしは嘘をついている。
名前、職業、本当の目的。
説明したことのほとんどが嘘だ。
名前だけならともかく、ほぼ全てが嘘だと見抜かれたとすれば警戒して当然だろう。
「この感覚のおかげで、わたしは何度も危ない目から逃れることができました。例えばこの魔道具を盗んで売ろうとした人や、私そのものを売り飛ばそうなんていう人もいました」
「とんでもない奴らね・・・」
目と耳が不自由な弱者ならば悪い奴らから狙われやすいだろう。
その能力で窮地を乗り越えてきたのであれば、その能力を信頼して当然だ。
さて、どうするか・・・
本当のことを言うべきだろうか。
「ねえ、ユリ。いいんじゃない?本当のことを言ったら?」
「そうは言っても、サラちゃん。事はそんな簡単では・・・ってサラちゃん!?しゃべっちゃ駄目でしょうが!」
ディーネとサラには動物のふりをしてもらうため、人前でしゃべるのを禁止している。
にも関わらず、サラが勝手にしゃべってしまった。
メティスも『動物さんが・・・動物さんが・・・』とガクブルしている。
しかしサラはわたしの叱責にも関わらず、そのまま話を続けた。
「このままでは話が進まないと思ったのと・・・もうひとつ。その子の魔道具、私知ってるわよ」
「サラちゃんが?なぜ知ってるの?」
「それ、アキムが作った魔道具よ」
「なんですって!?」
つまり『西方の島に住んでいるものすごい魔道具を作る職人』というのは、アキムの事だったのか。
確かにアキムならばとんでもない性能の魔道具を作っても不思議ではない。
「私、見てたから覚えているわよ。『娘の大切な友達のために魔道具を作って欲しい。娘の友人だが娘同様に大切な子の将来のために』って毎日毎日男の人が来たのよ。アキムは何度も追い返したんだけど、ついにアキムが根負けしてね。その魔道具を作ってあげたのよ」
「そうだったの。まさかこんなところでアキム様との繋がりが見つかるとはねえ・・・」
「おじ様・・・私のために・・・うっうっ・・・」
メティスはぽろぽろと涙を流していた。
本当の娘のようにメティスを愛してくれているネネのご両親の気持ちに、わたしも感動した。
それにその魔道具。
アキムの形見とも言えるその魔道具を持つメティスの力になりたいと心から思った。
「その代わり、アキムはすっごい金額を要求していたわよ」
「・・・幾らぐらい?」
「確か・・・」
サラが金額を言う。
そしてその金額に、再びわたしの血の気が引いた。
メティスも真っ青になって『やっぱりおじ様が言った金額は嘘だったんだ・・・違うとは思っていたから倍額は返すつもりだったけど、桁が・・・桁が・・・』とブツブツ言っている。
アキム様・・・鬼畜か。
でもまあ超級な魔道具には違いないだろうし仕方ないのだろうか。
ひっそりと余生を過ごしたかったアキムがあえてぶっとんだ金額を提示することで、他の客が来ないようにしたのかもしれない。
「それにしてもリリーさん達、わたしの魔道具を作ってくれた人とお知り合いだとは驚きました。それにおしゃべりする動物・・・」
「ああ、サラちゃんね。実はこっちの子もお話できるのよ。ディーネっていうの」
ディーネが一歩メティスに近づく。
メティスが二歩後ずさる。
・・・まあ、普通は怖いよね。
そのハシビロコウの顔は。
「ディーネちゃんじゃ。娘よ、よろしく頼むのじゃ」
「はっ、はい。よろしくお願いします、のじゃ」
「語尾は合わせなくて良いのじゃ」
「はあ・・・はい」
・・・割と天然な子なのかもしれない。
「・・うん。決めた。嘘つくのやめる!」
「リリーさん?」
「まずその名前ね。わたしはユリって言うの」
それからわたしはメティスに本当の目的を話した。
わたしがニューロックから来たこと、いわゆる勇者だと言われていること、ディーネとサラとアフロの事、洞窟に向かう本当の目的について、メティスに話をした。
「・・・正直驚いていますし、信じがたいです。それに勇者様は亡くなったと噂で聞いていました。でも嘘だとも思えません・・・」
「あはは・・・そりゃそうよね。無理もないわ。でも本当のことなの。それにわたしは死んでない。ただ、今の話は全部秘密にしてね」
「はい、秘密にします!・・・それで、道案内についてですけど、もちろん私にやらせてください!」
「うん、頼りにしてるね」
メティスは話がまとまったことをネネに告げると、ネネは破顔して喜び、わたし達にもお礼を言った。
それからわたし達は一度ロイドの町の商店を回って食料や飲料水、それと必要な道具を買い揃え、いよいよ祭壇の洞窟へと向かうこととなった。
「さあ、気合を入れて行くわよ、洞窟へ!」
「ユリ、また土の魔力量が合ってないわよ。気合を入れるのはユリよ」
「アフロちゃん、水を差さないでよ・・・」
「水じゃなくて土よ」
「・・・」
わたしは纏う魔力量に常に気をつけつつ、洞窟へと向かった。
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