ポニーテールの勇者様

相葉和

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102 かりそめの平穏とそろばん製作工房

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「で、これがその計算用の練習道具なわけ?」
「ええ、そう。『そろばん』というのよ、アフロちゃん」

そろばんを片手に持ち、指を滑らせたりチャキチャキと振ったり、興味深そうにそろばんを触っているアフロに、エスカが答えた。

アフロはコーラルの町に新設された工房を訪れていた。
カークはそろばんを量産するためにコーラルの町の一角に専用の工房を作った。
工房にはそろばん制作用の魔道具を複数設置し、先日の戦いで募集した義勇兵の中から工房で働く希望者を募って大量生産体制を整え、量産を開始していた。
既にかなりの数のそろばんが製作され、ニューロックの各地に発送する準備も整いつつあった。
また、工房ではそろばんの練習用問題集や『かけざん九九』も製作・量産することになっており、由里監修の資料を元に、印刷・製本も進んでいた。
今日はエスカも工房に赴き、そろばん製作の進み具合と魔道具のメンテナンス、そろばんの品質チェックなどを行っていた。
アフロは興味本位と暇つぶしに来ただけであったが。
エスカは一通りのチェックを済ませると、工房長に声をかけた。

「特に問題ないみたいね。工房長、このまま量産を続けてね。特に品質には気をつけてね」
「うす。承知しました。エスカの姐さん!」
「あたしは姉さん呼びしなくていいよ。ユリちゃんだけにしといて」

エスカを苦笑させた工房長は、あの『月夜の盗賊団』改め『月夜の義勇団』のリーダーの男だ。
工房の作業員のほとんどは『月夜の義勇団』のメンバーだった。

「ユリの姐さんやエスカの姐さん達のおかげで、こうしてまっとうな仕事に就けているんです。姐さんと呼ばせてくださいよ」
「はいはい、好きにして」
「アフロの姐さんも、よろしくご贔屓に!」
「・・・私は巻き込まないでちょうだい」

アフロは苦笑ではなく、睨みを工房長を返した。

「でもまあ、こうして平和にそろばん製作に精を出せるのも、ユリちゃんやアフロちゃんのお陰だしね」
「かりそめの平和でしょうけどね」

ニューロックと王都軍との戦いから、既に数日が経過していた。
被害を受けた港町の修復も順調に進み、ニューロックの『国民』は戦いの前と同じような生活に戻っていた。
ニューロックが勝利宣言を上げた日以降、王都は新たな動きを見せていなかった。
王都側の敗因はグレース艦隊に責任があり王が負けた訳ではないことと、ニューロックの独立は断固認めないといった声明を出したきりで、新たな軍事行動を行う様子は今のところは無かった。
ニューロック側としても、策もなしに王都に攻め込む愚を犯すつもりはなく、相手が手を出してこないのならば、ひとまずは国力増強と他領の動向監視に注力することとして、見た目は平和な状態となっていた。
もっとも、他領との交流については厳重かつ慎重に対応しており、特に他領からニューロックへの入国については、王都へ情報が流出する事や要人の暗殺を警戒して、現在は原則禁止となっている。
いわば鎖国状態ではあるが、その政策のお陰もあってある程度は安心して内政に注力でき、『計算能力向上計画』の準備も着々と進んでいた。

「それにしても『計算能力向上計画』なんて、ユリちゃんらしいよね。たしかにユリちゃんの計算能力は凄い。頭の回転が早いのも頷けるわ」
「ユリってそんな凄いの?」
「凄いなんてもんじゃないわよ。あれば生きてる計算機ね」
「死んだら使えなくなる計算機なんて不便じゃない」
「いやいや、それはちょっとなんか違う・・・」

アフロは再びそろばんを手でもてあそび、パチパチと玉をはじいてみた。

「ま、面白そうならワタシもやってみようかしらね」
「あれ、そういえばアフロちゃん。ユリちゃん達は?一緒じゃないわよね?」
「ええ。今は別行動。ワタシはユリに勧められて工房を見に来ただけ。ユリ達ならば港に行ったわ。お花を持ってね」



「んー、潮風が気持ちいいね」
「ユリよ。祈りはもうよいのか?」
「うん。一応ね」

わたしはコーラルの港に来ていた。
港はまだ先の戦いの被害で一部が破損しており、その復旧作業が行われていたが、作業の邪魔にならないように人の少ない所で海に向かって祈りを捧げていた。
戦いの中で町を救うために命を落としたアキムへの祈りだ。
サラはまだ黙祷しているが、カピバラの姿のサラは寝ているようにも見える。

「で、その花はどうするのじゃ?」
「これはね。こうするの!」

そう言ってわたしは、海に向かって花束を放り投げた。

「この星の習慣とは違うかもしれないけど、わたしの星では海で亡くなった人への手向けにこうやって花を海に投げたりするんだけどね。アキム様の場合、厳密には海で亡くなったわけではないし、お墓もないからどうしようか悩んだんだけどね」
「なるほどの。良いのではないか。アキムにもきっと祈りが届いていると思うのじゃ」
「ふふっ。ありがとう、ディーネちゃん」
「何なら盛大な水柱でも立てて派手な追悼をやろうかの」
「そんな追悼の仕方、聞いたこと無いし、港で仕事している人に迷惑がかかるからやめてね」

ディーネの冗談だろうとは思うけど、もしも水芸が追悼になるならばわたしが自分でやるけどね。
そのぐらいのことができなくてはアキム様に顔向けもできないし。

サラも黙祷を終えて、わたしのほうに顔を向けた。

「私も祈りは済んだわ。ディーネちゃんが水柱を立てても私が吹き飛ばすから大丈夫よ」
「サラちゃん、それ全然大丈夫に聞こえないわよ。きっと余計な被害が増えるだけよ」

サラもそんな冗談を飛ばしてきたが、時折暗い表情・・・だと思う仕草をすることがある。
カピバラも基本的に無表情なのでわかりにくいけど。
気丈に振る舞ってはいるが、たまに寂しく思うことはあるのだと思う。

それにしても、ハシビロコウといいカピバラといい、なんで無表情な動物ばかりを・・・
まあそこも魅力なんだけど。

「じゃあ戻ろうか。アフロちゃんが工房に行ってると思うし、そろばんの量産具合も見てみたいから、わたしたちも行ってみよう」
「そうじゃな」

わたし達が工房に向けて歩き出すと、港で働いている人達が物珍しそうにこっちを眺めたり、声をかけてきたりした。
主に激励だったり、連れている動物の事だったり、単なる挨拶だったりするが、ちょっとした有名人みたいで気恥ずかしい。
いや、有名人には違いないけど。

塩対応をしないように心がけているので、声をかけてくれるのは嬉しいけれども、港湾地区を抜けるのにだいぶ時間がかかってしまった。
ちなみに港に向かう時も同様だった。
既に予定していた時間を大幅に過ぎていた。

護衛に囲まれていれば気軽に話しかけられるようなことは無かったかもしれないけど、ノーラとアドルは今日は別件で用事があったし、騎士にわざわざ護衛をお願いするのもどうかと思ったし、そもそも大精霊が二人付いているという、この世界で最強クラスの護衛がいるわけで・・・
それに気軽に声をかけにくい勇者さんってのもどうかと思うわけで。
わたしとしてはどうせなら某アイドルのように『会いに行ける勇者』ぐらいの距離感がいいなと思っていた。
とはいえ、これではおそらく町中でも足止めを食らうことだろう。

「ねえディーネちゃん、サラちゃん。工房までは少し距離があるし、だいぶ遅くなっちゃったから、飛んで行っちゃわない?」
「妾は構わぬよ」
「いいわよ。競争ってことね」
「はい?」

サラはそう言うと、全身に精霊力をみなぎらせて空に舞い上がった。
そして足を動かして、まるで空を歩いていくかのように飛んでいった。

空飛ぶカピバラ・・・違和感しか無い。
てか、足をパタパタ動かす意味あるの?
かわいいけど。

ディーネもサラを追いかけるように助走をつけ、飛び立った。。
以前よりも高く飛べるようになったディーネは、大きな羽根をバッサバッサと羽ばたかせて、あっという間に小さくなっていった。

「ああっ・・・待って!」

わたしも風の魔力を纏って宙に舞い上がると、二人を追いかけて飛んだ。

・・・面白い、やってやろうじゃないのよ!

わたしは先をゆく二人を魔力全開で追いかけた。
久しぶりに飛んだが、気分は電話ボックスで着替える超凄い男や、バトル系漫画の飛行能力使いだ。

徐々に二人に近づいてきた。
ディーネは純粋に鳥の飛行能力で飛んでいるようだ。
サラはまだ慣れない体に多少手こずっているのだろうか、それほどの速度は出ていない。
サラが後ろをチラ見してわたしを視認すると、慌てて足の速度を上げた。
・・・いや、その足の動き、意味ないよね?

とにかくゴールはもうすぐだ。
町の南方、木材問屋のなるべく近くという希望を汲んで作ってもらった工房が徐々に見えてきた。
しかしこのままでは二人に負けてしまう。
わたしは魔力を更に高めると、加速することに意識を集中した。

もっと、もっとよ・・・
空気の壁が重い・・・
でも負けられない。あと少し・・・
あと少しでスピードの向こう側に、幻のギアに・・・!

そしてついにディーネを、サラを追い抜いた。

「やったわ!このまま工房に・・・ああっ!止まらない!」

めちゃくちゃ加速がついていたわたしはブレーキが間に合わず、そのまま工房の屋根に衝突した。



「・・・で、止まらなくて、そのまま天井を突き破って入ってきたと。そういうことね、ユリちゃん」
「はい。大変申し訳ございません」

わたしは正座で、エスカにお叱りを受けていた。
アフロも説教の様子を見ている。

工房の屋根への衝突を覚悟したわたしは、とっさに水の防御を厚く張り、衝撃を抑え込んだ。
わたしのダメージは皆無だったが、工房の屋根にポッカリと穴が空いてしまった。

「そこの二人も同じなのね。ディーネちゃん。サラちゃん」
「うむ。済まないのじゃ」
「ちょっと熱くなっちゃったのよ。悪かったわね」

屋根の穴は三つ空いていた。

「まあ、無事で良かったけどね。ユリちゃんらしい豪快な遊び方だわね」
「ほんと、あんたら、お気楽ね・・・」

再びアフロちゃんに生暖かい目でみられてしまったよ・・・
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