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091 コーラル防衛戦その二
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それは絶望的な光景だった。
さきほどの火の玉とは比べものにならないほどに巨大な火の玉が接近していた。
直径はどれぐらいだろう。
五十メートル?百メートル?
遠目ではあるが、地球で見た事のある隕石落下のニュースでも見たことも聞いたこともない大きさに思われた。
・・・もはや隕石じゃないの。
こんなの守りきれないよ。
せめて遠くに逃げないと・・・ラプターで逃げる?
でもわたしだけが逃げて、コーラルが全滅して、それからどうするというのか。
その時、ディーネが羽根でわたしにそっと触れた。
「ユリよ。せめてユリは逃げるのじゃ」
「ディーネちゃん?イヤよ。逃げるならディーネちゃんも一緒に!」
「妾はこの星の精霊じゃ。せめて少しでも被害を少なくしたいのじゃ。やれるだけのことはやっておきたい。それに妾が死ぬことはないじゃろう。じゃが、ニューロックは、コーラルは、もう無理じゃ」
ハシビロコウが無表情でうなだれていた。
もともと無表情だけど、その姿は絶望がはっきりと見て取れた。
「そんな・・・じゃあカークさんは?エリザさんやミライちゃんはどうなっちゃうの!」
「・・・」
ディーネは答えなかった。
これほどの巨大な隕石が着弾したら、とんでもない衝撃と津波が押し寄せるだろう。
被害は計り知れない。
直撃による災害だけでなく、二次被害も必死だろう。
・・・みんな死んじゃうなら、わたしだけ生き残っても意味がないじゃない。
「ディーネちゃん。わたしだけ逃げるなんてまっぴらごめんよ。わたしは勇者なのでしょう?だったら最後まで、一緒にあがきたい」
「ユリよ、しかし・・・」
「案ずることはない」
わたしとディーネで話をしている所にアキムがやってきて、わたしの肩をポンと叩いた。
「アキム様?」
「大丈夫だ。手はある。儂に任せよ」
そう言って、アキムはわたしに優しく笑いかけた。
「手はあるのですか?あんな巨大な隕石ですよ!?」
「ああ。手はある。むしろ儂にしかできぬであろう」
ふとアキムがラプターに目を向けた。
アキムがなにやら魔道具を取りに行った時に、カークの館に行くのに使ったラプターだ。
ラプターは先の火の玉攻撃の際、わたしの結界の内側にあったため、被害をまぬがれていた。
アキムがラプターに目を向けたのは無意識だったのだろうが、わたしはその眼につられ、わたしもラプターを見た。
ラプターには魔道具らしきものが乗っており、わたしもそれは見た記憶があった。
・・・あれ、なんの魔道具だったっけか。
一度見せてもらったような。
「ユリよ。すまないが、サラの事を頼んでよいか?」
「はい?」
アキムはそうわたしに言うと、口をつぐんだ。
・・・サラちゃんをわたしに頼む?
今、アキム様はそう言ったよね?
嫌な予感しかしなかった。
全身に寒気が襲うと同時に、わたしはアキムに食って掛かった。
「頼むってどういう事ですか!?アキム様は何をする気ですか!?」
アキムは答えなかった。
アキムが何をする気かは分からなかったが、嫌な予感だけは拭えなかった。
「ラプターに魔道具があるのでしょう?あれでどうにかするつもりなのでしょう?何をするのですか?教えてください!」
「心配するな。ニューロックは守る」
「わたしが心配しているのはアキム様の事です!アキム様が何をする気なのか教えて下さいよ!」
わたしが狼狽している姿を見たアキムは、再びわたしに笑いかけると、今度はわたしの頭をポンと叩いた。
「ユリ。後の事は任せる。お前との数日間はとても楽しかったぞ。今度はカークに怒られないように徹夜で麻雀をやろう。では行ってくる」
そしてアキムはちょっと買い物をしてくるぐらいのノリでラプターへと向かった。
「え?ええっ?」
アキムのあまりの口調の軽さに、アキムを見送ってしまった。
しかし数秒後、理解した。
アキムがわたしに別れを告げた事を。
わたしはラプターに乗り込もうとしているアキムを慌てて追いかけた。
「そんな!ダメです!行かせませんよ!」
「行かせないのはユリよ」
アキムを追いかけて走ったわたしは、唐突な突風で進路を妨害され、足を止められてしまった。
わたしの目の前にはサラが立ちはだかっていた。
「サラちゃん・・・邪魔しないで」
「邪魔するわ。ごめんなさいね」
「・・・サラちゃんでも許さないわよ。アキム様を止めるの。もう一度言うわ。邪魔しないで」
わたしは憤りで逆に冷静になった。
・・・サラを排除してアキムを止める。
刺し違えても、いや、むしろここでサラを倒して、言うことを聞かせる。
「水の防御、全か・・・」
「アキムの残り少ない命を・・・無駄にさせないで」
「・・・え?」
・・・今なんて言った?
それに、サラちゃん、声が震えてる?
わたしは水の防御を展開するのをやめて、悲しそうにうつむくサラを見た。
その時、アキムの乗るラプターが飛び立ち、飛来する隕石に向かって飛び立ってしまった。
「ああっ・・・。サラちゃん、止めてよ!アキム様を止めてよ!」
「だから言ってるでしょう!アキムの最後の命を無駄にしないでよ!!!」
サラの悲鳴とも思える大声に、わたしはたじろいでしまった。
それに先程からサラが言っていることが引っかかる。
悲壮な様子のサラに、抗議の声の代わりに別のお願いをした。
「教えて、サラちゃん。アキム様に何があったの?」
「・・・アキムはね、もう長くないの。時を止める魔術の制約を破ったから」
それからサラは飛び立ったアキムの方角を見つめながら、静かに語った。
アキムが自身に作用させていた魔道具の効果で、アキムは自身の老化を止め、長い年月を生きてきた。
その魔道具については、かつてアキムが説明してくれた。
『特殊な魔道具だ。この魔道具によって、様々な制約と条件の下で、儂の時は止まっている。この星の人間に過去の話ができないのもそのためだ』
過去の話が出来ない制約についてはその折に聞いていた。
しかし、様々、と言っていた通り、制約はそれだけではなかった
魔道具の条件には、居場所の制約もあったという。
「アキムはロップヤードから離れることが出来なかったのよ。ロップヤードから離れたらアキムの時は動き出す。そういう制約よ。アキムはそれを分かっていて、コーラルに来たのよ」
「そんな・・・」
魔道具の制約の反動で、アキムにどんな影響があるかは分からない。
それに、もともと高齢だし、程度は分からないが持病もあったそうだ。
・・・救護所で休んでいたのも、疲労だけじゃなくて、その影響かもしれない。
「アキムは残された時間をこの星を救うために使うことにしたの。だからユリが気に病むことはないのよ」
「でも!だからってアキム様がわざわざ死ぬような事をしなくても!」
「じゃあ誰がやるのよ!ユリはあれをなんとかできるの!?」
「・・・」
そう言われては口をつぐむしか無い。
わたしには巨大隕石をなんとかする方法なんて思い浮かばなかった。
「・・・でも、アキム様だってどうやってあんな巨大な火の玉を・・・あれは何をやっているの?」
アキムが向かった先を指さし、目を向けると、空に黒い空間が展開されていた。
アキムの正面に、ちょうど火の玉の進路を妨げるかのように、真っ青な空にぽっかりと闇が広がっていた。
火の玉がアキムと、空に浮かぶ闇に迫る。
そして、火の玉が闇に触れたかと思った瞬間、しゅるんと闇が収束した。
闇が消えた後の空からは、巨大な火の玉も消えていた。
同時に、アキムの姿も消えていた。
「・・・アキム、成功したのね」
「サラちゃん、今のは何?アキム様は何をしたの?アキム様はどうなったの?」
サラは祈りを捧げるように胸の前で指を組むと、アキムが消えた空を見ながら、説明してくれた。
「あれはね、送還の魔道具よ。送還の魔道具で火の玉ごと移転したの」
「送還の魔道具・・・一度見せてもらったけど、でもあれはまだ未完成だってアキム様は言ってたわ」
「そう、未完成。でも起動はできるわ」
アキムはその未完成の送還の魔道具を起動して、火の玉を転移させたらしい。
しかし、どこに?
それにアキム様は?
「起動はできるけど、範囲の指定はできない、行き先の指定もできない・・・あの火の玉は、行き先がどこかも分からない場所に移転したわ・・・アキムも一緒にね」
「そんな・・・」
アキムは火の玉ごと、どこかに転移した。
この星どころか、この世界ですらない可能性がある、二度と戻れぬ場所に。
仮に転移先が人の生きていける場所であったとしても、アキムはすぐさま巨大な火の玉に襲われ、その身は無事ではないだろう。
アキムは文字通り、身を挺して、この星を救ったのだった。
わたしは膝から崩れ落ち、地面に手をついた。
涙がぽたぽたと落ち、地面を濡らした。
「アキム様、ごめんなさい、わたしが、わたしがもっと・・・」
「アキムは貴方に未来を託したのよ・・・だから、泣いてるんじゃないわよ。さっさと立ちなさいよ!」
季節に合わない、冷たい風がわたしの顔を強く通り抜けた。
サラが風を起こして、わたしの顔を引っ叩いたのかもしれない。
・・・サラも泣いているのだろうか。
こんなにも冷たい、悲しい風を肌に感じ、わたしの嗚咽は止まることなく、涙は流れ続けた。
さきほどの火の玉とは比べものにならないほどに巨大な火の玉が接近していた。
直径はどれぐらいだろう。
五十メートル?百メートル?
遠目ではあるが、地球で見た事のある隕石落下のニュースでも見たことも聞いたこともない大きさに思われた。
・・・もはや隕石じゃないの。
こんなの守りきれないよ。
せめて遠くに逃げないと・・・ラプターで逃げる?
でもわたしだけが逃げて、コーラルが全滅して、それからどうするというのか。
その時、ディーネが羽根でわたしにそっと触れた。
「ユリよ。せめてユリは逃げるのじゃ」
「ディーネちゃん?イヤよ。逃げるならディーネちゃんも一緒に!」
「妾はこの星の精霊じゃ。せめて少しでも被害を少なくしたいのじゃ。やれるだけのことはやっておきたい。それに妾が死ぬことはないじゃろう。じゃが、ニューロックは、コーラルは、もう無理じゃ」
ハシビロコウが無表情でうなだれていた。
もともと無表情だけど、その姿は絶望がはっきりと見て取れた。
「そんな・・・じゃあカークさんは?エリザさんやミライちゃんはどうなっちゃうの!」
「・・・」
ディーネは答えなかった。
これほどの巨大な隕石が着弾したら、とんでもない衝撃と津波が押し寄せるだろう。
被害は計り知れない。
直撃による災害だけでなく、二次被害も必死だろう。
・・・みんな死んじゃうなら、わたしだけ生き残っても意味がないじゃない。
「ディーネちゃん。わたしだけ逃げるなんてまっぴらごめんよ。わたしは勇者なのでしょう?だったら最後まで、一緒にあがきたい」
「ユリよ、しかし・・・」
「案ずることはない」
わたしとディーネで話をしている所にアキムがやってきて、わたしの肩をポンと叩いた。
「アキム様?」
「大丈夫だ。手はある。儂に任せよ」
そう言って、アキムはわたしに優しく笑いかけた。
「手はあるのですか?あんな巨大な隕石ですよ!?」
「ああ。手はある。むしろ儂にしかできぬであろう」
ふとアキムがラプターに目を向けた。
アキムがなにやら魔道具を取りに行った時に、カークの館に行くのに使ったラプターだ。
ラプターは先の火の玉攻撃の際、わたしの結界の内側にあったため、被害をまぬがれていた。
アキムがラプターに目を向けたのは無意識だったのだろうが、わたしはその眼につられ、わたしもラプターを見た。
ラプターには魔道具らしきものが乗っており、わたしもそれは見た記憶があった。
・・・あれ、なんの魔道具だったっけか。
一度見せてもらったような。
「ユリよ。すまないが、サラの事を頼んでよいか?」
「はい?」
アキムはそうわたしに言うと、口をつぐんだ。
・・・サラちゃんをわたしに頼む?
今、アキム様はそう言ったよね?
嫌な予感しかしなかった。
全身に寒気が襲うと同時に、わたしはアキムに食って掛かった。
「頼むってどういう事ですか!?アキム様は何をする気ですか!?」
アキムは答えなかった。
アキムが何をする気かは分からなかったが、嫌な予感だけは拭えなかった。
「ラプターに魔道具があるのでしょう?あれでどうにかするつもりなのでしょう?何をするのですか?教えてください!」
「心配するな。ニューロックは守る」
「わたしが心配しているのはアキム様の事です!アキム様が何をする気なのか教えて下さいよ!」
わたしが狼狽している姿を見たアキムは、再びわたしに笑いかけると、今度はわたしの頭をポンと叩いた。
「ユリ。後の事は任せる。お前との数日間はとても楽しかったぞ。今度はカークに怒られないように徹夜で麻雀をやろう。では行ってくる」
そしてアキムはちょっと買い物をしてくるぐらいのノリでラプターへと向かった。
「え?ええっ?」
アキムのあまりの口調の軽さに、アキムを見送ってしまった。
しかし数秒後、理解した。
アキムがわたしに別れを告げた事を。
わたしはラプターに乗り込もうとしているアキムを慌てて追いかけた。
「そんな!ダメです!行かせませんよ!」
「行かせないのはユリよ」
アキムを追いかけて走ったわたしは、唐突な突風で進路を妨害され、足を止められてしまった。
わたしの目の前にはサラが立ちはだかっていた。
「サラちゃん・・・邪魔しないで」
「邪魔するわ。ごめんなさいね」
「・・・サラちゃんでも許さないわよ。アキム様を止めるの。もう一度言うわ。邪魔しないで」
わたしは憤りで逆に冷静になった。
・・・サラを排除してアキムを止める。
刺し違えても、いや、むしろここでサラを倒して、言うことを聞かせる。
「水の防御、全か・・・」
「アキムの残り少ない命を・・・無駄にさせないで」
「・・・え?」
・・・今なんて言った?
それに、サラちゃん、声が震えてる?
わたしは水の防御を展開するのをやめて、悲しそうにうつむくサラを見た。
その時、アキムの乗るラプターが飛び立ち、飛来する隕石に向かって飛び立ってしまった。
「ああっ・・・。サラちゃん、止めてよ!アキム様を止めてよ!」
「だから言ってるでしょう!アキムの最後の命を無駄にしないでよ!!!」
サラの悲鳴とも思える大声に、わたしはたじろいでしまった。
それに先程からサラが言っていることが引っかかる。
悲壮な様子のサラに、抗議の声の代わりに別のお願いをした。
「教えて、サラちゃん。アキム様に何があったの?」
「・・・アキムはね、もう長くないの。時を止める魔術の制約を破ったから」
それからサラは飛び立ったアキムの方角を見つめながら、静かに語った。
アキムが自身に作用させていた魔道具の効果で、アキムは自身の老化を止め、長い年月を生きてきた。
その魔道具については、かつてアキムが説明してくれた。
『特殊な魔道具だ。この魔道具によって、様々な制約と条件の下で、儂の時は止まっている。この星の人間に過去の話ができないのもそのためだ』
過去の話が出来ない制約についてはその折に聞いていた。
しかし、様々、と言っていた通り、制約はそれだけではなかった
魔道具の条件には、居場所の制約もあったという。
「アキムはロップヤードから離れることが出来なかったのよ。ロップヤードから離れたらアキムの時は動き出す。そういう制約よ。アキムはそれを分かっていて、コーラルに来たのよ」
「そんな・・・」
魔道具の制約の反動で、アキムにどんな影響があるかは分からない。
それに、もともと高齢だし、程度は分からないが持病もあったそうだ。
・・・救護所で休んでいたのも、疲労だけじゃなくて、その影響かもしれない。
「アキムは残された時間をこの星を救うために使うことにしたの。だからユリが気に病むことはないのよ」
「でも!だからってアキム様がわざわざ死ぬような事をしなくても!」
「じゃあ誰がやるのよ!ユリはあれをなんとかできるの!?」
「・・・」
そう言われては口をつぐむしか無い。
わたしには巨大隕石をなんとかする方法なんて思い浮かばなかった。
「・・・でも、アキム様だってどうやってあんな巨大な火の玉を・・・あれは何をやっているの?」
アキムが向かった先を指さし、目を向けると、空に黒い空間が展開されていた。
アキムの正面に、ちょうど火の玉の進路を妨げるかのように、真っ青な空にぽっかりと闇が広がっていた。
火の玉がアキムと、空に浮かぶ闇に迫る。
そして、火の玉が闇に触れたかと思った瞬間、しゅるんと闇が収束した。
闇が消えた後の空からは、巨大な火の玉も消えていた。
同時に、アキムの姿も消えていた。
「・・・アキム、成功したのね」
「サラちゃん、今のは何?アキム様は何をしたの?アキム様はどうなったの?」
サラは祈りを捧げるように胸の前で指を組むと、アキムが消えた空を見ながら、説明してくれた。
「あれはね、送還の魔道具よ。送還の魔道具で火の玉ごと移転したの」
「送還の魔道具・・・一度見せてもらったけど、でもあれはまだ未完成だってアキム様は言ってたわ」
「そう、未完成。でも起動はできるわ」
アキムはその未完成の送還の魔道具を起動して、火の玉を転移させたらしい。
しかし、どこに?
それにアキム様は?
「起動はできるけど、範囲の指定はできない、行き先の指定もできない・・・あの火の玉は、行き先がどこかも分からない場所に移転したわ・・・アキムも一緒にね」
「そんな・・・」
アキムは火の玉ごと、どこかに転移した。
この星どころか、この世界ですらない可能性がある、二度と戻れぬ場所に。
仮に転移先が人の生きていける場所であったとしても、アキムはすぐさま巨大な火の玉に襲われ、その身は無事ではないだろう。
アキムは文字通り、身を挺して、この星を救ったのだった。
わたしは膝から崩れ落ち、地面に手をついた。
涙がぽたぽたと落ち、地面を濡らした。
「アキム様、ごめんなさい、わたしが、わたしがもっと・・・」
「アキムは貴方に未来を託したのよ・・・だから、泣いてるんじゃないわよ。さっさと立ちなさいよ!」
季節に合わない、冷たい風がわたしの顔を強く通り抜けた。
サラが風を起こして、わたしの顔を引っ叩いたのかもしれない。
・・・サラも泣いているのだろうか。
こんなにも冷たい、悲しい風を肌に感じ、わたしの嗚咽は止まることなく、涙は流れ続けた。
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