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028 魔力の充填
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「そんなわけで、皆さんから魔石を借りたいのですが」
「ユリの魔力はそんなにバカ容量なのか!?」
「ええ、まあ、容量だけは・・・」
あの後、アドルから他の魔石も借りて、魔石が破裂しないよう、おっかなびっくり気をつけながら魔力を流す練習を続けたが、あっという間に魔石を使い切ってしまい、他の人からも魔石を借りることができないか、エリザに相談しにきたのだ。
魔石にチャージした魔力は、魔道具の発動に使えるために大変便利なのだが、普段の生活に使うような魔力は大した量では無い。
そこそこ低品質の魔石であっても、一度に使い切るようなことはあまり無いそうだ。
「だったら、この船の動力の魔道具に魔力を充填してもらったらどうよ?」
「オレもそれは考えたけど、ぶっつけ本番でそれをやるのはちょっと心配で」
「動力の魔力残量は・・・残り三分の一程度だろう?アドルが監視しながら充填すればいい。魔力の動力代もバカにならないし、使えるものは有効利用しようじゃないのさ」
船のエネルギー残量計のようなものを見ながら、エリザが言う。
船の動力の魔道具には、船員が魔力の充填を行うこともあるが、一度に大量の魔力を補充する時は、港にある魔力供給所を使うのが一般的だそうだ。
「ユリが船の動力に魔力を充填してくれれば、動力代が浮いた分、船の整備や、備品の購入費用に充てる事ができる。食事も豪勢になるぞ。せっかくだからユリの仕事だと思ってやってみてくれないかな?」
「はい、頑張ってみます!」
仕事と言われたら張り切るしかない。
わたしはこれまで、助けられて、寝ていて、ご飯を食べていただけのお荷物だ。
わたしにできることがあるのならば、役に立ちたい。
わたしは魔力の充填作業を引き受けた。
・・・まあ、この魔力も、わたしのものではなく、水の精霊からの借り物みたいなものだけど。
◇
「船の動力の魔道具は、魔力を推進力に変えて、船を進ませているんだ」
船の最後尾にある動力部に向かって歩きながら、アドルが説明してくれる。
「大きな船を動かすには、それだけ大きい魔道具が必要で、たくさんの魔石を使って、魔石回路を作っているんだ」
魔石回路は、魔石を並べて、互いに干渉させたりなんだりする事で、様々な魔術の力を発現させる仕組みの事ですよね、分かります。
仕組みの内容までは全く理解してないけど。
「この船も中型の輸送船級とはいえ、それなりに大きい魔石回路を搭載した動力の魔道具を使っている」
この船、これで中型なのか。
大型船だと相当大きいんだね。
アドルが立ち止まり、通路横の扉を開いた。
「ここが動力室で、動力部はこれだ」
「でかっ!」
動力室は、ちょっとしたサーバー室か、ストレージセンターのような感じの部屋だった。
部屋の中にはたくさんの直方体の箱のようなものが並んでいる。
箱の中には動力を供給するための魔石がたくさん入っているのだろう。
「これ、全部が魔道具?」
「そうだね。全部ひっくるめて、魔道具だね」
道具というより装置だ。
魔力で動く船ならば、石炭や石油で動く船に必要な備蓄タンクは必要ないかと思っていたけれども、魔力をストックしておくためのタンクは必要だという事か。
ちょっと考えが甘かった。
「これらの箱に入っている魔石に貯めた魔力を使って、推進力に変えて船は進む。ユリにはこの魔力の補充をお願いしたいんだ」
「うん。やってみるよ。とりあえずどうすればいい?」
・・・まさか箱を一つ一つ開けてやるのではないよね?
「ひとつひとつ補充してもいいんだけど、普通はこの補充用の台座を使って、魔力を補充するんだ」
台座に魔力を流すと、空いている魔石から順番に魔力が充填されるとの事だ。
港にある動力用魔力の補充業者は、ここに魔力補充用の魔道具を繋いで、魔力を充填するらしい。
ガソリンスタンドのようなものだろう。
「つまりわたしはここに手を乗せて、魔力を流せば良いわけね」
「その通りだけど、大丈夫?」
「今度は破裂する前に止めてくれるのでしょう?」
「・・・まあね。壊れたら一大事からね」
アドルは台座の横にある、魔力の残量計を見ている。
艦橋にあったものと同じものに見える。
さすがにこれだけの容量が満タンになるような事にはならないだろうから、体調が悪くなったらすぐにやめるように、と言われた。
・・・あれ、もしかして『大丈夫?』とは体調の心配だった?
アドルはわたしを心配してくれていたのね。
この心配症さんめ。
でも、ありがとう、と心の中だけで返事しておく。
「では、体調に気をつけながら行きます。わたしの本来の目的は、わたし自身の魔力操作の練習のためだから、ゆっくりやるね」
(では、ユリよ。魔力の核を意識するのじゃ)
台座に指先を触れ、魔力が体内を流れた時の、魔力の流れの元を意識する。
甲板で練習した時の要領で、魔力が流れる上流を探る。
・・・多分、これが魔力の核。感覚がそう言ってる。
ここから、魔力を生み出すイメージで、少しずつ流れを強くする・・・
わたしの中の魔力が、指先を通じて台座に流れ出す感覚がよく分かる。
少し台座からの抵抗があるので、意識を強めて、押し込む感じで抵抗に打ち勝つ。
魔力が水の流れのように、体の中を流れていく。
時折、意識して、流す量に変化を与えてみる。
増やしたり、減らしたり、速さも変えてみる。
少しずつだけど、思い通りに流れるようになった気がする。
そのまま何度か繰り返し練習をして、わたしはだいたいコツを理解した。
よし、こんなもんかな。
「精霊さん、いったん魔力を止めていいよ」
(何を言ってるのじゃ。妾は手を貸しておらんよ)
「はい?」
台座から手を離し、魔力の放出を止める意識をする。
魔力の流出が止まった。
「今の魔力操作、わたしだけでやってたの?最初からずっと?」
(ユリよ。其方は妾に何も命令しなかったであろう?ユリが勝手に魔力を流しておったよ)
・・・精霊さん、やってくれたわね。
わたしが勝手に『精霊が魔力を流すのを体験している』と思っていただけで、わたしが自分で魔力を流していたのを指摘もせずに見ていただけとは。
『いつのまにか補助の手を離されて、一人で自転車に乗れていた』というような感じだ。
「精霊さん、あなたは素晴らしい先生だわ」
(もっと褒めてくれていいんじゃよ?)
精霊のしたり顔が目に浮かぶ。
一方、アドルは、目が点になっていた。
「ユリ、その・・・」
「魔力の補充、できなかった?・・・もしかして壊しちゃったとか!?魔力の相性が悪かったとかあるのかな」
ガソリン車で、ハイオクにレギュラーを混ぜるとかえって調子が悪くなったり、壊れると聞いた事がある。
魔力にも似たような事があるのかもしれない。
「いや、そうじゃない。補充はできた。むしろできすぎた。八割以上、いや、九割近く、魔力が貯まったよ。これはとんでもない事だ。ユリ、君は一体何者なんだ?」
「ええと、無職になったばかりの異世界人です?」
「・・・」
嘘は吐いていない。
「でもまあ、水の精霊さんの指導のおかげよ。間違いなく」
「ユリは自分の意思で魔力が使えるようになったのかい?」
「まだまだだけどね。でも一応は使えるようになったよ。なにしろ先生が優秀だからね」
(ふふん。その通りじゃ)
精霊の声は、今はわたしにしか聞こえない。
早くアドルにも声を聞かせてあげたいな。
「先生が『その通りだ』って言ってるわ」
「さすがだね、水の精霊様」
(ふふっうふふっ)
あれ、照れてる?
「アドル、精霊さんね、アドルに褒められて照れて(照れてなどいないわ!)・・・るわよ。ちょっとかわいいわよ」
制止を振り切り、言い切ってやった。
(ユリよ、覚えておれー)
「ユリの魔力はそんなにバカ容量なのか!?」
「ええ、まあ、容量だけは・・・」
あの後、アドルから他の魔石も借りて、魔石が破裂しないよう、おっかなびっくり気をつけながら魔力を流す練習を続けたが、あっという間に魔石を使い切ってしまい、他の人からも魔石を借りることができないか、エリザに相談しにきたのだ。
魔石にチャージした魔力は、魔道具の発動に使えるために大変便利なのだが、普段の生活に使うような魔力は大した量では無い。
そこそこ低品質の魔石であっても、一度に使い切るようなことはあまり無いそうだ。
「だったら、この船の動力の魔道具に魔力を充填してもらったらどうよ?」
「オレもそれは考えたけど、ぶっつけ本番でそれをやるのはちょっと心配で」
「動力の魔力残量は・・・残り三分の一程度だろう?アドルが監視しながら充填すればいい。魔力の動力代もバカにならないし、使えるものは有効利用しようじゃないのさ」
船のエネルギー残量計のようなものを見ながら、エリザが言う。
船の動力の魔道具には、船員が魔力の充填を行うこともあるが、一度に大量の魔力を補充する時は、港にある魔力供給所を使うのが一般的だそうだ。
「ユリが船の動力に魔力を充填してくれれば、動力代が浮いた分、船の整備や、備品の購入費用に充てる事ができる。食事も豪勢になるぞ。せっかくだからユリの仕事だと思ってやってみてくれないかな?」
「はい、頑張ってみます!」
仕事と言われたら張り切るしかない。
わたしはこれまで、助けられて、寝ていて、ご飯を食べていただけのお荷物だ。
わたしにできることがあるのならば、役に立ちたい。
わたしは魔力の充填作業を引き受けた。
・・・まあ、この魔力も、わたしのものではなく、水の精霊からの借り物みたいなものだけど。
◇
「船の動力の魔道具は、魔力を推進力に変えて、船を進ませているんだ」
船の最後尾にある動力部に向かって歩きながら、アドルが説明してくれる。
「大きな船を動かすには、それだけ大きい魔道具が必要で、たくさんの魔石を使って、魔石回路を作っているんだ」
魔石回路は、魔石を並べて、互いに干渉させたりなんだりする事で、様々な魔術の力を発現させる仕組みの事ですよね、分かります。
仕組みの内容までは全く理解してないけど。
「この船も中型の輸送船級とはいえ、それなりに大きい魔石回路を搭載した動力の魔道具を使っている」
この船、これで中型なのか。
大型船だと相当大きいんだね。
アドルが立ち止まり、通路横の扉を開いた。
「ここが動力室で、動力部はこれだ」
「でかっ!」
動力室は、ちょっとしたサーバー室か、ストレージセンターのような感じの部屋だった。
部屋の中にはたくさんの直方体の箱のようなものが並んでいる。
箱の中には動力を供給するための魔石がたくさん入っているのだろう。
「これ、全部が魔道具?」
「そうだね。全部ひっくるめて、魔道具だね」
道具というより装置だ。
魔力で動く船ならば、石炭や石油で動く船に必要な備蓄タンクは必要ないかと思っていたけれども、魔力をストックしておくためのタンクは必要だという事か。
ちょっと考えが甘かった。
「これらの箱に入っている魔石に貯めた魔力を使って、推進力に変えて船は進む。ユリにはこの魔力の補充をお願いしたいんだ」
「うん。やってみるよ。とりあえずどうすればいい?」
・・・まさか箱を一つ一つ開けてやるのではないよね?
「ひとつひとつ補充してもいいんだけど、普通はこの補充用の台座を使って、魔力を補充するんだ」
台座に魔力を流すと、空いている魔石から順番に魔力が充填されるとの事だ。
港にある動力用魔力の補充業者は、ここに魔力補充用の魔道具を繋いで、魔力を充填するらしい。
ガソリンスタンドのようなものだろう。
「つまりわたしはここに手を乗せて、魔力を流せば良いわけね」
「その通りだけど、大丈夫?」
「今度は破裂する前に止めてくれるのでしょう?」
「・・・まあね。壊れたら一大事からね」
アドルは台座の横にある、魔力の残量計を見ている。
艦橋にあったものと同じものに見える。
さすがにこれだけの容量が満タンになるような事にはならないだろうから、体調が悪くなったらすぐにやめるように、と言われた。
・・・あれ、もしかして『大丈夫?』とは体調の心配だった?
アドルはわたしを心配してくれていたのね。
この心配症さんめ。
でも、ありがとう、と心の中だけで返事しておく。
「では、体調に気をつけながら行きます。わたしの本来の目的は、わたし自身の魔力操作の練習のためだから、ゆっくりやるね」
(では、ユリよ。魔力の核を意識するのじゃ)
台座に指先を触れ、魔力が体内を流れた時の、魔力の流れの元を意識する。
甲板で練習した時の要領で、魔力が流れる上流を探る。
・・・多分、これが魔力の核。感覚がそう言ってる。
ここから、魔力を生み出すイメージで、少しずつ流れを強くする・・・
わたしの中の魔力が、指先を通じて台座に流れ出す感覚がよく分かる。
少し台座からの抵抗があるので、意識を強めて、押し込む感じで抵抗に打ち勝つ。
魔力が水の流れのように、体の中を流れていく。
時折、意識して、流す量に変化を与えてみる。
増やしたり、減らしたり、速さも変えてみる。
少しずつだけど、思い通りに流れるようになった気がする。
そのまま何度か繰り返し練習をして、わたしはだいたいコツを理解した。
よし、こんなもんかな。
「精霊さん、いったん魔力を止めていいよ」
(何を言ってるのじゃ。妾は手を貸しておらんよ)
「はい?」
台座から手を離し、魔力の放出を止める意識をする。
魔力の流出が止まった。
「今の魔力操作、わたしだけでやってたの?最初からずっと?」
(ユリよ。其方は妾に何も命令しなかったであろう?ユリが勝手に魔力を流しておったよ)
・・・精霊さん、やってくれたわね。
わたしが勝手に『精霊が魔力を流すのを体験している』と思っていただけで、わたしが自分で魔力を流していたのを指摘もせずに見ていただけとは。
『いつのまにか補助の手を離されて、一人で自転車に乗れていた』というような感じだ。
「精霊さん、あなたは素晴らしい先生だわ」
(もっと褒めてくれていいんじゃよ?)
精霊のしたり顔が目に浮かぶ。
一方、アドルは、目が点になっていた。
「ユリ、その・・・」
「魔力の補充、できなかった?・・・もしかして壊しちゃったとか!?魔力の相性が悪かったとかあるのかな」
ガソリン車で、ハイオクにレギュラーを混ぜるとかえって調子が悪くなったり、壊れると聞いた事がある。
魔力にも似たような事があるのかもしれない。
「いや、そうじゃない。補充はできた。むしろできすぎた。八割以上、いや、九割近く、魔力が貯まったよ。これはとんでもない事だ。ユリ、君は一体何者なんだ?」
「ええと、無職になったばかりの異世界人です?」
「・・・」
嘘は吐いていない。
「でもまあ、水の精霊さんの指導のおかげよ。間違いなく」
「ユリは自分の意思で魔力が使えるようになったのかい?」
「まだまだだけどね。でも一応は使えるようになったよ。なにしろ先生が優秀だからね」
(ふふん。その通りじゃ)
精霊の声は、今はわたしにしか聞こえない。
早くアドルにも声を聞かせてあげたいな。
「先生が『その通りだ』って言ってるわ」
「さすがだね、水の精霊様」
(ふふっうふふっ)
あれ、照れてる?
「アドル、精霊さんね、アドルに褒められて照れて(照れてなどいないわ!)・・・るわよ。ちょっとかわいいわよ」
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