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第24話 ユグドラシルの種

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 ダンジョンを進んでいく。
 襲い掛かってくるモンスターを排除し、たまに落とすアイテムを拾っていく。どうやら、ポーションとかの材料になるみたい。

 坑道ダンジョンの奥地へと向かう。
 エーデルワイスの気配はない。

 これは楽勝かなと勝利を確信していると背後から気配を感じた。ま、まさか……追いついてきたの?

 くるっと視線を向けると。

「なっ!! アザレア! もうこんなところに!」
「あなたこそ、遅かったですね」
「キ~~!! あたくしより先に坑道ダンジョンにいるとは……どうして」
「こっちは聖女様がついていますから」
「せ、聖女!? ま、まさか……この金髪のシスターが?」

 エーデルワイスは、マーガレットをジロっとした眼で観察していた。そんなジロジロ見たら、マーガレットは当然怯えていた。わたしは庇う。

「あ、ありがとうございます。アザレア様」
「いえいえ」

 とにかく、先へ進まないと。
 勝負に負けちゃう。

 それはエーデルワイスも察したようで、急に走り出した。

「お先に失礼しますわ! これで万能薬の材料はあたくしのもの~!」

 な、なんて素早さ。
 けれど、ひとりでダンジョンの奥へ行くだなんて危険すぎる気が。大丈夫なのかなあ。

「アザレアさん、あのエーデルワイスという方、なかなかお強いようですよ」
「分かるのですか、イベリスさん」
「ええ、彼女のあの足の速さ。身のこなし、只者ではないでしょう」

 そうなんだ。なら余計に負けていられない。

「急ぎましょう。このままでは先を越されてしまいますから」
「いえ、ここは慎重に参りましょう。下手に急げば全滅してしまいますよ」
「で、でも……」
「安心してください。エーデルワイスさんが万能薬の材料を見つけられていないということは、そう簡単には見つからないということです」
「な、なるほど!」

 なら慎重にダンジョンを回る方がいいかもしれない。走り回って無駄に体力をすり減らす必要もないか。ここはわたし含めて三人で力を合せなきゃ。
 わたしはイベリスの指示に従い、身長に前進していく。
 エーデルワイスの姿は見えないし、どこへ行ったか見当もつかない。

 この坑道ダンジョンは、枝分かれしている道が多い。広大な迷宮みたいになっているから、迷ってしまう可能性さえもある。
 危険なモンスターもいるはず。

「あれ、こっち何だか違和感がありませんか?」

 足を止めるマーガレット。
 そっちは何もないと思うけど。

「そっちは行き止まりでは?」
「いえ、アザレア様。この先に通路が続いているような気がするんです」
「え? そうは見えないですが」
「ちょっと確認してみますね」

 マーガレットは行き止まりになっている通路をあえて歩いていく。その先の突き当りで壁に触れて確認していた。あそこに何かあるのかな。

 すると、マーガレットは何か確信していた。

「なにかあったんです?」
「ええ、この先に通路があるようです」
「ほ、本当ですか!?」

 驚いているとイベリスも納得していた。

「これは大発見ですね。壁にヒビが入っていますから、ここに爆弾ポーションを投げつけると恐らく壁が崩落して通路ができるのだと思います」

「そうなのですか、イベリスさん」
「隠し通路があるのでしょう。アザレアさん、試しに爆弾ポーションを」

 わたしは、うなずいて爆弾ポーションを取り出した。それを壁に投げつけると――見事に崩落。通路が現れちゃった。

 うそ~!

 こんな場所に道があるだなんて思わなかった。そっか、だから見つからなかったんだ。
 ゆっくりと入ってみると、その先には“泉”がった。

 これがエーデルワイスの言っていた『女神の泉』なんだ!

 こんなところにあっただなんてビックリ。

 泉の前に到着する。
 神秘的な緑に囲まれ、小さな泉に水が湧き出ていた。その中央に不思議な種があった。これがレアアイテム?

「この種はいったい……」
「アザレアさん、それは『ユグドラシルの種』です! なるほど、それは激レアアイテムですよ」
「え!?」


【ユグドラシルの種】
【詳細】
 体力を半回復する。
 毒、麻痺、混乱、幻覚の状態異常を回復する。
 材料にもなる。


 こ、これがエーデルワイスの言っていたレアアイテム! これは確かに凄い万能薬になる! というか、これでわたしの勝ちだよね!

「おめでとうございます、アザレア様!」
「ありがとう」

 マーガレットから祝福された。

「良かったですね、アザレアさん。これであなたの勝ちです」
「はいっ。良かっ――」

「ちょっと待ちなさい!!」

 いきなり横から現れるエーデルワイス。手に持っていたユグドラシルの種を横取りされた。

 え、えええええええええええ!?

「エーデルワイスさん、あなた!!」
「勝負は最後まで気を抜いてはいけませんことよ。お~ほっほっほ!!」
「卑怯です!! というか、わたしの勝ちでしたよ!!」
「なんのことですの~? あたくしは先に入手しておりましたわ!」
「そんな……!!」

 取り返そうとしたけれど、彼女は去っていく。街へ戻る気だ。追い掛けようとするけど、相変わらず素早い……!

「まった、アザレアさん」
「イベリスさん、止めないでください! 種が!」
「いいんですよ。渡しておきなさい」
「でも!」
「実は、あの種は私が仕込んだアイテム。実は別にあるんですよ」
「え……それ本当ですか?」
「ええ。本物のレアアイテムはこっちです」

 イベリスは不思議な形をした種を取り出した。そっか、そっちが本物なんだ!
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