無人販売令嬢 スイーツ販売で幸せしかない

桜井正宗

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運命の出会い

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 元婚約者からプレゼントしてもらった品々を売却。もう過去に囚われたくないし、一刻も早く忘れたかった。

 おかげでそれなりの資金を得ることに成功した。
 けど、それでも足りない。

 この国の土地を買おうとすると、とんでもない金額が必要だ。借りるにしても沢山のお金が必要だ。

 お父様はまだ思案中のようで、回答が得られていない。
 困り果てたわたしは散歩をして次なる策を考えた。噴水広場まで向かい、ベンチに腰掛けてプランを練る。

 うーん……だめ。
 真面目に働くという方法もあるけれど、かなり遠回りになってしまう。

 となると借りる方が早い。
 のだけど、金融からお金を借りれるかどうか……。

 悩んでいると見知らぬ男性が話しかけてきた。

「あの、お困りのようですね?」
「え、ええ……まあ……」
「悩みを聞きましょうか」
「えっと、その……」

 男性は若くて貴族のようだった。こんな身分の高そうな人がどうしてこんな場所にいるんだろう?

 でも、なんだか不思議と話してしまった。全部ではないにしろ、今こんなことがしたいと夢のように語った。

「なるほど、お店を開きたいと」
「はい、そうなのです。お金が足りなくて」
「確か、無人販売でしたっけ。聞きなれない言葉ですが、面白そうですね」
「人を雇わず、お客様自信で品を選んでいただき、決済してもらうんです。これでコストが大幅に削減できますし、お客様はいつでもご利用可能です」

「素晴らしい……! おっと、申し遅れました。僕はオクトーバー。詳しい身分は明かせないですが、貴族ではありますよ」
「やっぱりそうなのですね! あ……わたしは、キリエです。よろしくお願いします」

 自己紹介を済ませた。
 それにしても、なんだか彼には独特なオーラというか、雰囲気があった。

「面白い話を聞けたし、キリエの悩みも理解できました。ええ、ならば、この僕が出資しましょう」

「え……いいのですか!?」
「いいですよ。僕は面白いビジネスを探していたんです」

 凄いフットワークの軽さだ。本当に良いのかなぁ。
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