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婚約破棄されたけどビジネスがしたい

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「キリエ、君はいつもぼうっとしている。悪いが、もう付き合いきれん。婚約破棄してくれ!」

 その言葉にショックではなかったと言えばウソになる。彼のことは好きであった。優しかったし、悩みも聞いてくれた。
 でも、なにか違った。
 わたしはもっとやりたいことがあった。
 そう……ビジネスとか。
 それを考える毎日になっていた。

「……ジュライ、わたしを捨てるのですか?」
「ああ、君との将来はもう考えられない。というか、君はいつもぼうっとしているし、上の空。なにを考えているか分からなくなった。田舎令嬢と帝国出身の俺では合わなかったんだ」

 さようならと、別れを告げてジュライは去っていく。そ、そんな……。

 悲しみに暮れながらも、わたしはとてつもないアイディアが浮かんでしまった。

 そうだ……無人販売をしてみようかな。
 甘くておいしいスイーツがいつでも食べられたら、みんな幸せになれるじゃない!

 ケーキとかプリンとか、好きな時間に購入して食べられれば幸せしかないっ!

 そうよ、落ち込んでいる暇はない。
 この事業を絶対に成功させてみせる!

 幸い、自己資金は少しだけある。
 あとは両親に頭を下げて……思いを伝えてみる。

 広間でくつろいでいる父と母を見つけ、わたしはっそく事業プランを打ち明けた。

「……なに、ビジネスをはじめるだと? キリエ、覚悟はあるのか?」
「はい、あります。わたし、婚約破棄されて辛いけど……でも、それ以上にビジネスを成功させたいんです」

「しかし、なにをするつもりだ?」
「無人販売を!」
「む、無人販売? なんだそれは」

 わたしはお父様に、人を雇用せずお店だけでスイーツを販売することを簡単に話した。

「というわけです」
「それで商売が成り立つのか? お金を払わず商品を盗まれるだけではないか?」
「はい、もちろんリスクはあります。でも、対策も考えてありますから」
「……むぅ。可愛い娘からの頼みだ。分かった、少しだけ考えせてくれないか」
「ありがとうございます、お父様」

 とりあえず、話は聞いてもらえた。
 こうなったら私財を投じてでも成功させたい。
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