5 / 19
優しいメイドさん
しおりを挟む
ビリーとブルースを追い出して、静かになった。
「二人が消えちゃった」
「どうなっているんです?」
シャロンもアイナも目を白黒させた。
おぉ、驚いているな。
僕の能力について話しておくか。
「いいかい、君達。たとえば僕が『追放』とか言えば――」
その瞬間、シャロンとアイナの姿が消えた。
…………へ?
え……
え……ええええええええええええええええええ~~~~ッ!?
ま、まさか……今の一言でシャロンとアイナが追放されちゃった……? んなアホと思いたかったけど、ビジョンで見たら森へ飛ばされていた。まずい!!
僕も直ぐにテレポートして追い駆けた。
――テレポート!
「……シャロン、アイナすまない!!」
「と、突然、転移魔法が……」
「いったい何が起きたんです!?」
周りは危険なレッドゴブリンだらけ。凄い数だな。そして、近くにはビリーとブルースらしき男が逃げ惑っていた。なんだ生きていたのか。意外としぶとい。
仕方ない、全員を連れ出そう。
「テレポート!!」
人間だけ救出し、帝国の前まで向かった。……ふぅ、危機は脱したな。
「ひ、ひいいいいい!!」
「もう勘弁してくれ~!!」
ビリーとブルースは去った。
生きているだけラッキーだったな。
一方、シャロンとアイナも――。
「ご、ごめんなさいカムイさん! わたしたち、話し合った結果……タワーダンジョンには近づかない事にしました。さようなら!!」
「本当にごめんなさい……」
あ……フられちゃった。
◇
城へ戻り、また水をぶっかけられた。まーたか。
「――カムイ様!?」
「コーラル、またかい」
「わ、わざとじゃないんです。だって、カムイ様がタイミングよく現れるから……」
「そうだね。まあいいや、着替えるのも面倒だ」
「どうか、されたのですか?」
「僕は失敗ばかりだ。ダメダメだぁ……」
疲れて床へ大の字になる。そこへコーラルが腰を下ろし、俺を膝枕してくれた。
「カムイ様は、ダメダメなんかじゃありません。だって、こんなに必死にがんばって、冒険している陛下とかカッコイイですよ! 自信をもってください」
「じゃあ、コーラル。付き合ってくれる?」
「え……」
「なんで躊躇うの!?」
「だって、わたし……ぽんこつですもん。カムイ様に相応しくないです。おっぱいだって無駄に大きいし!」
最後は別にいいだろ。
ていうか、膝枕……癒されるなあ。
もういっそ、コーラルでいいや。
メイドだし、巨乳だし、優しいし!!
「コーラル、俺の嫁になってくれ」
「……カ、カムイ様。もぉ、からかわないでくださいまし」
「僕は本気だ。証拠を見せよう」
「しょ、しょうこ!?」
僕は、ぐっと顔を近づけ――キスを求める。コーラルは顔を真っ赤にして、時を止めた。今しかない!
――なーんてな。そんな勇気はなかった。
諦めて溜息を吐くと、コーラルは困惑していた。けれど、僕に顔を近づけてきた。
「コーラル……僕はダメな男だ」
「いいえ、わたしはカムイ様がどれだけ凄い人なのか知っています。だから……」
頬に“ちゅっ”とされ、僕は動揺した。唇ではないけど、頬にキスを貰った。あたたかいし、愛がある。僕は思わず心臓がドキドキして、コーラルが好きになった。いや、元々好きだったし、ドジっ子なところがたまらなかった。
「元気出たよ、ありがとう」
「いえいえ、これくらいで良ければ」
「と、ところでコーラル。君は何か特技はあるのかい。魔法とかさ」
「魔法、ですか。残念ですが……ぽんこつなので。でも、ハンマー技が得意なんです」
ハンマー技?
どうやら、ブラックスミスとかの『槌』系の物理武器を扱えるらしい。メイドなのに? 疑念は尽きないが、面白そうではあった。
コーラルを直属の部下にして、タワーダンジョンの開発に乗り出そうかな。
「二人が消えちゃった」
「どうなっているんです?」
シャロンもアイナも目を白黒させた。
おぉ、驚いているな。
僕の能力について話しておくか。
「いいかい、君達。たとえば僕が『追放』とか言えば――」
その瞬間、シャロンとアイナの姿が消えた。
…………へ?
え……
え……ええええええええええええええええええ~~~~ッ!?
ま、まさか……今の一言でシャロンとアイナが追放されちゃった……? んなアホと思いたかったけど、ビジョンで見たら森へ飛ばされていた。まずい!!
僕も直ぐにテレポートして追い駆けた。
――テレポート!
「……シャロン、アイナすまない!!」
「と、突然、転移魔法が……」
「いったい何が起きたんです!?」
周りは危険なレッドゴブリンだらけ。凄い数だな。そして、近くにはビリーとブルースらしき男が逃げ惑っていた。なんだ生きていたのか。意外としぶとい。
仕方ない、全員を連れ出そう。
「テレポート!!」
人間だけ救出し、帝国の前まで向かった。……ふぅ、危機は脱したな。
「ひ、ひいいいいい!!」
「もう勘弁してくれ~!!」
ビリーとブルースは去った。
生きているだけラッキーだったな。
一方、シャロンとアイナも――。
「ご、ごめんなさいカムイさん! わたしたち、話し合った結果……タワーダンジョンには近づかない事にしました。さようなら!!」
「本当にごめんなさい……」
あ……フられちゃった。
◇
城へ戻り、また水をぶっかけられた。まーたか。
「――カムイ様!?」
「コーラル、またかい」
「わ、わざとじゃないんです。だって、カムイ様がタイミングよく現れるから……」
「そうだね。まあいいや、着替えるのも面倒だ」
「どうか、されたのですか?」
「僕は失敗ばかりだ。ダメダメだぁ……」
疲れて床へ大の字になる。そこへコーラルが腰を下ろし、俺を膝枕してくれた。
「カムイ様は、ダメダメなんかじゃありません。だって、こんなに必死にがんばって、冒険している陛下とかカッコイイですよ! 自信をもってください」
「じゃあ、コーラル。付き合ってくれる?」
「え……」
「なんで躊躇うの!?」
「だって、わたし……ぽんこつですもん。カムイ様に相応しくないです。おっぱいだって無駄に大きいし!」
最後は別にいいだろ。
ていうか、膝枕……癒されるなあ。
もういっそ、コーラルでいいや。
メイドだし、巨乳だし、優しいし!!
「コーラル、俺の嫁になってくれ」
「……カ、カムイ様。もぉ、からかわないでくださいまし」
「僕は本気だ。証拠を見せよう」
「しょ、しょうこ!?」
僕は、ぐっと顔を近づけ――キスを求める。コーラルは顔を真っ赤にして、時を止めた。今しかない!
――なーんてな。そんな勇気はなかった。
諦めて溜息を吐くと、コーラルは困惑していた。けれど、僕に顔を近づけてきた。
「コーラル……僕はダメな男だ」
「いいえ、わたしはカムイ様がどれだけ凄い人なのか知っています。だから……」
頬に“ちゅっ”とされ、僕は動揺した。唇ではないけど、頬にキスを貰った。あたたかいし、愛がある。僕は思わず心臓がドキドキして、コーラルが好きになった。いや、元々好きだったし、ドジっ子なところがたまらなかった。
「元気出たよ、ありがとう」
「いえいえ、これくらいで良ければ」
「と、ところでコーラル。君は何か特技はあるのかい。魔法とかさ」
「魔法、ですか。残念ですが……ぽんこつなので。でも、ハンマー技が得意なんです」
ハンマー技?
どうやら、ブラックスミスとかの『槌』系の物理武器を扱えるらしい。メイドなのに? 疑念は尽きないが、面白そうではあった。
コーラルを直属の部下にして、タワーダンジョンの開発に乗り出そうかな。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スキル【レベル転生】でダンジョン無双
世界るい
ファンタジー
六年前、突如、異世界から魔王が来訪した。「暇だから我を愉しませろ」そう言って、地球上のありとあらゆる場所にダンジョンを作り、モンスターを放った。
そんな世界で十八歳となった獅堂辰巳は、ダンジョンに潜る者、ダンジョンモーラーとしての第一歩を踏み出し、ステータスを獲得する。だが、ステータスは最低値だし、パーティーを組むと経験値を獲得できない。スキルは【レベル転生】という特殊スキルが一つあるだけで、それもレベル100にならないと使えないときた。
そんな絶望的な状況下で、最弱のソロモーラーとしてダンジョンに挑み、天才的な戦闘センスを磨き続けるも、攻略は遅々として進まない。それでも諦めずチュートリアルダンジョンを攻略していたある日、一人の女性と出逢う。その運命的な出逢いによって辰巳のモーラー人生は一変していくのだが……それは本編で。
小説家になろう、カクヨムにて同時掲載
カクヨム ジャンル別ランキング【日間2位】【週間2位】
なろう ジャンル別ランキング【日間6位】【週間7位】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
嫌味なエリート治癒師は森の中で追放を宣言されて仲間に殺されかけるがギフト【痛いの痛いの飛んでいけぇ〜】には意外な使い方があり
竹井ゴールド
ファンタジー
森の中で突然、仲間に追放だと言われた治癒師は更に、
「追放出来ないなら死んだと報告するまでだ、へっへっへっ」
と殺されそうになる。
だが、【痛いの痛いの飛んでけぇ〜】には【無詠唱】、【怪我移植(移植後は自然回復のみ)】、【発動予約】等々の能力があり·······
【2023/1/3、出版申請、2023/2/3、慰めメール】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。
空
ファンタジー
そこは、ダンジョンと呼ばれる地下迷宮を舞台にモンスターと人間が暮らす世界。
冒険者と呼ばれる、ダンジョン攻略とモンスター討伐を生業として者達がいる。
その中で、常にトップの成績を残している冒険者達がいた。
その内の一人である、付与師という少し特殊な職業を持つ、ライドという青年がいる。
ある日、ライドはその冒険者パーティーから、攻略が上手くいかない事を理由に、「もう不要」と言われ解雇された。
新しいパーティーを見つけるか、入るなりするため、冒険者ギルドに相談。
いつもお世話になっている受付嬢の助言によって、トップ2の冒険者パーティーに参加することになった。
これまでとの扱いの違いに戸惑うライド。
そして、この出来事を通して、本当の現実を知っていく。
そんな物語です。
多分それほど長くなる内容ではないと思うので、短編に設定しました。
内容としては、ざまぁ系になると思います。
気軽に読める内容だと思うので、ぜひ読んでやってください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者、追放される ~仲間がクズばかりだったので、魔王とお茶してのんびり過ごす。戻ってこいと言われても断固拒否。~
秋鷺 照
ファンタジー
強すぎて勇者になってしまったレッグは、パーティーを追放され、一人で魔王城へ行く。美味しいと噂の、魔族領の茶を飲むために!(ちゃんと人類も守る)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる