12 / 21
魔法学校へ行こう?
しおりを挟む
ダンジョンから出て、そのままお風呂へ。
アイルとカリストさんとすれ違いざま、良い匂いがした……。
脱衣所に入り、そのまま大浴場へ。なんか神殿みたいな場所に出た。これ、まだダンジョンの続き……?
「すご……ドラゴンの口からお湯が出てる」
「気に入ったか、キエル。これがウチの風呂だ」
「貴族って凄いなあ」
「驚くのはまだ早い。あっちにはシャワーもあるし、露天風呂もあるんだ」
もう凄すぎて驚くのも忘れていた。
シャワーを浴びて、その後に泳げるほど広い浴槽へドボン。ラルも飛び込んできた。
「快適だねぇ! 北国じゃ考えられない規模だ。さすが帝国」
「キエルなら飽きるまでウチに居ていいぞ」
「本当かい? そうだなぁ、ラルが良ければしばらくはお邪魔しようかな」
「ずっと居てもいいさ。俺とキエルは友達だろ?」
「うん」
始めて出来た男友達。
それが嬉しくて、僕は照れた。
「それで、キエル。明日からはどうするんだ? 地下ダンジョンへ行ってもいいと思うし、魔法使いの更に上を目指すのなら……『魔法学校』かな」
「魔法学校?」
「なんだ、知らないか。魔法使いより上の存在になるには、魔法学校で『魔法スキル』を専攻しないとな。キエルだって『魔法使い』になるのは、魔法学校で学んだんじゃないのか」
「僕は独学。というか、母さんが教えてくれたんだ」
「キエルの母様か。つまり、君の母親は『先生』だったりするの?」
「そうなんだ。僕の母さんは『プロフェッサー』だよ。フィルン唯一のね」
プロフェッサーは、魔法使い系統から派生した職業であり『魔法使いの先生』という立場となる。
「それは凄いな。先生になるのは、かなりの魔法知識がないとなれないと聞いた。キエル、君の母様は凄い人だ」
なんだか自分の事のように照れる。
「それでも、僕は魔法を覚えられなくてね。ずっと『Lv.1』だった。だから、嫌気が刺して国を出て行った。自分で何とかしようって努力していたはずなんだけど『砂漠の鷲』というギルドに関わったのが運の尽きだった」
「砂漠の鷲か。父さんの言っていたギルドか。恐らく、そこが父さんとアイル様を襲ったんだろうね」
「うん、だからもっと強くなって皆を守れる魔法使いになりたいな」
「じゃあ、魔法学校に通うしかないな」
「でも、その前にお金を貯めないとね」
「そうだな、学校に入学するにはかなりの金が必要だ。俺が支援してもいいが……」
「いや……いいよ、ラル。自分の事は自分でやる」
ギフトの力で何とかお金を貯めるさ。
このお屋敷の地下ダンジョンを借りまくるか。
「分かった。だけど、俺も手伝うよ。地下ダンジョンに限らず、帝国周辺のダンジョンへ行こうぜ」
「ありがとう。アイルも連れていくよ」
「おう」
そんな話を続け、ゆっくりとお風呂を楽しんだ後は自室へ戻った。
◆
「ただいま、アイル……って、もう寝てるし」
さっきも寝ていたのにな。
きっと寝るのが好きなのかもしれない。
僕も疲れたし……って、ベッドがひとつしかない! でも、ベッドは広いから入っても……いや、アイルと一緒に寝るだなんて……。
さすがに色々まずい気がしたので、僕は床で寝る事にした。……あぁ、床は背中が痛いなぁ。
――朝、目覚めると何故かベッドの上にいた。
「……あれぇ、僕は床で寝ていたはず」
「……お、おはようございます。キエルさん」
「ん、ああ……アイルって、アイルぅ!?」
隣にはアイルがいた。
ま、まさかアイルが僕の体をベッドへ?
「キエルさん、寝相悪すぎです! 床で寝ちゃうだなんて風邪引いちゃいますよ。だから、わたしが引き上げておきました」
「ち、力持ちなんだね」
「頑張って引っ張りました。結構大変だったんですよ~、こう後ろから抱きついて腕を回して――」
そう聞くと、僕はアイルに凄く密着されていたようだ。寝ていてまったく気づかなかったぁ……どうして起きていなかったんだ。
「ごめんな」
「いいんですよ。寝相の悪さには驚きましたけど」
実は、遠慮して床で寝ていたとか今更言えないなぁ。
「まあ、これからも床で寝るよ」
「だめです! わたし、キエルさんの事を信頼しているから、一緒の部屋にいるんですよ~。だから、問題ないんですっ」
めっ! と、可愛く怒られ、僕は逆に照れた。そこまで信用してくれていたんだ。けれど、そうだ。僕は皇帝陛下からアイルを任されているんだ。アイルが僕を信頼してくれているように、僕もアイルを信頼していかなきゃ。
「うん、それじゃあ遠慮なくベッドで寝ようかな」
「はいっ」
決まったところで朝ごはんにして……これからどうしようか。
アイルとカリストさんとすれ違いざま、良い匂いがした……。
脱衣所に入り、そのまま大浴場へ。なんか神殿みたいな場所に出た。これ、まだダンジョンの続き……?
「すご……ドラゴンの口からお湯が出てる」
「気に入ったか、キエル。これがウチの風呂だ」
「貴族って凄いなあ」
「驚くのはまだ早い。あっちにはシャワーもあるし、露天風呂もあるんだ」
もう凄すぎて驚くのも忘れていた。
シャワーを浴びて、その後に泳げるほど広い浴槽へドボン。ラルも飛び込んできた。
「快適だねぇ! 北国じゃ考えられない規模だ。さすが帝国」
「キエルなら飽きるまでウチに居ていいぞ」
「本当かい? そうだなぁ、ラルが良ければしばらくはお邪魔しようかな」
「ずっと居てもいいさ。俺とキエルは友達だろ?」
「うん」
始めて出来た男友達。
それが嬉しくて、僕は照れた。
「それで、キエル。明日からはどうするんだ? 地下ダンジョンへ行ってもいいと思うし、魔法使いの更に上を目指すのなら……『魔法学校』かな」
「魔法学校?」
「なんだ、知らないか。魔法使いより上の存在になるには、魔法学校で『魔法スキル』を専攻しないとな。キエルだって『魔法使い』になるのは、魔法学校で学んだんじゃないのか」
「僕は独学。というか、母さんが教えてくれたんだ」
「キエルの母様か。つまり、君の母親は『先生』だったりするの?」
「そうなんだ。僕の母さんは『プロフェッサー』だよ。フィルン唯一のね」
プロフェッサーは、魔法使い系統から派生した職業であり『魔法使いの先生』という立場となる。
「それは凄いな。先生になるのは、かなりの魔法知識がないとなれないと聞いた。キエル、君の母様は凄い人だ」
なんだか自分の事のように照れる。
「それでも、僕は魔法を覚えられなくてね。ずっと『Lv.1』だった。だから、嫌気が刺して国を出て行った。自分で何とかしようって努力していたはずなんだけど『砂漠の鷲』というギルドに関わったのが運の尽きだった」
「砂漠の鷲か。父さんの言っていたギルドか。恐らく、そこが父さんとアイル様を襲ったんだろうね」
「うん、だからもっと強くなって皆を守れる魔法使いになりたいな」
「じゃあ、魔法学校に通うしかないな」
「でも、その前にお金を貯めないとね」
「そうだな、学校に入学するにはかなりの金が必要だ。俺が支援してもいいが……」
「いや……いいよ、ラル。自分の事は自分でやる」
ギフトの力で何とかお金を貯めるさ。
このお屋敷の地下ダンジョンを借りまくるか。
「分かった。だけど、俺も手伝うよ。地下ダンジョンに限らず、帝国周辺のダンジョンへ行こうぜ」
「ありがとう。アイルも連れていくよ」
「おう」
そんな話を続け、ゆっくりとお風呂を楽しんだ後は自室へ戻った。
◆
「ただいま、アイル……って、もう寝てるし」
さっきも寝ていたのにな。
きっと寝るのが好きなのかもしれない。
僕も疲れたし……って、ベッドがひとつしかない! でも、ベッドは広いから入っても……いや、アイルと一緒に寝るだなんて……。
さすがに色々まずい気がしたので、僕は床で寝る事にした。……あぁ、床は背中が痛いなぁ。
――朝、目覚めると何故かベッドの上にいた。
「……あれぇ、僕は床で寝ていたはず」
「……お、おはようございます。キエルさん」
「ん、ああ……アイルって、アイルぅ!?」
隣にはアイルがいた。
ま、まさかアイルが僕の体をベッドへ?
「キエルさん、寝相悪すぎです! 床で寝ちゃうだなんて風邪引いちゃいますよ。だから、わたしが引き上げておきました」
「ち、力持ちなんだね」
「頑張って引っ張りました。結構大変だったんですよ~、こう後ろから抱きついて腕を回して――」
そう聞くと、僕はアイルに凄く密着されていたようだ。寝ていてまったく気づかなかったぁ……どうして起きていなかったんだ。
「ごめんな」
「いいんですよ。寝相の悪さには驚きましたけど」
実は、遠慮して床で寝ていたとか今更言えないなぁ。
「まあ、これからも床で寝るよ」
「だめです! わたし、キエルさんの事を信頼しているから、一緒の部屋にいるんですよ~。だから、問題ないんですっ」
めっ! と、可愛く怒られ、僕は逆に照れた。そこまで信用してくれていたんだ。けれど、そうだ。僕は皇帝陛下からアイルを任されているんだ。アイルが僕を信頼してくれているように、僕もアイルを信頼していかなきゃ。
「うん、それじゃあ遠慮なくベッドで寝ようかな」
「はいっ」
決まったところで朝ごはんにして……これからどうしようか。
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
突然伯爵令嬢になってお姉様が出来ました!え、家の義父もお姉様の婚約者もクズしかいなくない??
シャチ
ファンタジー
母の再婚で伯爵令嬢になってしまったアリアは、とっても素敵なお姉様が出来たのに、実の母も含めて、家族がクズ過ぎるし、素敵なお姉様の婚約者すらとんでもない人物。
何とかお姉様を救わなくては!
日曜学校で文字書き計算を習っていたアリアは、お仕事を手伝いながらお姉様を何とか手助けする!
小説家になろうで日間総合1位を取れました~
転載防止のためにこちらでも投稿します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
魔力ゼロ聖女
桜井正宗
恋愛
婚約破棄され捨てられたエレナは魔力ゼロの聖女。
運命の相手がいないと魔力を維持できない聖女。
帝領伯エリックに捨てられたエレナは絶望する。
妹のドロテアに全てを奪われたからだ。
暴漢に襲われそうになると騎士クラウス(辺境伯)が助けてくれた。
魔力の為ではなく、幸せの為にクラウスと一つになりたいと思うようになった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる