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ギルドを追放されちゃった
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スライムは恐ろしく強敵だ。
この世界のスライムは、とにかく強い。
バケモノのように強く、倒すのにも一苦労。スライムは、レベルが高いわけでも特殊なスキルがあるわけでもない。
ただ、物理的に強かった。
タックルを食らえば、それだけで即死もありえた。初心冒険者には優しくないモンスターだった。
僕は死にかけていた。
幸い、打たれ強さだけはあったから体力ギリギリのレッドラインで耐えた。あと一撃でもダメージを受けたら、僕は死ぬだろう。
「ギャハハ! キエルのヤツ、今日も無様だな」
「ああ、あんなひっくり返ってよ」
「強いとはいえ、スライムの一匹も倒せないでやんの!」
ギルド『砂漠の鷲』に所属していた僕は、ギルドメンバーから馬鹿にされ、助けても貰えなかった。回復アイテムのポーションも、回復魔法のヒールもくれない。完全に見捨てられていた。
「……やれやれ、キエルのゴミステータスじゃダメか」
深い溜息を吐くギルドマスターの『ウィル』は、僕を置き去りにして行った。……どうして助けてくれない。僕はただ、普通の冒険が出来ればそれで良かったのに。
一時間後、僕は何とかスライムから逃げ延び、脱出。ギルドの元へ戻った。ウィルは僕をゴミでも見るような目で見て――それからこう言った。
「キエル、お前はこのギルドから追放する。もういらないよ、お前」
「…………」
「特殊な能力はないし、スライムも満足に倒せない。お前の将来はまったく期待できないんだよ。もう顔も見たくない。とっとと消えてくれ」
僕はギルドを去った。
でも、おかげでずっと隠し持っていたスキル【モンスター撃破ボーナス】の使い方もよく分かったし、これで思う存分使用できる。
僕はさっそくスライムは避け、一番弱いとされるミニスライムを狙った。たまに草原フィールドに転がっているヤツだ。経験値は『1』もないとされている。噂じゃ『0.05』とか聞いた。
ドロップアイテムも無しだったかな。
魔法使いの初級装備『杖』を手に持ち、そこらにいたミニスライムを物理的に殴る。バシッと命中するとミニスライムは、ポヨンと弾けて消えた。
スキル【モンスター撃破ボーナス】はこの瞬間に発動し、経験値とレアアイテムを直接送ってくれた。
[経験値:5000獲得]
[ドロップアイテム:銀貨1枚獲得]
【Lv.1】→【Lv.30】へアップした。
「こ、これが……『モンスター撃破ボーナス』なんだ。すご! 一気に強くなっちゃった……」
この世界のスライムは、とにかく強い。
バケモノのように強く、倒すのにも一苦労。スライムは、レベルが高いわけでも特殊なスキルがあるわけでもない。
ただ、物理的に強かった。
タックルを食らえば、それだけで即死もありえた。初心冒険者には優しくないモンスターだった。
僕は死にかけていた。
幸い、打たれ強さだけはあったから体力ギリギリのレッドラインで耐えた。あと一撃でもダメージを受けたら、僕は死ぬだろう。
「ギャハハ! キエルのヤツ、今日も無様だな」
「ああ、あんなひっくり返ってよ」
「強いとはいえ、スライムの一匹も倒せないでやんの!」
ギルド『砂漠の鷲』に所属していた僕は、ギルドメンバーから馬鹿にされ、助けても貰えなかった。回復アイテムのポーションも、回復魔法のヒールもくれない。完全に見捨てられていた。
「……やれやれ、キエルのゴミステータスじゃダメか」
深い溜息を吐くギルドマスターの『ウィル』は、僕を置き去りにして行った。……どうして助けてくれない。僕はただ、普通の冒険が出来ればそれで良かったのに。
一時間後、僕は何とかスライムから逃げ延び、脱出。ギルドの元へ戻った。ウィルは僕をゴミでも見るような目で見て――それからこう言った。
「キエル、お前はこのギルドから追放する。もういらないよ、お前」
「…………」
「特殊な能力はないし、スライムも満足に倒せない。お前の将来はまったく期待できないんだよ。もう顔も見たくない。とっとと消えてくれ」
僕はギルドを去った。
でも、おかげでずっと隠し持っていたスキル【モンスター撃破ボーナス】の使い方もよく分かったし、これで思う存分使用できる。
僕はさっそくスライムは避け、一番弱いとされるミニスライムを狙った。たまに草原フィールドに転がっているヤツだ。経験値は『1』もないとされている。噂じゃ『0.05』とか聞いた。
ドロップアイテムも無しだったかな。
魔法使いの初級装備『杖』を手に持ち、そこらにいたミニスライムを物理的に殴る。バシッと命中するとミニスライムは、ポヨンと弾けて消えた。
スキル【モンスター撃破ボーナス】はこの瞬間に発動し、経験値とレアアイテムを直接送ってくれた。
[経験値:5000獲得]
[ドロップアイテム:銀貨1枚獲得]
【Lv.1】→【Lv.30】へアップした。
「こ、これが……『モンスター撃破ボーナス』なんだ。すご! 一気に強くなっちゃった……」
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