258 / 309
【258】 元オルビス騎士団の騎士
しおりを挟む
いつの間にか現れた魔導兵器・ミラージュ。その中から何か出て来る。
現れる人型の影。
まさか、人間なのか。
『落ち着くのです、アルバ。わたしですよ』
「――んなッ!! あんたはギルマス! フォトン!」
大きな腕に掴まれているアルバが確かにその名を口にした。聞き違いでないのならあの女こそ問題のギルド『セレネイド』のマスター『フォトン』か。
銀髪に桃色の瞳。
まず目に入る脚線美。恐ろしい程の健脚で、身体に無駄が一切ない。
身に着けているのはビキニアーマーか。
そのせいか肌の露出が凄まじい。
「あの女がフォトン。というか、女だったのかよ」
「わたしも驚きました。あの鎧の中身がいた事さえも」
そうだな、ルナは戦闘になったようだし……あんな鎧モンスターっぽい中に人間がいるとは思えない。魔導兵器ってそういう事だったのか。
「ペイル、これはどういう……」
「言いたい事は分かる。けれど、これは私も想定外」
「想定外!?」
「ああ、あんな風に魔改造されてたとはな」
「魔改造だと?」
つまりなんだ、本来は魔法か何かで動く兵器だったのか。だけど、フォトンが改造してあのように装備か搭乗出来るってワケか。
動向を注視していると、フォトンが静かに微笑む。
「アルバ、貴方は別ルートにいるギルドメンバーと合流しボス部屋に向かうといいのですよ。この場はわたくしに任せて下さい」
「いいのかよ、マスター」
「ソレイユが欲しいのでしょう? 仕方ありませんね、恋路を邪魔するほどわたくしは愚かではないのです。これでも恋する乙女ですから気持ちは痛いほど分かるのですよ」
「恩に着る」
ゆっくり降ろされるアルバは、走って別ルートへ向かった。クソ、逃がすかッ! 宝剣ルナティックを投げつけでも――!
武器を取り出した瞬間、弾かれてしまった。
「うわ!!」
かなり遠くへ飛んでしまい回収は難しい。……というか、今一体何が起きた。
「カイトさん、貴方の噂は聞いております」
「フォトン、お前……何が目的だ」
「目的はただひとつ。このバイオレットダンジョンの最深部に鎮座する最強のボスモンスター『ハルキゲニア』を討伐したいんですよ。その為にもご協力を願いたい」
――ハルキゲニア。
それがボスの名前か。
「……海人様。フォトンは危険です」
ルナの言う通り。あのフォトンは危険だ……あの魔導兵器・ミラージュを操り……ん? 待てよ。それだったら。
「おい、フォトン。だったらその魔導兵器とやたらでボスモンスターを倒したら良いじゃないか! その力があれば俺達は頼らなくてもいいだろ」
「もしこの魔導兵器・ミラージュで倒せたのなら、とっくに倒しているのですよ。ですが、それは叶わなかった。それ程にハルキゲニアは強大な力を持つのです」
そんなに強いのか。
あの兵器を以てしても倒せないと――だから俺達と組みたいワケらしいが、フォトンがあの魔導兵器を使っていると分かった以上、止めねばならない。
アレでソレイユがやられているんだからな。
「カイト、私はあのフォトンとミラージュを止める。魔改造されていると分かっては尚更だ。ヤツの目的は『エレメント』だから、量産するつもりなのかもしれない。そうなれば拙いぞ」
ペイルの言う通り、エレメントの目的はそれなのかもしれない。となれば、ここでフォトンを倒す。それしか残された選択肢はない――。
「そうですか、このわたしと戦うつもりなのですね、カイト」
「ああ、そうだ。お前を止める! ソレイユにした殺傷行為は許しがたい! 何故だ、何故彼女を傷つけた!!」
「話をしようと思ったのですがね、ソレイユから攻撃を仕掛けて来たのですよ? でもまあ、そんな些細な事はどうでもいいのです。
わたくしは元オルビス騎士団の騎士でした。騎士団長のノエルもタイプでしたが……特にソレイユが大好きなんです。先ほども申しましたが彼女に恋をしているんです」
――お前もかッ!!
どいつもこいつもソレイユを狙って……もう人気だな、アイツ。世話の焼ける……だけど、アイツの人を引き付ける魅力は分かるよ。素敵な笑顔だもんな。優しいし。
「それで傷つけたってか?」
「ええ、あれは言うなれば愛の鞭です。ちゃんと急所は外しましたよ~? だからですね、もっともっとソレイユの歪む表情が見てみたい……あぁ、今頃どこにいるんでしょうね。
この手で彼女の臓物を受け止めたい……!」
恍惚とした表情で両手を広げる。
……これがフォトンか。
よく分かった。
コイツはイカれてやがるッ!!!
現れる人型の影。
まさか、人間なのか。
『落ち着くのです、アルバ。わたしですよ』
「――んなッ!! あんたはギルマス! フォトン!」
大きな腕に掴まれているアルバが確かにその名を口にした。聞き違いでないのならあの女こそ問題のギルド『セレネイド』のマスター『フォトン』か。
銀髪に桃色の瞳。
まず目に入る脚線美。恐ろしい程の健脚で、身体に無駄が一切ない。
身に着けているのはビキニアーマーか。
そのせいか肌の露出が凄まじい。
「あの女がフォトン。というか、女だったのかよ」
「わたしも驚きました。あの鎧の中身がいた事さえも」
そうだな、ルナは戦闘になったようだし……あんな鎧モンスターっぽい中に人間がいるとは思えない。魔導兵器ってそういう事だったのか。
「ペイル、これはどういう……」
「言いたい事は分かる。けれど、これは私も想定外」
「想定外!?」
「ああ、あんな風に魔改造されてたとはな」
「魔改造だと?」
つまりなんだ、本来は魔法か何かで動く兵器だったのか。だけど、フォトンが改造してあのように装備か搭乗出来るってワケか。
動向を注視していると、フォトンが静かに微笑む。
「アルバ、貴方は別ルートにいるギルドメンバーと合流しボス部屋に向かうといいのですよ。この場はわたくしに任せて下さい」
「いいのかよ、マスター」
「ソレイユが欲しいのでしょう? 仕方ありませんね、恋路を邪魔するほどわたくしは愚かではないのです。これでも恋する乙女ですから気持ちは痛いほど分かるのですよ」
「恩に着る」
ゆっくり降ろされるアルバは、走って別ルートへ向かった。クソ、逃がすかッ! 宝剣ルナティックを投げつけでも――!
武器を取り出した瞬間、弾かれてしまった。
「うわ!!」
かなり遠くへ飛んでしまい回収は難しい。……というか、今一体何が起きた。
「カイトさん、貴方の噂は聞いております」
「フォトン、お前……何が目的だ」
「目的はただひとつ。このバイオレットダンジョンの最深部に鎮座する最強のボスモンスター『ハルキゲニア』を討伐したいんですよ。その為にもご協力を願いたい」
――ハルキゲニア。
それがボスの名前か。
「……海人様。フォトンは危険です」
ルナの言う通り。あのフォトンは危険だ……あの魔導兵器・ミラージュを操り……ん? 待てよ。それだったら。
「おい、フォトン。だったらその魔導兵器とやたらでボスモンスターを倒したら良いじゃないか! その力があれば俺達は頼らなくてもいいだろ」
「もしこの魔導兵器・ミラージュで倒せたのなら、とっくに倒しているのですよ。ですが、それは叶わなかった。それ程にハルキゲニアは強大な力を持つのです」
そんなに強いのか。
あの兵器を以てしても倒せないと――だから俺達と組みたいワケらしいが、フォトンがあの魔導兵器を使っていると分かった以上、止めねばならない。
アレでソレイユがやられているんだからな。
「カイト、私はあのフォトンとミラージュを止める。魔改造されていると分かっては尚更だ。ヤツの目的は『エレメント』だから、量産するつもりなのかもしれない。そうなれば拙いぞ」
ペイルの言う通り、エレメントの目的はそれなのかもしれない。となれば、ここでフォトンを倒す。それしか残された選択肢はない――。
「そうですか、このわたしと戦うつもりなのですね、カイト」
「ああ、そうだ。お前を止める! ソレイユにした殺傷行為は許しがたい! 何故だ、何故彼女を傷つけた!!」
「話をしようと思ったのですがね、ソレイユから攻撃を仕掛けて来たのですよ? でもまあ、そんな些細な事はどうでもいいのです。
わたくしは元オルビス騎士団の騎士でした。騎士団長のノエルもタイプでしたが……特にソレイユが大好きなんです。先ほども申しましたが彼女に恋をしているんです」
――お前もかッ!!
どいつもこいつもソレイユを狙って……もう人気だな、アイツ。世話の焼ける……だけど、アイツの人を引き付ける魅力は分かるよ。素敵な笑顔だもんな。優しいし。
「それで傷つけたってか?」
「ええ、あれは言うなれば愛の鞭です。ちゃんと急所は外しましたよ~? だからですね、もっともっとソレイユの歪む表情が見てみたい……あぁ、今頃どこにいるんでしょうね。
この手で彼女の臓物を受け止めたい……!」
恍惚とした表情で両手を広げる。
……これがフォトンか。
よく分かった。
コイツはイカれてやがるッ!!!
0
お気に入りに追加
669
あなたにおすすめの小説
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
半神の守護者
ぴっさま
ファンタジー
ロッドは何の力も無い少年だったが、異世界の創造神の血縁者だった。
超能力を手に入れたロッドは前世のペット、忠実な従者をお供に世界の守護者として邪神に立ち向かう。
〜概要〜
臨時パーティーにオークの群れの中に取り残されたロッドは、不思議な生き物に助けられこの世界の神と出会う。
実は神の遠い血縁者でこの世界の守護を頼まれたロッドは承諾し、通常では得られない超能力を得る。
そして魂の絆で結ばれたユニークモンスターのペット、従者のホムンクルスの少女を供にした旅が始まる。
■注記
本作品のメインはファンタジー世界においての超能力の行使になります。
他サイトにも投稿中
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる