あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗

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【245】 月と太陽の約束

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 ふくろうの鳴き声が響く。
 赤い月夜が世界を覆い、寒々しい空気が包む。何故だろう、違和感のようなモノを感じるような。


 ルナとソレイユがお風呂から戻ってきて、俺とミーティアも済ませた。そうして、やっと各々部屋に戻ったわけだが――。


 ルナが俺のベッドに腰掛けて、手招きする。

「ん、ルナは俺と一緒に寝たいのかい? せっかく部屋を取ったけど、まあいいか。いつもの事だし」
「ええ、良いんです。わたしは海人様と一緒がいいので」

 隣に座ると頭を押され、俺はルナのひざの上に落ち、膝枕ひざまくらとなった。こ、これは久しぶりだな。


「急にどうしたんだい」
「いつもお仕事でお疲れでしょう。なので、わたしが癒して差し上げます」


 いつも優しいけど、なんだかいつも以上に優しいように思えた。今晩の赤い月のような瞳もまた一段と綺麗だった。

 そして、俺は何故か睡魔に襲われたんだ。まぶたが重くなっていく……抗おうと必死にまぶたを持ち上げようとしても、ルナの不思議な魔力によって眠ってしまった――。



 ◆◇◆◇◆



 ――海人様は眠られた。

 わたしは外へ目をやり、只ならぬ気配に対し殺気をもってにらみ返す。どうも今宵は騒がしい。わたし達をずっと観察している輩がいる。そんな事は、帝国・レッドムーンを出た時から承知していた。

 けれど、向こうは何もせず、ただ静観しているだけった。だから脅威とは見なさず放っておいたのだが。今晩は違った。

 明らかな殺意を感じたのだ。


「……海人様、失礼しますね」


 彼を寝かしつけ、わたしは窓から飛び出た。
 すると赤い影が逃げていく。

 やっぱり何者かがいたのだ。


 わたしは、普段あまり使わない【月と太陽の約束】の能力を発揮し加速した。移動速度が急激に上がったので、直ぐに追いついた。



【月と太陽の約束】Lv.5

【系列】補助
【効果】
 対象:自分 / 対象

 移動・攻撃速度を大幅に上昇させる。
 持続時間は三分間。

 [Level.1]:移動・攻撃速度 +5
 [Level.2]:移動・攻撃速度 +5
 [Level.3]:移動・攻撃速度 +5
 [Level.4]:移動・攻撃速度 +5
 [Level.5]:移動・攻撃速度 +5



「お前は何者です……!」

「……くっ。追い付かれるとはな」


 その影の正体は青年だった。恐らくは海人様と変わらない年頃だ。それにしても、見たことも無い顔だ。


「何故ずっと我々を追っていたのですか」

「……バレてしまっては仕方ない。僕はギルド『セレネイド』の副マスターさ。かつて、世界最強ギルド『シャロウ』とは肩を並べていた世界ランク第三位のギルド。まあ、シャロウは消滅したから、今は二位らしいけどね。
 ああ……そうそう、まだ名乗っていなかった。僕の名は『アルバ』さ。同じバイオレットダンジョン攻略を目指す者として君たちを監視させて貰っていた。それでどうだろうか、僕のギルドと手を組まないか? ギルドマスターが君達に興味があるらしくてね」


 まさかの勧誘に驚く。
 そういえば、バイオレットダンジョンは沢山の冒険者が殺到しているといった。となると、ギルドも多く攻略に回っている。世界第二位や第三位のギルドもレアアイテムを狙い、ダンジョンへ入るのも必然の事。だから、必死なギルドは手を組んで戦力を拡大しているのだろう。けれども、この判断を下すのはわたしではない。


「すみませんが、わたしはパーティのリーダーではないので判断しかねます」
「そうか。……まあ、リーダーの男はご就寝のようだしね。でも、僕が欲しいのは君さ……ルナ・オルビス皇女殿下。貴女のシマープリーストの力は素晴らしい。最高の治癒能力、大いなる祝福……栄光の力。是非とも我がギルドに必要だ」


 そうアルバは歩み寄ってくる。
 そして、握手を求めてきた。


「お断りです。わたしは既に海人様のモノですから」


 もちろん、わたしは丁重にお断りを入れた。もう興味を失くし、くるっときびすを返す。宿屋へ戻ろうとするけれど。


「じゃあ、実力行使に出るしかないな……!」


 突然、アルバは斧を召喚し片手だけで持ち上げた。あ……あれはまさか。


「大戦斧・エンディミオン!?」
「いいや、それは違う。これはその大戦斧・エンディミオンの兄――『大聖斧・アストライオス』さ……!」


 完全に振り向く前に斧が向かってくる。あんなデカイ武器を軽々と……! このままでは、わたしは――。


「え……」


「おらああああああああッ!!」


 ゴォンと鈍い音が『大聖斧・アストライオス』を弾く。ま、まさかこの独特な剣閃は……。
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