245 / 319
【245】 月と太陽の約束
しおりを挟む
梟の鳴き声が響く。
赤い月夜が世界を覆い、寒々しい空気が包む。何故だろう、違和感のようなモノを感じるような。
ルナとソレイユがお風呂から戻ってきて、俺とミーティアも済ませた。そうして、やっと各々部屋に戻ったわけだが――。
ルナが俺のベッドに腰掛けて、手招きする。
「ん、ルナは俺と一緒に寝たいのかい? せっかく部屋を取ったけど、まあいいか。いつもの事だし」
「ええ、良いんです。わたしは海人様と一緒がいいので」
隣に座ると頭を押され、俺はルナの膝の上に落ち、膝枕となった。こ、これは久しぶりだな。
「急にどうしたんだい」
「いつもお仕事でお疲れでしょう。なので、わたしが癒して差し上げます」
いつも優しいけど、なんだかいつも以上に優しいように思えた。今晩の赤い月のような瞳もまた一段と綺麗だった。
そして、俺は何故か睡魔に襲われたんだ。瞼が重くなっていく……抗おうと必死に瞼を持ち上げようとしても、ルナの不思議な魔力によって眠ってしまった――。
◆◇◆◇◆
――海人様は眠られた。
わたしは外へ目をやり、只ならぬ気配に対し殺気をもって睨み返す。どうも今宵は騒がしい。わたし達をずっと観察している輩がいる。そんな事は、帝国・レッドムーンを出た時から承知していた。
けれど、向こうは何もせず、ただ静観しているだけった。だから脅威とは見なさず放っておいたのだが。今晩は違った。
明らかな殺意を感じたのだ。
「……海人様、失礼しますね」
彼を寝かしつけ、わたしは窓から飛び出た。
すると赤い影が逃げていく。
やっぱり何者かがいたのだ。
わたしは、普段あまり使わない【月と太陽の約束】の能力を発揮し加速した。移動速度が急激に上がったので、直ぐに追いついた。
【月と太陽の約束】Lv.5
【系列】補助
【効果】
対象:自分 / 対象
移動・攻撃速度を大幅に上昇させる。
持続時間は三分間。
[Level.1]:移動・攻撃速度 +5
[Level.2]:移動・攻撃速度 +5
[Level.3]:移動・攻撃速度 +5
[Level.4]:移動・攻撃速度 +5
[Level.5]:移動・攻撃速度 +5
「お前は何者です……!」
「……くっ。追い付かれるとはな」
その影の正体は青年だった。恐らくは海人様と変わらない年頃だ。それにしても、見たことも無い顔だ。
「何故ずっと我々を追っていたのですか」
「……バレてしまっては仕方ない。僕はギルド『セレネイド』の副マスターさ。かつて、世界最強ギルド『シャロウ』とは肩を並べていた世界ランク第三位のギルド。まあ、シャロウは消滅したから、今は二位らしいけどね。
ああ……そうそう、まだ名乗っていなかった。僕の名は『アルバ』さ。同じバイオレットダンジョン攻略を目指す者として君たちを監視させて貰っていた。それでどうだろうか、僕のギルドと手を組まないか? ギルドマスターが君達に興味があるらしくてね」
まさかの勧誘に驚く。
そういえば、バイオレットダンジョンは沢山の冒険者が殺到しているといった。となると、ギルドも多く攻略に回っている。世界第二位や第三位のギルドもレアアイテムを狙い、ダンジョンへ入るのも必然の事。だから、必死なギルドは手を組んで戦力を拡大しているのだろう。けれども、この判断を下すのはわたしではない。
「すみませんが、わたしはパーティのリーダーではないので判断しかねます」
「そうか。……まあ、リーダーの男はご就寝のようだしね。でも、僕が欲しいのは君さ……ルナ・オルビス皇女殿下。貴女のシマープリーストの力は素晴らしい。最高の治癒能力、大いなる祝福……栄光の力。是非とも我がギルドに必要だ」
そうアルバは歩み寄ってくる。
そして、握手を求めてきた。
「お断りです。わたしは既に海人様のモノですから」
もちろん、わたしは丁重にお断りを入れた。もう興味を失くし、くるっと踵を返す。宿屋へ戻ろうとするけれど。
「じゃあ、実力行使に出るしかないな……!」
突然、アルバは斧を召喚し片手だけで持ち上げた。あ……あれはまさか。
「大戦斧・エンディミオン!?」
「いいや、それは違う。これはその大戦斧・エンディミオンの兄――『大聖斧・アストライオス』さ……!」
完全に振り向く前に斧が向かってくる。あんなデカイ武器を軽々と……! このままでは、わたしは――。
「え……」
「おらああああああああッ!!」
ゴォンと鈍い音が『大聖斧・アストライオス』を弾く。ま、まさかこの独特な剣閃は……。
赤い月夜が世界を覆い、寒々しい空気が包む。何故だろう、違和感のようなモノを感じるような。
ルナとソレイユがお風呂から戻ってきて、俺とミーティアも済ませた。そうして、やっと各々部屋に戻ったわけだが――。
ルナが俺のベッドに腰掛けて、手招きする。
「ん、ルナは俺と一緒に寝たいのかい? せっかく部屋を取ったけど、まあいいか。いつもの事だし」
「ええ、良いんです。わたしは海人様と一緒がいいので」
隣に座ると頭を押され、俺はルナの膝の上に落ち、膝枕となった。こ、これは久しぶりだな。
「急にどうしたんだい」
「いつもお仕事でお疲れでしょう。なので、わたしが癒して差し上げます」
いつも優しいけど、なんだかいつも以上に優しいように思えた。今晩の赤い月のような瞳もまた一段と綺麗だった。
そして、俺は何故か睡魔に襲われたんだ。瞼が重くなっていく……抗おうと必死に瞼を持ち上げようとしても、ルナの不思議な魔力によって眠ってしまった――。
◆◇◆◇◆
――海人様は眠られた。
わたしは外へ目をやり、只ならぬ気配に対し殺気をもって睨み返す。どうも今宵は騒がしい。わたし達をずっと観察している輩がいる。そんな事は、帝国・レッドムーンを出た時から承知していた。
けれど、向こうは何もせず、ただ静観しているだけった。だから脅威とは見なさず放っておいたのだが。今晩は違った。
明らかな殺意を感じたのだ。
「……海人様、失礼しますね」
彼を寝かしつけ、わたしは窓から飛び出た。
すると赤い影が逃げていく。
やっぱり何者かがいたのだ。
わたしは、普段あまり使わない【月と太陽の約束】の能力を発揮し加速した。移動速度が急激に上がったので、直ぐに追いついた。
【月と太陽の約束】Lv.5
【系列】補助
【効果】
対象:自分 / 対象
移動・攻撃速度を大幅に上昇させる。
持続時間は三分間。
[Level.1]:移動・攻撃速度 +5
[Level.2]:移動・攻撃速度 +5
[Level.3]:移動・攻撃速度 +5
[Level.4]:移動・攻撃速度 +5
[Level.5]:移動・攻撃速度 +5
「お前は何者です……!」
「……くっ。追い付かれるとはな」
その影の正体は青年だった。恐らくは海人様と変わらない年頃だ。それにしても、見たことも無い顔だ。
「何故ずっと我々を追っていたのですか」
「……バレてしまっては仕方ない。僕はギルド『セレネイド』の副マスターさ。かつて、世界最強ギルド『シャロウ』とは肩を並べていた世界ランク第三位のギルド。まあ、シャロウは消滅したから、今は二位らしいけどね。
ああ……そうそう、まだ名乗っていなかった。僕の名は『アルバ』さ。同じバイオレットダンジョン攻略を目指す者として君たちを監視させて貰っていた。それでどうだろうか、僕のギルドと手を組まないか? ギルドマスターが君達に興味があるらしくてね」
まさかの勧誘に驚く。
そういえば、バイオレットダンジョンは沢山の冒険者が殺到しているといった。となると、ギルドも多く攻略に回っている。世界第二位や第三位のギルドもレアアイテムを狙い、ダンジョンへ入るのも必然の事。だから、必死なギルドは手を組んで戦力を拡大しているのだろう。けれども、この判断を下すのはわたしではない。
「すみませんが、わたしはパーティのリーダーではないので判断しかねます」
「そうか。……まあ、リーダーの男はご就寝のようだしね。でも、僕が欲しいのは君さ……ルナ・オルビス皇女殿下。貴女のシマープリーストの力は素晴らしい。最高の治癒能力、大いなる祝福……栄光の力。是非とも我がギルドに必要だ」
そうアルバは歩み寄ってくる。
そして、握手を求めてきた。
「お断りです。わたしは既に海人様のモノですから」
もちろん、わたしは丁重にお断りを入れた。もう興味を失くし、くるっと踵を返す。宿屋へ戻ろうとするけれど。
「じゃあ、実力行使に出るしかないな……!」
突然、アルバは斧を召喚し片手だけで持ち上げた。あ……あれはまさか。
「大戦斧・エンディミオン!?」
「いいや、それは違う。これはその大戦斧・エンディミオンの兄――『大聖斧・アストライオス』さ……!」
完全に振り向く前に斧が向かってくる。あんなデカイ武器を軽々と……! このままでは、わたしは――。
「え……」
「おらああああああああッ!!」
ゴォンと鈍い音が『大聖斧・アストライオス』を弾く。ま、まさかこの独特な剣閃は……。
0
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
スキル【土いじり】でパーティを追放された俺、開墾した畑からダンジョンが生えてきた。
夏見ナイ
ファンタジー
「役立たず」の烙印を押され、パーティを追放されたアルフォンス。彼のスキルは戦闘に不向きな【土いじり】。失意の彼は都会を離れ、辺境の地で静かに農業を営むことを決意する。
しかし、彼が畑を耕すと、そこから不思議なダンジョンが生えてきた!
ダンジョン内では、高級ポーションになる薬草や伝説の金属『オリハルコン』が野菜のように収穫できる。地味だと思われた【土いじり】は、実はこの『農園ダンジョン』を育てる唯一無二のチートスキルだったのだ。
噂を聞きつけ集まる仲間たち。エルフの美少女、ドワーフの天才鍛冶師……。気づけば彼の農園は豊かな村へ、そして難攻不落の要塞国家へと発展していく。
一方、彼を追放したパーティは没落の一途を辿り……。
これは、追放された男が最強の生産職として仲間と共に理想郷を築き上げる、農業スローライフ&建国ファンタジー!
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる