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【217】 共和国復興
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瞼を開ければ、ベッドの上だった。
そうだ、俺は五階にある自室で寝ていた。いつものようにルナと一緒に。……ん、クリーム色の髪が目の前に。
「そうか……」
習慣でルナと共に寝ていたのを思い出す。
最近、疲労の所為だろうか……記憶が曖昧になりやすかった。ルナは俺を抱き枕のようにしており、密着していた。まだ寝息を立ててスヤスヤ寝ている。
こうして近くで見ても本当に容姿端麗で、俺に勿体ない存在だ。でも、そんな帝国・レッドムーンの皇女であるルナ・オルビスは、俺を選んでくれた。いや、最初からずっと、俺を想ってくれていた。
人差し指でルナの桃色の唇にそっと触れる。
今日もルナの為に、皆の為に頑張ろう。
――イルミネイト・食堂――
朝の支度を済ませ、新調したばかりの紳士服に着替えた。これがビシっと決まって、気持ちが清々しい程だった。着心地も抜群だし、通気性も良かった。さすがブランドモノ。
満足気に椅子へ腰かけると、軽量アーマーの騎士姿であるソレイユが食堂に入って来た。相変わらずミニスカであり、眩しいフトモモを曝け出していた。
「おはよー、カイト。あら、ビッシリ決まっているわね~。うん、カッコイイ。その服、着てくれたんだ」
そう、意外にも、この紳士服はソレイユに買って貰ったものである。日々の感謝を込めてらしい。だから、受け取ったときはすっごく嬉しかった。
「お世辞でも嬉しいよ、ソレイユ」
「ううん、本当の気持ちよ。それで、ティータイム中よね」
「ああ、開店までのね。良かったら、一緒に寛ぐか? ほら、隣」
俺は左手を使い着席を促す。
すると、ソレイユはニマッと微笑んで遠慮なく座った。その瞬間、フワッと甘い良い匂いが漂う。この香水は、ルナも使っている……流行りのアマビリスか。今、女子人気が高いらしい。
ポッドから紅茶を淹れ、彼女の手元へ。
優雅に足を組むソレイユは、ティーカップを取ると口元へ付け、上品に啜る。
「ぷっはー、美味いわね」
――で、ドンと乱暴にカップを置く。
幻想が崩れ去った瞬間である。
「……ソレイユ」
「なによ、カイト。そんなジトッと見ないで頂戴。此処じゃあ、貴族のマナーとか関係ないし、そんな堅苦しい事言わないの」
そりゃそうだが――ソレイユは、一応これでも帝国・レッドムーンの皇帝陛下に仕える『エクリプス家』なのだ。割と大雑把な部分があるので、たまに心配になる。
俺はともかく、他人の目の前で、こんなハシタナイシーンを見せないかとヒヤヒヤするんだよな。だが、俺が思う以上に気を付けているらしい。本当に大丈夫かなあ。
「分かったよ。好きにしてくれ」
「うん。――ところでさ、今日もレベル売買するんでしょう?」
「そりゃな。仕事をしないと食っていけないし、食わせてやれないからな」
最近、また帝国の税金もアップしていた。特に貧富の差が激しい『N』、『A』地区から不満が噴出しているらしい。俺も割とゲンナリしていた。
「そうね、酒税と煙草税も猛烈に上がっちゃったし……後、なんだっけ。復興税だっけ。共和国・ブルームーンが消滅しちゃったから、その復興にってね。別の国に生まれ変わらせるって計画よね」
あのシャロウとの戦いで『共和国・ブルームーン』は滅びていた。俺が大戦斧のスキル・ダークフィラメントを発動したせいだ。
幸い、全住民は転移結晶を使い『中立国・サテライト』に移住されていて無事だったけど……、罪悪感はあった。
誰も居なかったとはいえ、国を破壊してしまった責任はある。だから、俺は復興の為にも働き続けていた。最近では寄付を始めていた。
「中立国の方が環境も治安も良くて、故郷に帰りがっている人は少ないらしいけど、それでも俺は復興に賛成だ」
もともと共和国は、結構荒れた国だったらしい。ブルームーンの姫君にして、シャロウのメンバーでもあった『エキナセア姫』は国民を重要視していなかった。竜騎兵であるドラグーン部隊の育成ばかりに注力し、民の事はほとんど考えなかったという。
最後までレッドムーンを攻め滅ぼすという復讐に燃えていたようだな。
だから、ブルームーンは、レッドムーンのような快適さもなかったし、一世代も二世代も遅れた生活水準だったらしい。
そりゃあ、民は最新の環境がある中立国・サテライトから離れたくないよな。でも、それでもだ。
「ええ、そうね。こっちが戦勝国ではあるけれど……そのまま放置も出来ない。何故なら、サテライトにも限界があるからね。移民がこれ以上増えると大変よ」
そう、移民問題もあった。
戦争に巻き込まれた小国から快適なサテライトへの流入が多くあった。近頃はかなり増えて来ているようで、キャパシティオーバーになりつつあるようだ。
このままでは孰れは帝国・レッドムーンにも。おそらく、帝国もそれを恐れての今回の税金導入だろう。反発は致し方ないといったところか。
「そうだな、その為にも復興を急ぐべきだ。ソレイユ、今日も手伝ってくれるか?」
「ええ、いいわよ。今日もレベル売買、頑張りましょう」
オープンまであと五分。
既にお客さんは、このイルミネイトに並んでいる頃合いだろう。今日もレベルかお金を求めて多くの人達がやって来る。
そうだ、俺は五階にある自室で寝ていた。いつものようにルナと一緒に。……ん、クリーム色の髪が目の前に。
「そうか……」
習慣でルナと共に寝ていたのを思い出す。
最近、疲労の所為だろうか……記憶が曖昧になりやすかった。ルナは俺を抱き枕のようにしており、密着していた。まだ寝息を立ててスヤスヤ寝ている。
こうして近くで見ても本当に容姿端麗で、俺に勿体ない存在だ。でも、そんな帝国・レッドムーンの皇女であるルナ・オルビスは、俺を選んでくれた。いや、最初からずっと、俺を想ってくれていた。
人差し指でルナの桃色の唇にそっと触れる。
今日もルナの為に、皆の為に頑張ろう。
――イルミネイト・食堂――
朝の支度を済ませ、新調したばかりの紳士服に着替えた。これがビシっと決まって、気持ちが清々しい程だった。着心地も抜群だし、通気性も良かった。さすがブランドモノ。
満足気に椅子へ腰かけると、軽量アーマーの騎士姿であるソレイユが食堂に入って来た。相変わらずミニスカであり、眩しいフトモモを曝け出していた。
「おはよー、カイト。あら、ビッシリ決まっているわね~。うん、カッコイイ。その服、着てくれたんだ」
そう、意外にも、この紳士服はソレイユに買って貰ったものである。日々の感謝を込めてらしい。だから、受け取ったときはすっごく嬉しかった。
「お世辞でも嬉しいよ、ソレイユ」
「ううん、本当の気持ちよ。それで、ティータイム中よね」
「ああ、開店までのね。良かったら、一緒に寛ぐか? ほら、隣」
俺は左手を使い着席を促す。
すると、ソレイユはニマッと微笑んで遠慮なく座った。その瞬間、フワッと甘い良い匂いが漂う。この香水は、ルナも使っている……流行りのアマビリスか。今、女子人気が高いらしい。
ポッドから紅茶を淹れ、彼女の手元へ。
優雅に足を組むソレイユは、ティーカップを取ると口元へ付け、上品に啜る。
「ぷっはー、美味いわね」
――で、ドンと乱暴にカップを置く。
幻想が崩れ去った瞬間である。
「……ソレイユ」
「なによ、カイト。そんなジトッと見ないで頂戴。此処じゃあ、貴族のマナーとか関係ないし、そんな堅苦しい事言わないの」
そりゃそうだが――ソレイユは、一応これでも帝国・レッドムーンの皇帝陛下に仕える『エクリプス家』なのだ。割と大雑把な部分があるので、たまに心配になる。
俺はともかく、他人の目の前で、こんなハシタナイシーンを見せないかとヒヤヒヤするんだよな。だが、俺が思う以上に気を付けているらしい。本当に大丈夫かなあ。
「分かったよ。好きにしてくれ」
「うん。――ところでさ、今日もレベル売買するんでしょう?」
「そりゃな。仕事をしないと食っていけないし、食わせてやれないからな」
最近、また帝国の税金もアップしていた。特に貧富の差が激しい『N』、『A』地区から不満が噴出しているらしい。俺も割とゲンナリしていた。
「そうね、酒税と煙草税も猛烈に上がっちゃったし……後、なんだっけ。復興税だっけ。共和国・ブルームーンが消滅しちゃったから、その復興にってね。別の国に生まれ変わらせるって計画よね」
あのシャロウとの戦いで『共和国・ブルームーン』は滅びていた。俺が大戦斧のスキル・ダークフィラメントを発動したせいだ。
幸い、全住民は転移結晶を使い『中立国・サテライト』に移住されていて無事だったけど……、罪悪感はあった。
誰も居なかったとはいえ、国を破壊してしまった責任はある。だから、俺は復興の為にも働き続けていた。最近では寄付を始めていた。
「中立国の方が環境も治安も良くて、故郷に帰りがっている人は少ないらしいけど、それでも俺は復興に賛成だ」
もともと共和国は、結構荒れた国だったらしい。ブルームーンの姫君にして、シャロウのメンバーでもあった『エキナセア姫』は国民を重要視していなかった。竜騎兵であるドラグーン部隊の育成ばかりに注力し、民の事はほとんど考えなかったという。
最後までレッドムーンを攻め滅ぼすという復讐に燃えていたようだな。
だから、ブルームーンは、レッドムーンのような快適さもなかったし、一世代も二世代も遅れた生活水準だったらしい。
そりゃあ、民は最新の環境がある中立国・サテライトから離れたくないよな。でも、それでもだ。
「ええ、そうね。こっちが戦勝国ではあるけれど……そのまま放置も出来ない。何故なら、サテライトにも限界があるからね。移民がこれ以上増えると大変よ」
そう、移民問題もあった。
戦争に巻き込まれた小国から快適なサテライトへの流入が多くあった。近頃はかなり増えて来ているようで、キャパシティオーバーになりつつあるようだ。
このままでは孰れは帝国・レッドムーンにも。おそらく、帝国もそれを恐れての今回の税金導入だろう。反発は致し方ないといったところか。
「そうだな、その為にも復興を急ぐべきだ。ソレイユ、今日も手伝ってくれるか?」
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