200 / 308
【200】 新スキル購入
しおりを挟む
「ここがスキル売買市場ですか」
「そうだよ、カイトくん。ここら一帯が全てそうだ。もっと向こうへ行けば露店だな。知っていると思うが、現在はセール中でね、大変混雑している」
スキルを求めてくる冒険者が多い。必死に大魔法を競る魔法使い、マイナースキルを購入しようとしているエルフ、特殊資格が必要のスキルなど、レアスキルが取引されまくっていた。
「ここまでとは……圧倒されましたよ、マタンさん」
「凄いだろう。皆、スキルを欲している連中さ。あそこのドワーフも、あそこの踊り子も、あそこの錬金術師も自分にないスキルを身に付けたくて金を払っている。キミのレベル売買と似ているかもしれんな」
根本的にはそうだろうな。
そのおかげで強くなれる人もいれば、生活が楽になる人もいるだろう。ああ、そうだな、レベルと同じだ。
それにしても。
「スキルをどうやって売買しているのですか?」
俺よりも先にルナが聞いてくれた。
「良い質問です、ルナ様。私、マタンには『スキル売買』の力があるのです。これは、兄である大賢者パラディ・アプレミディと共に開発したユニークスキルでして、その、事情を話すと長くなるのです。大変心苦しいのですが、今は割愛させて戴きます。
とにかく、相手の同意さえあれば売買できるのですよ。その辺り、カイトくんのレベル売買と似通う点があるかと思います」
「……なるほど、もしかしたら『レベル売買』もアプレミディ卿が。ふむ、いいでしょう。また今度お聞かせ願いします」
「え、ええ……。さて、カイトくん、なにかスキルをご所望かな」
話を振られ、俺は迷う。
「んー、そうですね、俺は商人だから攻撃スキルを殆ど持ち合わせていないので、何か必殺技系があるといいかなぁ」
「ほう、必殺系ですとな。では、ハンマー系スキルの『メテオストライク』など如何ですかな」
ハンマー系かよ。
俺のメインウェポンは短剣なんだけどな。
「ハンマーはどちらかと言えば、ソレイユの持ち技だからなあ」
「でも、ソレイユなら気に入るかもしれませんよ。お土産にいいかもしれません」
ルナに提案され、俺は悩む。
「マタンさん、それいくら?」
「お客さん、お目が高い! これはとある帝国の騎士様が売却されたというスキルでしてね。200万セルだよ」
「――――は?」
ちょっとマテ。値段も突っ込みどころ満載だが、ある帝国の騎士? それって、まさか……」
「なあ、マタンさん」
「なんだい、カイトくん」
「その帝国の騎士って、特徴的なモミアゲがあって、桃色の髪をしていなかったか?」
「ああ、ソレイユ様だよ」
あいつ!!
スキル売却していたのかよ。
まあ、理由は孤児院の支援とかだろう。
「やっぱりですか」
「ルナも薄々気づいていたのか」
「ええ、最近、孤児院の方が安定していると仰っていましたから、スキルの売却が理由のようですね」
それにしても、200万か。
ちょっとキツイかな。
「他に何かないかな。出来れば短剣系がいいな」
「他かい。そうだねぇ……う~ん。うん、じゃあ『フィムブチュール』でどうかね」
「フィムブチュール?」
なんだか猫が好きそうな名前だな。
「これはね、斧専用なんだけどね、そりゃあ破壊的な威力があってねえ」
「あの……俺、だから短剣……」
「短剣スキルはあんまり良いスキルがなくてねえ、地味なのしかないのさ。だから、剣や鈍器、斧とか弓系しかないねえ」
ダハハハと豪快に笑うマタン。おいおい!
今更武器を変えるのもなぁ。
「困ったな。でも、一応買っておこうかな。誰かに使えるかもだし」
「ちなみに『フィムブチュール』は特価の50万セルだ」
「やっす! さっきのハンマースキルより安い! あっちはどうして高いんだよ」
「そりゃ決まっている。ソレイユ様の使っていたスキルだぞ! それだけで付加価値があるし、セール対象外だ」
なんという贔屓。ソレイユのファンだな、このおっさん。
「分かった、そのフィムブチュールでいいや。あと、まあ良さげなのを見繕ってくれ。予算は500万セルで」
「ほう、それなら上等なのが10個は出せるよ。任せな」
あとはマタンのセンスに任せた。
ネタスキルとかあったら、後でクレームだな。
「そうだよ、カイトくん。ここら一帯が全てそうだ。もっと向こうへ行けば露店だな。知っていると思うが、現在はセール中でね、大変混雑している」
スキルを求めてくる冒険者が多い。必死に大魔法を競る魔法使い、マイナースキルを購入しようとしているエルフ、特殊資格が必要のスキルなど、レアスキルが取引されまくっていた。
「ここまでとは……圧倒されましたよ、マタンさん」
「凄いだろう。皆、スキルを欲している連中さ。あそこのドワーフも、あそこの踊り子も、あそこの錬金術師も自分にないスキルを身に付けたくて金を払っている。キミのレベル売買と似ているかもしれんな」
根本的にはそうだろうな。
そのおかげで強くなれる人もいれば、生活が楽になる人もいるだろう。ああ、そうだな、レベルと同じだ。
それにしても。
「スキルをどうやって売買しているのですか?」
俺よりも先にルナが聞いてくれた。
「良い質問です、ルナ様。私、マタンには『スキル売買』の力があるのです。これは、兄である大賢者パラディ・アプレミディと共に開発したユニークスキルでして、その、事情を話すと長くなるのです。大変心苦しいのですが、今は割愛させて戴きます。
とにかく、相手の同意さえあれば売買できるのですよ。その辺り、カイトくんのレベル売買と似通う点があるかと思います」
「……なるほど、もしかしたら『レベル売買』もアプレミディ卿が。ふむ、いいでしょう。また今度お聞かせ願いします」
「え、ええ……。さて、カイトくん、なにかスキルをご所望かな」
話を振られ、俺は迷う。
「んー、そうですね、俺は商人だから攻撃スキルを殆ど持ち合わせていないので、何か必殺技系があるといいかなぁ」
「ほう、必殺系ですとな。では、ハンマー系スキルの『メテオストライク』など如何ですかな」
ハンマー系かよ。
俺のメインウェポンは短剣なんだけどな。
「ハンマーはどちらかと言えば、ソレイユの持ち技だからなあ」
「でも、ソレイユなら気に入るかもしれませんよ。お土産にいいかもしれません」
ルナに提案され、俺は悩む。
「マタンさん、それいくら?」
「お客さん、お目が高い! これはとある帝国の騎士様が売却されたというスキルでしてね。200万セルだよ」
「――――は?」
ちょっとマテ。値段も突っ込みどころ満載だが、ある帝国の騎士? それって、まさか……」
「なあ、マタンさん」
「なんだい、カイトくん」
「その帝国の騎士って、特徴的なモミアゲがあって、桃色の髪をしていなかったか?」
「ああ、ソレイユ様だよ」
あいつ!!
スキル売却していたのかよ。
まあ、理由は孤児院の支援とかだろう。
「やっぱりですか」
「ルナも薄々気づいていたのか」
「ええ、最近、孤児院の方が安定していると仰っていましたから、スキルの売却が理由のようですね」
それにしても、200万か。
ちょっとキツイかな。
「他に何かないかな。出来れば短剣系がいいな」
「他かい。そうだねぇ……う~ん。うん、じゃあ『フィムブチュール』でどうかね」
「フィムブチュール?」
なんだか猫が好きそうな名前だな。
「これはね、斧専用なんだけどね、そりゃあ破壊的な威力があってねえ」
「あの……俺、だから短剣……」
「短剣スキルはあんまり良いスキルがなくてねえ、地味なのしかないのさ。だから、剣や鈍器、斧とか弓系しかないねえ」
ダハハハと豪快に笑うマタン。おいおい!
今更武器を変えるのもなぁ。
「困ったな。でも、一応買っておこうかな。誰かに使えるかもだし」
「ちなみに『フィムブチュール』は特価の50万セルだ」
「やっす! さっきのハンマースキルより安い! あっちはどうして高いんだよ」
「そりゃ決まっている。ソレイユ様の使っていたスキルだぞ! それだけで付加価値があるし、セール対象外だ」
なんという贔屓。ソレイユのファンだな、このおっさん。
「分かった、そのフィムブチュールでいいや。あと、まあ良さげなのを見繕ってくれ。予算は500万セルで」
「ほう、それなら上等なのが10個は出せるよ。任せな」
あとはマタンのセンスに任せた。
ネタスキルとかあったら、後でクレームだな。
0
お気に入りに追加
667
あなたにおすすめの小説
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~
ヒツキノドカ
ファンタジー
「クレイ・ウェスタ―! 貴様を宮廷から追放する!」
ブラック宮廷に勤めるゴーレム使いのクレイ・ウェスターはある日突然クビを宣告される。
理由は『不当に高い素材を買いあさったこと』とされたが……それはクレイに嫉妬する、宮廷魔術師団長の策略だった。
追放されたクレイは、自由なスローライフを求めて辺境の森へと向かう。
そこで主人公は得意のゴーレム魔術を生かしてあっという間に快適な生活を手に入れる。
一方宮廷では、クレイがいなくなったことで様々なトラブルが発生。
宮廷魔術師団長は知らなかった。
クレイがどれほど宮廷にとって重要な人物だったのか。
そして、自分では穴埋めできないほどにクレイと実力が離れていたことも。
「こんなはずでは……」と嘆きながら宮廷魔術師団長はクレイの元に向かい、戻ってくるように懇願するが、すでに理想の生活を手に入れたクレイにあっさり断られてしまう。
これはブラック宮廷から解放された天才ゴーレム使いの青年が、念願の自由なスローライフを満喫する話。
ーーーーーー
ーーー
※4/29HOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
※推敲はしていますが、誤字脱字があるかもしれません。
見つけた際はご報告いただけますと幸いです……
スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!
KeyBow
ファンタジー
日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】
変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。
【アホが見ーる馬のけーつ♪
スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】
はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。
出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!
行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。
悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!
一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる