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【173】 協力者
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まだ足りないけれど、今はこれで十分だ。
「――では、わたしはオルビスへ」
ここで別れるとルナは、こちらを寂しそうに見つめながらも言った。俺の嫌疑を晴らすためだ。……出来れば離れたくはない。
このままエクリプス家へ一緒に向かいたい。でも、俺がベルガマスク・セルリアンではないと証明するには、ルナの力が必要不可欠だ。
「ルナ……すまない、俺の力では誤解は解けない。だから……後は頼む」
「勿論です。カイト様を必ず自由にしてみせます。必ず」
一礼して、ルナは去った。
……もっと話がしたかった。
◆
日没だ。
血の滲むような真っ赤な空は、まるで俺を嘲笑うかのようだった――。
「……ソレイユのヤツ、エクリプス家までショートカットとか言っていたけど、結構な距離だな。まだ先が見えねえ」
まさか草原フィールドのような道を歩く羽目になるとは。日が沈みかけてようやく赤い家が見えた。
エクリプス家だ。
「あと少し……ん?」
俺は足を止めた。
でけぇ気配を感じたのだ。まさか……。
「――――――」
「なぜ、お前が……!」
まるで、エクリプス家の門番だぜと言いたげに立つトラモントが姿があった。そういえば、ブラック卿の一件以来、どう処分されたのか知らなかった。
「エクリプス家に居たのか……」
「落ち着け、カイト」
「へ……」
「俺は味方だ」
「どういう事?」
「まあ……あの後にエクリプスの嬢ちゃんに助けられてよ。ゾンタークの家族も纏めて助けてもらったのさ。その恩がある」
――そうか、俺がコイツをぶっ飛ばした後、ソレイユが裏で手を回していてくれたのか。納得していると、噂の本人登場。
「どうかしたの、二人とも」
「ソレイユ、このドワーフだが」
「あー…、ごめん! 到着したら話そうと思っていたのよ。中々切り出すタイミングとかなくてさ~」
そういう事かい。
「しかしだな……。まあいい、ソレイユ、ここがエクリプス家か」
「どう、広くて快適でしょ」
「ああ、邸宅までまだ歩きそうだな」
ほぼお城の造形をした建物がドカンとあった。どこまでも続く外壁、圧倒的すぎる。
◆
エクリプス家へ案内される。
トラモントもついてくるので、本当に味方のようだな。違和感スゲェな。
「そうそう、カイト」
横を歩くソレイユが振り向く。
「ん?」
「ミーティアは、疲れて寝ているの。あたしの部屋にいるから、心配しないで」
「そうか。ずっと緊張状態が続いていたからな」
「そういうワケ。トラモント、あんたは、見回りへ戻ってちょうだい」
「了承した」
命令を受け、のしっとトラモントは去った。
「なあ……」
「分かってる。カイトの言いたいことはね。けれど、それよりも身体を休める方が優先よ」
いいわね、と指を向けられ、俺は反論出来なくなった。黙って彼女についていく事にした。
「…………」
ついていけば、広い部屋に入った。貴族の部屋は、当然のように広いな。というか、ソレイユの家は王家との繋がりが最も強いはずだから、これほどの規模なのだろうな。
「ここは……、この空き部屋は一年前、カイトが使っていた部屋らしいわ」
「え……」
「あたしが思い出したのも最近でね、情けない事に自分も記憶を弄られていたってワケ。それでね、護衛にトラモントをつけたのもあったの」
「そうだったのか。やはり、ブラック卿か」
「ええ、信頼できる仲間……パナシーアのギルドマスター、ワンダに調査してもらった結果、ブラック卿を支持する人物が多数確認されたわ」
「そんなにか……」
うん、とソレイユは頷く。
「ひとりは【中立国・サテライト】の王子アズール。もう一人は【共和国・ブルームーン】の将軍ベルガマスク・セルリアン。今回の騒動の名ね。そして……」
「まだいるのか」
「あたしの部下、アメリアよ」
「――そ、その子……」
「ええ、部下でもあり、幼馴染よ。でも、アメリアはブラック卿に協力して、あたしとカイトの記憶を消したのよ」
……あぁ、あの子か。
セイフの街の頃、パナシーアに訪れて来た。あの明るい性格の騎士か。そんな子には見えなかったけどな……。
「しかし、どうして……」
「それを話すわ」
ソレイユの軽い溜息と共に、日は静かに沈んだ。暗闇が訪れ、赤い月が支配した――――。
「――では、わたしはオルビスへ」
ここで別れるとルナは、こちらを寂しそうに見つめながらも言った。俺の嫌疑を晴らすためだ。……出来れば離れたくはない。
このままエクリプス家へ一緒に向かいたい。でも、俺がベルガマスク・セルリアンではないと証明するには、ルナの力が必要不可欠だ。
「ルナ……すまない、俺の力では誤解は解けない。だから……後は頼む」
「勿論です。カイト様を必ず自由にしてみせます。必ず」
一礼して、ルナは去った。
……もっと話がしたかった。
◆
日没だ。
血の滲むような真っ赤な空は、まるで俺を嘲笑うかのようだった――。
「……ソレイユのヤツ、エクリプス家までショートカットとか言っていたけど、結構な距離だな。まだ先が見えねえ」
まさか草原フィールドのような道を歩く羽目になるとは。日が沈みかけてようやく赤い家が見えた。
エクリプス家だ。
「あと少し……ん?」
俺は足を止めた。
でけぇ気配を感じたのだ。まさか……。
「――――――」
「なぜ、お前が……!」
まるで、エクリプス家の門番だぜと言いたげに立つトラモントが姿があった。そういえば、ブラック卿の一件以来、どう処分されたのか知らなかった。
「エクリプス家に居たのか……」
「落ち着け、カイト」
「へ……」
「俺は味方だ」
「どういう事?」
「まあ……あの後にエクリプスの嬢ちゃんに助けられてよ。ゾンタークの家族も纏めて助けてもらったのさ。その恩がある」
――そうか、俺がコイツをぶっ飛ばした後、ソレイユが裏で手を回していてくれたのか。納得していると、噂の本人登場。
「どうかしたの、二人とも」
「ソレイユ、このドワーフだが」
「あー…、ごめん! 到着したら話そうと思っていたのよ。中々切り出すタイミングとかなくてさ~」
そういう事かい。
「しかしだな……。まあいい、ソレイユ、ここがエクリプス家か」
「どう、広くて快適でしょ」
「ああ、邸宅までまだ歩きそうだな」
ほぼお城の造形をした建物がドカンとあった。どこまでも続く外壁、圧倒的すぎる。
◆
エクリプス家へ案内される。
トラモントもついてくるので、本当に味方のようだな。違和感スゲェな。
「そうそう、カイト」
横を歩くソレイユが振り向く。
「ん?」
「ミーティアは、疲れて寝ているの。あたしの部屋にいるから、心配しないで」
「そうか。ずっと緊張状態が続いていたからな」
「そういうワケ。トラモント、あんたは、見回りへ戻ってちょうだい」
「了承した」
命令を受け、のしっとトラモントは去った。
「なあ……」
「分かってる。カイトの言いたいことはね。けれど、それよりも身体を休める方が優先よ」
いいわね、と指を向けられ、俺は反論出来なくなった。黙って彼女についていく事にした。
「…………」
ついていけば、広い部屋に入った。貴族の部屋は、当然のように広いな。というか、ソレイユの家は王家との繋がりが最も強いはずだから、これほどの規模なのだろうな。
「ここは……、この空き部屋は一年前、カイトが使っていた部屋らしいわ」
「え……」
「あたしが思い出したのも最近でね、情けない事に自分も記憶を弄られていたってワケ。それでね、護衛にトラモントをつけたのもあったの」
「そうだったのか。やはり、ブラック卿か」
「ええ、信頼できる仲間……パナシーアのギルドマスター、ワンダに調査してもらった結果、ブラック卿を支持する人物が多数確認されたわ」
「そんなにか……」
うん、とソレイユは頷く。
「ひとりは【中立国・サテライト】の王子アズール。もう一人は【共和国・ブルームーン】の将軍ベルガマスク・セルリアン。今回の騒動の名ね。そして……」
「まだいるのか」
「あたしの部下、アメリアよ」
「――そ、その子……」
「ええ、部下でもあり、幼馴染よ。でも、アメリアはブラック卿に協力して、あたしとカイトの記憶を消したのよ」
……あぁ、あの子か。
セイフの街の頃、パナシーアに訪れて来た。あの明るい性格の騎士か。そんな子には見えなかったけどな……。
「しかし、どうして……」
「それを話すわ」
ソレイユの軽い溜息と共に、日は静かに沈んだ。暗闇が訪れ、赤い月が支配した――――。
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