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【109】 ロイヤルガード(ルナ視点)
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ギルド『パナシーア』へ向かった。
徒歩数分であるので、近くで助かる。
あれからギルドマスターのワンダには『ロイヤルガード』の特権を与えた。これで、彼女はわたしを護ることに集中できる。
それと父の許しが出たので外界へ出られるようになった。ギルドの護衛がなければ不可能だったろう。これからの手引きは『パナシーア』となった。
「よろしくお願いします、ワンダ」
「…………!? ル、ルナか。一瞬分からなかったぞ。どうした、そのメイド服といい口調……。なんだか以前とはまるで違うようだぞ」
わたしの変わりように驚くワンダは汗を垂らし、心なしか引いていた。ええ、そうでしょうね。その反応はソレイユもしていたのでもう慣れました。
「大好きな人に会うのですから、これくらいは当然の準備かと。あの皇女の姿で会うなんて……彼を驚かせて失望させるだけ。ならばと絶対に振り向かせられるよう努力してみました」
「……なんと。私とは大違いだ。そうか、好き……か。好きな人が出来たから私を頼るわけか。……面白い。ルナの恋愛事情を見守る。私も女の身としては、応援せずにはいられないな」
腕を組み、ニヤリと笑うワンダ。
「なんです」
「いや、気を悪くするな。我々、パナシーアはルナに従うだけだ。そして、シャロウへの復讐も果たす。そもそも、ヤツ等が好き放題やらなければ私はこんな運命を背負いこまなくて良かったはず。今頃はルナと同じように恋し、結婚し、幸せな時間を過ごしていただろう。だが、結婚は破談となった。邪魔された恨み……絶対に晴らしたい」
ワンダは、ギルドを押し付けられる前は、どこかの貴族と婚約を交わしていたようだ。しかも、ワンダは元々『シャロウ』の所属メンバー。
理由まではハッキリしないが、誰かに目を付けられ、妨害を受け、結婚は破談。その後に帝国からパナシーアを押し付けられるという負の連鎖が巻き起こった。それが捻くれた本当の理由だ。
「――シャロウですか。今、カイト様の所属する大手ギルドですよね。でも、彼の噂は最近まったく聞かなくなったのです」
「うん、それなんだが……おい、リーベ」
と、誰かの名を呼ぶワンダ。その背後には少女が隠れていた。名をリーベというらしい。猫耳と尻尾を持つ可愛らしい女の子だった。
「はい、偵察部隊によりますと――カイトさんは近々ギルドを追放されるという噂があります。理由は、シャロウのメンバー300名の育成が終わりつつあるからだという事です。
今やシャロウメンバーの平均レベルは『3000』近いようで、幹部クラスは『5000』を超えるようです。それまでに注ぎ込まれた資金は100億セルはくだらないかと」
「……そ、そんなに!?」
……驚いた。そんな国家予算にも匹敵するお金を動かし、レベルを底上げしていたとは。確かに、最近はシャロウの動きが活発だ。世界を股にかけ、あらゆるダンジョンを攻略しているという。ボスモンスターもほとんど占有され、狩られてしまっているとか。
世界最強のギルドである『シャロウ』は一枚岩。
肥大化し、影響力を増していた。
そんな彼らも、レベルが上がりきってしまったようだ。最大である『Lv.9999』へ到達しなくとも、それだけあれば十分と判断したようだ。
通常なら『転生クエスト』も必要だし、高レベルになるほど必要経験値は膨大となる。資金も湯水のごとく使ったのだろう。
だから――頃合いとなった。
レベルを必要としなくなったシャロウは……そのギルドマスター『アトモスフィア』は彼を捨てるつもりだ。そんなマスターの情報はほとんどない。一切が不明。まるで透明人間のようだった。
この分であればアトモスフィアは、確実にカイトをギルドから追放するだろう。そうれば、きっと彼は絶望し、悲しみに暮れる。あれほど夢見たギルドで追放なんてされたら……もう立ち直れない。あの時のわたしのように。
今度は、わたしが彼を助けてあげなければ。
わたしが彼を支える。
大好きな彼を。
徒歩数分であるので、近くで助かる。
あれからギルドマスターのワンダには『ロイヤルガード』の特権を与えた。これで、彼女はわたしを護ることに集中できる。
それと父の許しが出たので外界へ出られるようになった。ギルドの護衛がなければ不可能だったろう。これからの手引きは『パナシーア』となった。
「よろしくお願いします、ワンダ」
「…………!? ル、ルナか。一瞬分からなかったぞ。どうした、そのメイド服といい口調……。なんだか以前とはまるで違うようだぞ」
わたしの変わりように驚くワンダは汗を垂らし、心なしか引いていた。ええ、そうでしょうね。その反応はソレイユもしていたのでもう慣れました。
「大好きな人に会うのですから、これくらいは当然の準備かと。あの皇女の姿で会うなんて……彼を驚かせて失望させるだけ。ならばと絶対に振り向かせられるよう努力してみました」
「……なんと。私とは大違いだ。そうか、好き……か。好きな人が出来たから私を頼るわけか。……面白い。ルナの恋愛事情を見守る。私も女の身としては、応援せずにはいられないな」
腕を組み、ニヤリと笑うワンダ。
「なんです」
「いや、気を悪くするな。我々、パナシーアはルナに従うだけだ。そして、シャロウへの復讐も果たす。そもそも、ヤツ等が好き放題やらなければ私はこんな運命を背負いこまなくて良かったはず。今頃はルナと同じように恋し、結婚し、幸せな時間を過ごしていただろう。だが、結婚は破談となった。邪魔された恨み……絶対に晴らしたい」
ワンダは、ギルドを押し付けられる前は、どこかの貴族と婚約を交わしていたようだ。しかも、ワンダは元々『シャロウ』の所属メンバー。
理由まではハッキリしないが、誰かに目を付けられ、妨害を受け、結婚は破談。その後に帝国からパナシーアを押し付けられるという負の連鎖が巻き起こった。それが捻くれた本当の理由だ。
「――シャロウですか。今、カイト様の所属する大手ギルドですよね。でも、彼の噂は最近まったく聞かなくなったのです」
「うん、それなんだが……おい、リーベ」
と、誰かの名を呼ぶワンダ。その背後には少女が隠れていた。名をリーベというらしい。猫耳と尻尾を持つ可愛らしい女の子だった。
「はい、偵察部隊によりますと――カイトさんは近々ギルドを追放されるという噂があります。理由は、シャロウのメンバー300名の育成が終わりつつあるからだという事です。
今やシャロウメンバーの平均レベルは『3000』近いようで、幹部クラスは『5000』を超えるようです。それまでに注ぎ込まれた資金は100億セルはくだらないかと」
「……そ、そんなに!?」
……驚いた。そんな国家予算にも匹敵するお金を動かし、レベルを底上げしていたとは。確かに、最近はシャロウの動きが活発だ。世界を股にかけ、あらゆるダンジョンを攻略しているという。ボスモンスターもほとんど占有され、狩られてしまっているとか。
世界最強のギルドである『シャロウ』は一枚岩。
肥大化し、影響力を増していた。
そんな彼らも、レベルが上がりきってしまったようだ。最大である『Lv.9999』へ到達しなくとも、それだけあれば十分と判断したようだ。
通常なら『転生クエスト』も必要だし、高レベルになるほど必要経験値は膨大となる。資金も湯水のごとく使ったのだろう。
だから――頃合いとなった。
レベルを必要としなくなったシャロウは……そのギルドマスター『アトモスフィア』は彼を捨てるつもりだ。そんなマスターの情報はほとんどない。一切が不明。まるで透明人間のようだった。
この分であればアトモスフィアは、確実にカイトをギルドから追放するだろう。そうれば、きっと彼は絶望し、悲しみに暮れる。あれほど夢見たギルドで追放なんてされたら……もう立ち直れない。あの時のわたしのように。
今度は、わたしが彼を助けてあげなければ。
わたしが彼を支える。
大好きな彼を。
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