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【36】 黒いリボン

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 ようやく解放された俺たちは、家へ戻った。

「おかえりなさいませ、カイト様。……あの、先ほどは申し訳ございませんでした。わたし、あのようなご心配をお掛けするような粗相そそうを……」

 そして、早々にルナから謝られた。
 ……それは違う。俺が悪いんだから。でも、どんな顔をしていいか分からない。

「…………」
「? ……許して戴けないのでしょうか。ごめんなさい、ご迷惑でしたら言って下さい」
「そんなワケあるもんか……むしろ俺の方こそごめん。……あ、あぁ、そうだ。これ、お詫びのしるしっていうか、おみやげね」
「おみやげ? わぁ、これって……『黒いリボン』ですか。オシャレで可愛いです」

「あ、ああ……ほら、ルナって、キレイなクリーム色のロングヘアだろう。似合うかなって……キモかったかな」
「なにをおっしゃるのです! 大変嬉しいですよ♪ カイト様からのプレゼント、わたし、本当に嬉しくて……」

 ほろっと涙を流すルナ。


「――――――」


 …………な、なんて可愛くて、暖かい笑顔なんだ。

 胸がドキドキする。
 頬が燃えるように熱い。

 悩みが全て吹き飛ぶようだった。いや、吹き飛んだ。こんな花のような顔をされるとは思わなかったし、想定外の不意打ちを食らった形だ。


「あの、カイト。顔が真っ赤ですよ?」

 ミーティアが俺の顔を覗き込んでくる。

「うぐっ! う、うるさい……」

 あー、もうルナがどうとか余計に聞きずらくなった。後にしよう……。そう頭を痛めていると、二階からドタドタと降りてくる気配が。

「カイト、戻ったのね!」
「なんだ、ソレイユ」
「お腹ペコペコよ~、早くご飯にしましょ!」
「お前は能天気だな、腹ペコ騎士め」
「な、なによー。あたしにだって悩みくらいあるわよ」
「言ってみろ」
「貧乏なことよ!」

 えっへんとソレイユは、無さすぎる胸を張った。

 それはお前の自業自得だろうがっ!!
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