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第166話 勇者と極魔法使い

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 魔王軍幹部・ブリーブ。
 全身を包帯で覆っている声からして男。

 顔すらも包帯グルグル巻きで、隙間から赤い眼光が漏れている。不気味なヤツだ……もしかして、アンデッド系なのか。


「魔王軍幹部・ブリーブで間違いないのか」

「そうとも! このワシは魔王軍幹部・ブリーブで間違いない!! そんなワシの邪魔をする貴様は、勇者で相違ないな」


「そうだ、魔王を倒す勇者だ」


「笑わせる。勇者が魔族と同じ闇属性を使ってんじゃねええッ!! もっとも、ワシは火属性攻撃専門だがなァ!!」


 突然ブチギレるブリーブが突っ込んでくる。
 なんてスピードだ。
 早くて追いきれねえ。

 さっきの俺の『ダークネスアサルト』を回避できた理由も分かる。コイツ、足も相当速い。何かのスキルで補っているんだ。


「たぁッ!!」


 ならば俺は闇属性攻撃を撒きまくる。
 範囲攻撃を繰り返せば、いつか当たる。
 そう、数撃てばなんとやらだ。



「こんな闇属性攻撃。当たらなければどうという事もないわああああああッ!! 見せてやろう、我が爆炎!!」



 地面をえぐって飛んでくるブリーブは、やはり何かのスキルを補助に飛んでくる。凄まじいスピードだ。まるで弾丸だな。だけど、それでも!



『――――ダーク・ヘルズ・ディメンション!!』



 闇属性攻撃による次元断裂スキル。高火力を誇り、その分の魔力燃費はかなり悪いが……命中すれば敵はバラバラに砕け散る。のだが――ブリーブは自身・・を爆破させた。つまり、これは――



『セルフディストラクション!!!』



 こ、こいつ……自爆攻撃・・・・を!!




 ドォォォォォォォ……と大爆発に巻き込まれそうに――なった。……あっぶねえ。さすがの俺もヒヤっとした。

 まさか、助けられるとはな。
 感謝するぜ……


「フォース、お前の力で空へ打ち上げてくれたのか」

「うん。心配になって様子を見にきた」

「なんだ、俺の事を心配してくれるんだ?」

「……」


 ソウルフォースと爆風で空に舞っている中、フォースは顔を赤くしていた。でも、そうか……俺の為に。ならば、彼女を守りながら戦う。それが今の最善策だ。


「俺一人の力じゃ、あの大幹部は倒せん。フォース、お前の……まだ試験を終えていない不完全だとしても『極魔法使いアルティメットウィザード』の力が必要だ。頼む」


「任せて。敵の自爆攻撃をソウルフォースで抑制する。その隙を狙って、あの包帯男を倒して」


 良い作戦だ。

 勇者おれ極魔法使いアルティメットウィザードの共闘ってわけだ。どんな戦いになるか、これはこれで楽しみだ。



「いくぜ……!」
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