上 下
137 / 177

第137話 防衛値アップ

しおりを挟む
 ギルド戦は終わった。
 長いような短いようなイベントではあったけど、でも、これで俺がこの国のリーダーであると示すことが出来たのではないだろうか。

 ちなみに、あのギルド戦はフォースのスキルにより全国放送されており、ほとんどの民が視聴していた。だから、あの結果を知ってみんな納得したはずだ。


 などと考えながら、今日も階段の掃除をしていた。

「…………!」

 テスラが早々に俺の存在に気づき、スカートを押さえていた。

「……どうして、いつも私の起床時間に階段で掃除しているんですか。ユメは、そんなに私のパンツが見たいのですか」

「いや、たまたまだ」

「むぅ……ウソはよくありませんよ。だってもう一週間連続ですよ!? ありえないでしょう……」

 相変わらずスカートを押さえながら、テスラは階段を下りてきた。
 そんな警戒しなくても見ないってーの。

「俺は綺麗好きなんでね、掃除しているだけだっ!」
「怪しいですね……」
「なんだ、見て欲しいのか」
「だってぇ……」
「あのな、俺はそんな布切れよりも、テスラの笑顔の方がよっぽど価値があるんだよ。単純にお前の顔が見たいんだよ」

「………………っ!」

 顔を一瞬で真っ赤にさせるテスラは、手で顔を覆っていた。

「わ、わたし……とんでもない勘違いを……。ごごごごごめんなさい、ユメ。そんな風に思ってくれていたなんて……うわぁ、私ぃ!!」

 テスラは、すごい勢いで階段を下りていった。
 危ないゾ。


 で、今度はフォースが階段を上がって来た。

「……テスラどうしたの」
「ん、いや。それより、フォース」
「?」
「ちょっと抱かせろ」

 俺はフォースを抱いた。

「ん~…」
「嫌か?」
「嫌じゃない。ユメ限定だけど、強引なの好き♡ それに、ユメって体温高いから眠くなるの~」
「そか。じゃ、朝飯にすっか」
「うん♡」

 フォースを肩車して、リビングへ向かった。


 ◆


「おはよ、先生」
「ユメ、おはようございます」

 あのギルド戦で、イドーラ先生はフォースに化けていた。催し、一時帰宅したフォースを襲い、入れ替わっていたのだ。しかし、このフォースを眠らせるとか、さすが先生だな。

「……フォースちゃん、この前はごめんなさいね」

「…………」

 フォースは警戒していた。
 まあ、あんな事がありゃな。

「フォース、先生を許してあげてくれ。……悪意は……なかったはずだ、たぶん」
「ユメがそう言うのなら」

「ありがとう。そしてもう一度謝らせて下さい」

 こんなに反省しているのなら、いいだろう。

「頭を上げて先生。俺もフォースももう怒っていないよ」
「ご迷惑をお掛けしました」

「本当じゃ、イドーラ。お前は迷惑を掛け過ぎじゃな」

 と、いきなりマスター・グレイスの声が。
 よく見ると、リビングでくつろいでいた。生足を投げ出し、だらんとした恰好で。……なかなか際どい姿勢をしていらっしゃる。

「おいおい、マスターもだろう。マスターも反省してくれ」
「なんじゃ、ユメは私も罰するというのか」
「いくら師匠でも贔屓ひいきはできないよ。しかもサンライズ側だったし」
「仕方なかろう。枠がなかったのじゃから……でも、すまんかった。この通りじゃ」

 ほう、あのマスターがショボンとしている。
 けど……その、態度がね。まあいいか、マスターはこういうキャラだし。

「分かったよ」
「それはそうと、ユメ。この戦いでお主は改めて『王』となった。皆はお主を支持しておるし、絶大な信頼を寄せておるぞ」

 そう、あの試合後、俺の支持は一気に跳ね上がり、99.9%俺の支持者となった。それにより、ダスクを擁護ようごする者は激減し、失脚した。

 だが俺はあの男の強さを認めた。

 アイツは強かった。

「まあな、この国は俺のだし。それに、ダスクは……いや、サンライズとは正式に同盟を組むし、防衛力として反映する。おかげで今の【防衛値】やべぇぜ」

「良い選択をしたの。これで滞りなく『世界防衛・・・・』へ向かえるわけじゃ」

 そう、この戦いなくして、世界防衛には立ち向かえなかった。
 よい訓練になっただろう。


 ――――時期に嵐がやって来る。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

追放された美少女を助けた底辺おっさんが、実は元”特級冒険者”だった件について。

いちまる
ファンタジー
【毎週木曜日更新!】 採取クエストしか受けない地味なおっさん冒険者、ダンテ。 ある日彼は、ひょんなことからA級冒険者のパーティーを追放された猫耳族の少女、セレナとリンの面倒を見る羽目になってしまう。 最初は乗り気でなかったダンテだが、ふたりの夢を聞き、彼女達の力になると決意した。 ――そして、『特級冒険者』としての実力を隠すのをやめた。 おっさんの正体は戦闘と殺戮のプロ! しかも猫耳少女達も実は才能の塊だった!? モンスターと悪党を物理でぶちのめす、王道冒険譚が始まる――! ※本作はカクヨム、小説家になろうでも掲載しています。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

処理中です...