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第91話 悪夢<ナイトメア>

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 突如、300万のモンスターがパラドックスを襲ったが、フォースの機転により、防衛値を一気に上昇させた。

 この『極』となった防衛値ならば、怖いものはない。

 おかげで、100万ほどのモンスターはぶっ潰せた。

 だが、それでも後『200万』規模。
 多すぎる……!

「す、すごい地響きですね……。こんな事、今まで無かったのに。デイブレイクや住民の皆さんが心配です」

 不安そうに映像を見つめるゼファは、そうつぶやいた。

「大丈夫だ。トラオムダンジョンを避難所にした。あそこなら最悪、国が滅びても何とかなる。ダンジョンはかなり奥深くの地下だからな」

 今頃、キャロルが上手くやってくれているはず。

「よし、これなら防衛は余裕だろう。フォース、映像はそのまま維持を頼むが――他の国は映せないのか。ほら、あの偵察使い魔・カダスを使ってさ」

「出来なくはない。でも、あたしの行動は多少制限される。多少だけど」
「多少か。なら大丈夫だ。頼む」

 フォースはうなずくと、あっさり外界の映像を増やした。


 四属性――、いや、六属性分・・・・だ。


「わぁ、すごいわね」

 ビックリしたネーブルは、俺の腕にしがみついた。
 そういえば、すっかり元気になったな。本当に良かったよ。


 ……さて、各属性国の状況だが。


「……どこもまだ踏ん張っているな。モンスターの数はざっと30~50万ってところ。つまり、俺のパラドックスは総攻撃ってことか……! メタモルフォーゼめ、やってくれる。けどな、この国はそう簡単には落ちない」

 兵器への被害もないし、残弾はほぼ無限に等しい。
 10年、20年は平気で持つだろう。兵器だけに。

 だが、落ち着いて眺めている場合ではない。

 同盟国が危険にさらされている以上、なんとかせねば。

「フォース、もう一度確認する。パラドックスは大丈夫なんだよな?」
「大丈夫。これなら数時間で片付く。ただし、第二の奇襲攻撃があるかもしれない。けれど、それも何とかなる」

 問題はなさそうだな。
 ならば。

「よし、みんな。俺たちはヤバそうな国を助けに行く」
「助けにって……ユメ、パラドックスを守らなくていいの?」
「この防衛力なら大丈夫だよ、ネーブル。それに、他の国を見捨てられないだろう?」

「そ、それはそうだけど……分かった。ユメの好きにしたらいい。でも、約束して。無茶だけはダメ。死ぬような事があったら……許さないからね」

「うん。約束する。必ずここへ帰って来る」


 ◆ ◆ ◆


【 秘密結社・メタモルフォーゼ 】


「……ほう、あのパラドックスは、300万ものモンスターの奇襲にさえも耐えうるか」
「他の国も存外に抵抗している。しかし、これは第一波・・・にすぎない……」
「真の儀式はこれからである」
「第二ステージへ――速やかに移行せよ」
「我が妻、ディオネの残した偉大な研究――『ナイトメア』を」
「悪夢を召喚せよ」


 ◆ ◆ ◆


 他国を助けに行こうとした、その直後だった。


 フォースの出した映像が激しく乱れる程に、事態は急変した。

「ユメ、他の国を助けに行っている場合ではないかもしれませんよ」

 テスラは怖い顔をして言った。


 様子を伺うと、そこには――


 超巨大な『ナイトメア』が一体出現していた。
 海から巨体をのっそりと現し、起き上がった。


「デ……デカすぎるだろ!! なんだあのタイタンとか巨人クラスのバケモノナイトメアは……。あんなのがいるのかよ……!」

 巨大なナイトメアは初めて見た。
 しかも、あんな国よりデカイ奴に攻撃されれば、一溜りもないかもしれん。


 持つか……耐久値!!


 固唾を呑んで見守っていると、

 ナイトメアの巨人は拳を振り上げた。

 そして、壁を思いっきりブン殴り――――


『ズシ―――――――――――――――ン!!!!!!』


 地響きが体全体にも伝わるほどの衝撃。大地が揺れた。
 地震さえ起きている。


「きゃっ……」「ゼファ! みんな!」


 あまりの振動にみんな地面に伏せた。

 くそっ、無茶苦茶すぎるぞ。あんなの!

 耐久値は――。


「おお、耐久値なんてほとんど下がってないじゃないか!! 壁も壊れていない! 俺のダークウォールつえええ!!」
「極となった壁は最強。あんな巨人でも物ともしない」

 補足してくれるフォース。なるほど、いいね。
 こりゃ、今頃、メタモルフォーゼは悔しがっているだろうな!


 さて、気掛かりは他の国だが――。
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