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[9] ギルドに戻って来い!! 今更戻って来いと言われても
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ギルドを出ようとすると、俺の前に男が現れた。
「……お前、アレックス」
「違うわ!! ハワードだ!! いい加減、覚えろよ!!」
「しぶといな。まだ生きていたのか」
「あれくらいで死ぬか! 大聖女の拉致は失敗……ドラゴンハーレムも失敗。全ては俺の自業自得」
アレックスのヤツなんだ、いきなりションボリして気色悪い。
「それで、どうする気だ」
「俺はそこの大聖女と元副マスターであるオシリスに謝罪しに来たんだ」
「は?」
ちなみに、フィラは涙目で怯えていた。オシリスに縋り付いている。一方のオシリスはブチギレ寸前。顔が怖いって。
「ふざけるな、ハワード。お前は、この大聖女様を侮辱したうえ、ドラゴン族まで侮辱した。許せるはずもない」
「そうだろうな。だが、この通りだ……」
深々と頭を下げるアレックス。
なんだ、妙に素直だな。
「…………」
頭を下げられ、困惑するオシリス。俺も正直、驚いていた。あのプライドだけは馬鹿高いアレックスが頭を下げる? なんの冗談だ。
「おい、アレックス。お前の目的はなんだ」
「……スローン。お前のウワサは聞いた。あの超難易度のクエスト……ネクロマンサーを確保したんだってな? 報酬もたんまり受け取ったと聞いた」
「もう噂になってるな。だから何だ。お前には関係ないだろ」
「まあ落ち着けって、スローン。あれだ、今までの追放とか拉致の事はお互い水に流そう。あれは俺が全て悪かったし、こうして謝罪している。どうか許してくれ」
「許せ? 今更?」
「今なら無条件で『クレセントムーン』に戻って来て良い! いや、戻って来てくれ」
何を言っているんだこの馬鹿野郎。ステータスカスタムが使えなかった頃の俺は散々な目に遭った。馬鹿にされ、雑用の毎日。
それが今更戻って来いだ!?
「ふざけんな!! お前のギルドには二度と戻らないし、フィラとオシリスだけがいれば十分なんだよ!! 俺は俺でやる。もう視界に入ってくんな、アレックス!」
「そこの役立たずの大聖女とドラゴン族なんて捨てておけ! そんな役にも立たない女共より、俺のギルドに来い。お前の知らない裏ダンジョンとかボスの攻略方法を教えてやる。クレセントムーンは、この周辺では大手ギルド。情報網は凄いぞ」
はぁ? 役に立たない?
「俺の仲間を侮辱すんじゃねえええ!! このボケェェッ!!!」
さすがに我慢ならなかった俺は、ステータスカスタムの能力を使い、パワーを増大させた。拳を強く握り――アレックスの右頬に捻り入れた。
「え…………んぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………!!!!!」
数百メートルは飛んでいき、仰向けに倒れるアレックスはたまたま通りかかった馬車に轢かれていた。死んだな。
いや、きっとアイツなら大丈夫だ。
「……スローンさん、あの」
「大丈夫か、フィラ」
「はい……わたし、あの……嬉しかったです」
「お、おう」
お互いに照れていると、オシリスも照れ臭そうにしていた。
「スローン、私からも礼を言う。すっきりしたぞ」
「いいって事さ。俺達、仲間だろ?」
「そうだとも! だから、脱いでいいか!?」
「脱ぐなッ!」
ドラゴン族は、ヘンタイなのか!?
アレックスはぶっ飛ばしたし、俺もすっきりはした。これでもう二度と会う事もないかもな。
◆
帰宅して、クエスト報酬を並べた。
三百万クインとSSS級『エメラルドマント』とSSS級『エメラルドグローブ』を手に入れたわけで、これをどう分配するか――。
「SSS級か。凄いな、スローン」
オシリスは、アイテムの価値が分かるようだ。とはいえ――
「まあ、職業別で選択できたからな。俺は錬金術師だから、錬金術師の装備アイテムを選んだよ」
「いいんじゃないか。ネクロマンサーを確保したのはスローンだからな」
「それで、これを分ける?」
「分ける? その必要があるのか」
「いやだって三人で受けたクエストじゃないか。分け前があるべきだろう」
「優しいなお前は。……ふむ、フィラ様はどう思う?」
オシリスがフィラに振る。
ぼうっとしていたのか、フィラは状況がいまいち飲み込めていなかった。たまにボケボケしてるな。
「あ、あのっ……お金ですよね。スローンさんが管理すればいいと思います」
「俺か。オシリスもそれでいいか?」
「いいんじゃないか。ただ、このボロ家はどうかと思うので、引越しは希望したい」
それもそうだな。いくらなんでも廃屋すぎるし、人が住むような空間ではない。とりあえず、宿でも取るか。
今まで済んだ家を捨て、俺たちは宿屋へ向かった。お金は三百万クインもあるし、アホみたいに浪費しなきゃ半年は余裕さ。それに、クエストもまだまだたくさんある。無くなったら足すだけ。もっとお金を稼げばいいだけの話。
一泊3000クインの格安宿屋に入り、部屋に入った。
「あの……スローンさん、同じ部屋なんです?」
「そうだよ、フィラ。三人で住む」
隣で聞いていたオシリスが頭を抱えた。何事だ?
「ええッ!? スローン、個別ではないのか」
「だって、お金もったいないし!」
「ケチくさいぞ!!」
「ケチで結構。三百万あるとはいえ、油断すれば直ぐに底をつく」
「稼げばいいではないか! やっぱり、私が体を売るか……」
「売るなっ!! ……まあ、良いんじゃね。三人仲良くやろうや」
「襲うなよ?」
「それは俺のセリフだ、このヘンタイドラゴン」
「……フフ」
フフって……まあいい。
今は疲れを癒したい。
ベッドにダイブして横になると、フィラとオシリスも入ってくる。なんだこのパラダイス。
「……お前、アレックス」
「違うわ!! ハワードだ!! いい加減、覚えろよ!!」
「しぶといな。まだ生きていたのか」
「あれくらいで死ぬか! 大聖女の拉致は失敗……ドラゴンハーレムも失敗。全ては俺の自業自得」
アレックスのヤツなんだ、いきなりションボリして気色悪い。
「それで、どうする気だ」
「俺はそこの大聖女と元副マスターであるオシリスに謝罪しに来たんだ」
「は?」
ちなみに、フィラは涙目で怯えていた。オシリスに縋り付いている。一方のオシリスはブチギレ寸前。顔が怖いって。
「ふざけるな、ハワード。お前は、この大聖女様を侮辱したうえ、ドラゴン族まで侮辱した。許せるはずもない」
「そうだろうな。だが、この通りだ……」
深々と頭を下げるアレックス。
なんだ、妙に素直だな。
「…………」
頭を下げられ、困惑するオシリス。俺も正直、驚いていた。あのプライドだけは馬鹿高いアレックスが頭を下げる? なんの冗談だ。
「おい、アレックス。お前の目的はなんだ」
「……スローン。お前のウワサは聞いた。あの超難易度のクエスト……ネクロマンサーを確保したんだってな? 報酬もたんまり受け取ったと聞いた」
「もう噂になってるな。だから何だ。お前には関係ないだろ」
「まあ落ち着けって、スローン。あれだ、今までの追放とか拉致の事はお互い水に流そう。あれは俺が全て悪かったし、こうして謝罪している。どうか許してくれ」
「許せ? 今更?」
「今なら無条件で『クレセントムーン』に戻って来て良い! いや、戻って来てくれ」
何を言っているんだこの馬鹿野郎。ステータスカスタムが使えなかった頃の俺は散々な目に遭った。馬鹿にされ、雑用の毎日。
それが今更戻って来いだ!?
「ふざけんな!! お前のギルドには二度と戻らないし、フィラとオシリスだけがいれば十分なんだよ!! 俺は俺でやる。もう視界に入ってくんな、アレックス!」
「そこの役立たずの大聖女とドラゴン族なんて捨てておけ! そんな役にも立たない女共より、俺のギルドに来い。お前の知らない裏ダンジョンとかボスの攻略方法を教えてやる。クレセントムーンは、この周辺では大手ギルド。情報網は凄いぞ」
はぁ? 役に立たない?
「俺の仲間を侮辱すんじゃねえええ!! このボケェェッ!!!」
さすがに我慢ならなかった俺は、ステータスカスタムの能力を使い、パワーを増大させた。拳を強く握り――アレックスの右頬に捻り入れた。
「え…………んぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………!!!!!」
数百メートルは飛んでいき、仰向けに倒れるアレックスはたまたま通りかかった馬車に轢かれていた。死んだな。
いや、きっとアイツなら大丈夫だ。
「……スローンさん、あの」
「大丈夫か、フィラ」
「はい……わたし、あの……嬉しかったです」
「お、おう」
お互いに照れていると、オシリスも照れ臭そうにしていた。
「スローン、私からも礼を言う。すっきりしたぞ」
「いいって事さ。俺達、仲間だろ?」
「そうだとも! だから、脱いでいいか!?」
「脱ぐなッ!」
ドラゴン族は、ヘンタイなのか!?
アレックスはぶっ飛ばしたし、俺もすっきりはした。これでもう二度と会う事もないかもな。
◆
帰宅して、クエスト報酬を並べた。
三百万クインとSSS級『エメラルドマント』とSSS級『エメラルドグローブ』を手に入れたわけで、これをどう分配するか――。
「SSS級か。凄いな、スローン」
オシリスは、アイテムの価値が分かるようだ。とはいえ――
「まあ、職業別で選択できたからな。俺は錬金術師だから、錬金術師の装備アイテムを選んだよ」
「いいんじゃないか。ネクロマンサーを確保したのはスローンだからな」
「それで、これを分ける?」
「分ける? その必要があるのか」
「いやだって三人で受けたクエストじゃないか。分け前があるべきだろう」
「優しいなお前は。……ふむ、フィラ様はどう思う?」
オシリスがフィラに振る。
ぼうっとしていたのか、フィラは状況がいまいち飲み込めていなかった。たまにボケボケしてるな。
「あ、あのっ……お金ですよね。スローンさんが管理すればいいと思います」
「俺か。オシリスもそれでいいか?」
「いいんじゃないか。ただ、このボロ家はどうかと思うので、引越しは希望したい」
それもそうだな。いくらなんでも廃屋すぎるし、人が住むような空間ではない。とりあえず、宿でも取るか。
今まで済んだ家を捨て、俺たちは宿屋へ向かった。お金は三百万クインもあるし、アホみたいに浪費しなきゃ半年は余裕さ。それに、クエストもまだまだたくさんある。無くなったら足すだけ。もっとお金を稼げばいいだけの話。
一泊3000クインの格安宿屋に入り、部屋に入った。
「あの……スローンさん、同じ部屋なんです?」
「そうだよ、フィラ。三人で住む」
隣で聞いていたオシリスが頭を抱えた。何事だ?
「ええッ!? スローン、個別ではないのか」
「だって、お金もったいないし!」
「ケチくさいぞ!!」
「ケチで結構。三百万あるとはいえ、油断すれば直ぐに底をつく」
「稼げばいいではないか! やっぱり、私が体を売るか……」
「売るなっ!! ……まあ、良いんじゃね。三人仲良くやろうや」
「襲うなよ?」
「それは俺のセリフだ、このヘンタイドラゴン」
「……フフ」
フフって……まあいい。
今は疲れを癒したい。
ベッドにダイブして横になると、フィラとオシリスも入ってくる。なんだこのパラダイス。
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