7 / 11
[7] 所持金を増やせ!! ギルドへ向かい、高難易度クエストを受注
しおりを挟む
全身燃えるヴァジは、湯船に飛び込み火を鎮火させていた。
「さて、今の内に温泉を出るぞ」
「スローンさん、助けていただきありがとうござますぅぅ……」
怖かったのだろう、わんわん喚くフィラが裸で抱きついてく――うぉぉおぉぉおお……!!!
「ちょ、フィラ! それはやばいって!」
「だってだって~…変な男に襲われるところだったんですもぉぉん」
「分かった分かった。オシリス、頼むからフィラを引き剥がして着替えさせてやってくれよ」
「了解した」
抱きつくフィラを剥がしてもらい、そのまま脱衣所へ行って貰った。俺も男湯へ戻――れねええええ……!!
「あああああああああああああ……」
し、仕方ない。腰にバスタオルは巻いてるし、これでいくしかない。女湯から抜け、俺は男湯へ戻った。
◆
温泉を出て、フィラとオシリスを従えて中央噴水広場へ。そこには、人間だけでなく、エルフやドワーフが行き来したり、ベンチでまったりしていた。
「ここはスルーだ」
「あの~、スローンさん、どこへ?」
つぶらな瞳を向け、俺に質問するフィラ。そう子供の様に見られると困るな。
「どこって、そりゃ金を稼ぎに行くんだよ」
「お金、ですか」
「お金がないと何も出来ないからな」
オシリスも、所持金が温泉料金で尽きたようだ。どんだけ金ねーんだよ! 貧乏パーティすぎて、自分で言うのもなんだが不憫すぎる。
「まて、スローン」
「なんだ、オシリス」
「金に困っているのだな!?」
「ああ、そうとも」
「では、この私が体を売ってやろう」
「馬鹿かお前は!! ヤメトケ!!」
なんて事を言い出すんだこのドラゴン族。マジな顔しやがって……このパーティはヘンタイしかおらんのか!!
「体を売るってなんですか!?」
また、つぶらな瞳のフィラ。
「おい、オシリス。お前のせいでフィラが興味津々だぞ! 悪い子に育ったらどうするんだよ」
「なにを言っている、スローン。いつかは覚える知識だ。性教育もきちんとしておかねば危険だぞ」
ごもっともなんだが、体を売るとか言っていた奴が言うと説得力がね……。まあいいや。
「とにかく、そういうのは禁止だ。それより、ギルドに到着したぞ」
「この大きな建物の事ですか?」
「そうだよ、フィラ。ここは、ギルドの総合窓口『ペルセウス』さ」
多くの冒険者が利用している。
俺は、この総合窓口からあの『クレセントムーン』を紹介して貰って加入した。なんて少し懐かしんでいると、オシリスが補足を入れた。
「ここは、ギルド紹介やダンジョン情報の仕入れ、クエストの受注ができるんだ。アイテムの保管も頼めるぞ」
その通り。
冒険者なら、まずはここを利用する。
基本中の基本だ。
「へ~! そういうものなのですね」
世間を知らない大聖女フィラは、目をキラキラ輝かせて感動していた。
「というわけだ。食う金もねぇからな~、簡単なクエストを受けて食い扶持を稼ぐ」
「そうだな、ギルド未所属である以上は仕方ない」
「そういうわけだ、オシリス。フィラを見ていてくれ」
「ん? スローン、お前ひとりでいくのか」
「ああ、直ぐクエストを取ってくるよ」
~十分後~
「ほいっと、こんな感じでクエストを取ってきた」
俺は、二人に『クエストスクロール』を見せた。その紙には、いくつかの項目があった。
[クエスト]:ネクロマンサー現る?
[難易度]:★★★★★★
[内容]
若い女性の死体を狙う“墓荒らし”が出没している。北西にある『アインヘリヤル墓地』に出没する“墓荒らし”を捕獲するか抹殺する。
[クエスト報酬]
確保の場合は『三百万クイン』と『SSS級武具』。抹殺の場合は『三十万クイン』と『S級武具』を報酬とする。
「ネクロマンサーだって?」
「分からんけどね。オシリス、何か思い当たる情報はないか」
「う~ん……ない」
「ないか。まあこれ、かなり高難易度のクエストだけど『確保』なら、すげぇ額が貰えるし、SSS級の武具も貰えるんだぞ」
「だが、こんな難易度のクエストは、我々のレベルでは無理だろう」
「大丈夫だ。俺には不可能を可能にする力があるんだぜ」
「ほう?」
だが、こんな人の多い場所で『ステータスカスタム』の能力を話すわけにはいかない。
「なんだか、見られていますね」
フィラの言う通り、周囲にいる数十人がこっちを見ている。なぜなら、俺の受けるクエストは誰もが受けたがらなかった高難易度クエストだからだ。それに、大聖女とドラゴン族の美少女を連れ歩いているわけだ。注目度抜群ってわけだな。
「大事になる前にギルドを出るか。夜も近いし、丁度いいだろう。アインヘリヤル墓地へ向かう」
「分かりました! わたし、頑張ります!」
「私もだ。よろしく頼むよ、スローン、フィラ様」
ヘンタイパーティだが、何とかなるさ。俺の『ステータスカスタム』があれば困難なんて簡単に乗り越えられる。クソ貧乏から成り上がってやるさ――!
「さて、今の内に温泉を出るぞ」
「スローンさん、助けていただきありがとうござますぅぅ……」
怖かったのだろう、わんわん喚くフィラが裸で抱きついてく――うぉぉおぉぉおお……!!!
「ちょ、フィラ! それはやばいって!」
「だってだって~…変な男に襲われるところだったんですもぉぉん」
「分かった分かった。オシリス、頼むからフィラを引き剥がして着替えさせてやってくれよ」
「了解した」
抱きつくフィラを剥がしてもらい、そのまま脱衣所へ行って貰った。俺も男湯へ戻――れねええええ……!!
「あああああああああああああ……」
し、仕方ない。腰にバスタオルは巻いてるし、これでいくしかない。女湯から抜け、俺は男湯へ戻った。
◆
温泉を出て、フィラとオシリスを従えて中央噴水広場へ。そこには、人間だけでなく、エルフやドワーフが行き来したり、ベンチでまったりしていた。
「ここはスルーだ」
「あの~、スローンさん、どこへ?」
つぶらな瞳を向け、俺に質問するフィラ。そう子供の様に見られると困るな。
「どこって、そりゃ金を稼ぎに行くんだよ」
「お金、ですか」
「お金がないと何も出来ないからな」
オシリスも、所持金が温泉料金で尽きたようだ。どんだけ金ねーんだよ! 貧乏パーティすぎて、自分で言うのもなんだが不憫すぎる。
「まて、スローン」
「なんだ、オシリス」
「金に困っているのだな!?」
「ああ、そうとも」
「では、この私が体を売ってやろう」
「馬鹿かお前は!! ヤメトケ!!」
なんて事を言い出すんだこのドラゴン族。マジな顔しやがって……このパーティはヘンタイしかおらんのか!!
「体を売るってなんですか!?」
また、つぶらな瞳のフィラ。
「おい、オシリス。お前のせいでフィラが興味津々だぞ! 悪い子に育ったらどうするんだよ」
「なにを言っている、スローン。いつかは覚える知識だ。性教育もきちんとしておかねば危険だぞ」
ごもっともなんだが、体を売るとか言っていた奴が言うと説得力がね……。まあいいや。
「とにかく、そういうのは禁止だ。それより、ギルドに到着したぞ」
「この大きな建物の事ですか?」
「そうだよ、フィラ。ここは、ギルドの総合窓口『ペルセウス』さ」
多くの冒険者が利用している。
俺は、この総合窓口からあの『クレセントムーン』を紹介して貰って加入した。なんて少し懐かしんでいると、オシリスが補足を入れた。
「ここは、ギルド紹介やダンジョン情報の仕入れ、クエストの受注ができるんだ。アイテムの保管も頼めるぞ」
その通り。
冒険者なら、まずはここを利用する。
基本中の基本だ。
「へ~! そういうものなのですね」
世間を知らない大聖女フィラは、目をキラキラ輝かせて感動していた。
「というわけだ。食う金もねぇからな~、簡単なクエストを受けて食い扶持を稼ぐ」
「そうだな、ギルド未所属である以上は仕方ない」
「そういうわけだ、オシリス。フィラを見ていてくれ」
「ん? スローン、お前ひとりでいくのか」
「ああ、直ぐクエストを取ってくるよ」
~十分後~
「ほいっと、こんな感じでクエストを取ってきた」
俺は、二人に『クエストスクロール』を見せた。その紙には、いくつかの項目があった。
[クエスト]:ネクロマンサー現る?
[難易度]:★★★★★★
[内容]
若い女性の死体を狙う“墓荒らし”が出没している。北西にある『アインヘリヤル墓地』に出没する“墓荒らし”を捕獲するか抹殺する。
[クエスト報酬]
確保の場合は『三百万クイン』と『SSS級武具』。抹殺の場合は『三十万クイン』と『S級武具』を報酬とする。
「ネクロマンサーだって?」
「分からんけどね。オシリス、何か思い当たる情報はないか」
「う~ん……ない」
「ないか。まあこれ、かなり高難易度のクエストだけど『確保』なら、すげぇ額が貰えるし、SSS級の武具も貰えるんだぞ」
「だが、こんな難易度のクエストは、我々のレベルでは無理だろう」
「大丈夫だ。俺には不可能を可能にする力があるんだぜ」
「ほう?」
だが、こんな人の多い場所で『ステータスカスタム』の能力を話すわけにはいかない。
「なんだか、見られていますね」
フィラの言う通り、周囲にいる数十人がこっちを見ている。なぜなら、俺の受けるクエストは誰もが受けたがらなかった高難易度クエストだからだ。それに、大聖女とドラゴン族の美少女を連れ歩いているわけだ。注目度抜群ってわけだな。
「大事になる前にギルドを出るか。夜も近いし、丁度いいだろう。アインヘリヤル墓地へ向かう」
「分かりました! わたし、頑張ります!」
「私もだ。よろしく頼むよ、スローン、フィラ様」
ヘンタイパーティだが、何とかなるさ。俺の『ステータスカスタム』があれば困難なんて簡単に乗り越えられる。クソ貧乏から成り上がってやるさ――!
22
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる