隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗

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[3] ステータスカスタムお試し使用。大聖女の防御力がマックス!!

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 帝国・ヘルクレスに無事帰還。
 疲労で歩けなくなった大聖女フィラを背負い、俺はここまでやって来た。

「って、なんで俺が大聖女の介護をせにゃーならん」
「……いいじゃないですか。おっぱい当ててあげているんですから、代金はしっかりと体で払ってます!」

「どうやら、この聖女。俺よりヘンタイらしい」
「ちょっと!! 心の声が漏れてません!?」

 おっとウッカリ。
 まあ、確かに代金としては破格かもな。こんな可愛い大聖女の感触を味わえるとか、そう滅多にない経験だ。でも、そのうち天罰でも下りそうかもと思い始めていた俺。神聖な聖女を穢してしまうとか、ヤバイだろう。俺は怖くなって手を離した。


「えい」
「え……きゃぁッ!?」

「馬鹿。普通に下ろしただけだろ」
「い、いきなり下ろさないくださいよぉ」

「もう俺の肩とか腕も限界なんだよ」
「大聖堂まで運んで欲しかったです」
「俺は便利屋じゃねーんだよ、錬金術師アルケミストなの」


 とりあえず、この聖女を大聖堂にとっとと返却しないとな。トラブルに巻き込まれる予感しか――


「よぉ、スローン!! よくぞ帝国に戻って来てくれたなァ!!!」


 なんか乱暴な口調で呼び止められた。……こ、この声はまさか!!


「アレックス!!」
「ハワードだっつーの!!!!」

「お前、ベロ切って死んだんじゃ」
「死んでねーよ!! ちょっと切っただけだ! まだヒリヒリするけどな!!」

「自業自得じゃん。それによ、俺とお前の関係はもうないはずだ。追放したくせについてくんなストーカー」

「うるせえ!! 全部お前のせいだろう、スローン!!」
「俺のせい? ふざけんな。俺はな……心が深く傷付いたんだぞ。追放なんて屈辱を味わった……人生最大の屈辱。かつてこれほど怒りと悲しみに暮れた日はない」


「そうか。ならこのナイフで心臓を一突きにしてやらあああああああ!!」


 ギラギラと光るナイフを持つアレックス。一応、冒険用の上等な短剣ナイフらしい。攻撃力もそれなりにあると見た。


「なら、こっちは大聖女バリアだあああああ!!」


 俺は、大聖女フィラを盾にした。


「え……えええええええええええええ、なんでわたしいいいいいいい!!?」


 アレックスのナイフがフィラの胸を貫こうとする。……もちろん、ただ単に盾にしたわけではない。俺は『ステータスカスタム』の能力を把握する為にも、聖女を実験台にした。


 フィラの胸部にナイフが刺さる瞬間、ナイフの方が耐えきれなくなり――刃が折れた。ポキンと折れる刃は宙を舞う。


「――――なッ」


 その場の全員が驚いた。


「すげ……フィラ、お前の[DEF]を『99』にしたんだが、最強じゃん!」
「いやああああああああああああ!!」


 刺されたと思っているんだろうな、フィラは叫びまくっていた。


「おいおい、刺されてないって」
「し、死にたくないいい!! 助けて!! この錬金術師、わたしを盾にしたああああ!!」

「暴れるなって。よく見てみろ」
「……へ? あれ、刺されてない」
「だろ。フィラ、お前は今最強の防御力を手に入れているんだぞ。三分間だけだがな」
「え? えぇ!?」

 混乱するのも無理はない。
 俺のスペシャル能力《スキル》を詳しく教えていないしな。だが、これは使えるな。本当に他人にも『ステータスカスタム』出来てしまった。

 つまり、これを上手く扱えば俺だけの最強パーティあるいはギルドが作れてしまうという事だ。……やっべ、これは強すぎるぞ。


「馬鹿な! 俺のナイフが折れただと!?」


 そういえば、アレックスもいたな。
 ヤツもぷるぷると震えて驚いていた。


「アレックス、観念しろ」
「ク、クソォ!! 覚えていろよ!!!」


 悔しそうに唇を噛み、逃走するアレックス。いい気味だぜ!! まあ、もう俺には一生勝てんがな!!


「……そーゆーわけだ、フィラ。俺がお前を強くしてやったんだ」
「す、凄いです。正直、驚きました。だって、本当に刺されると思いましたもん……って、そうですよ! わたしを盾にして!! 最低ですよぉ!?」

「唾を飛ばすなって。ほう、お前の唾って聖水扱い・・・・なのか」
「そりゃあ、大聖女だからです! でもだからって飲まないで下さいよ、本当にヘンタイさんになっちゃいますよ!!」

「さすがにそこまで落ちてねーよ。フィラ、それより俺と組め! 俺と最強のパーティあるいはギルドを作って各地を暴れ回ろうぜ」

「えぇ……」
「そうか、じゃあここでお別れだな! 短い間だったが、楽しかったよ」


 俺はきびすを返すのだが、フィラがくっついて離れなかった。なぜに!


「待って下さいよぉ……」
「なんだ」
「まだ助けてもらったお礼をしていないです」
「あ?」
「売り飛ばされそうになった所を助けて戴いたじゃないですか。だから、お礼をしたいんです」

「あー、そうか。じゃあ、仲間になれ!!(ドン)」

「仲間は嫌です!」
「じゃあ、なんならいいんだよ(ドン)」

「下僕!!!」

「やっぱり、この大聖女頭おかしいわ」


 俺は、大聖女フィラを雑用係なかまにした!!!(ドン)
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