3 / 4
第3話
しおりを挟む
旋風が巻き起こり、男達は吹き飛ばされていた。あまりに一瞬の出来事でわたしは驚くしかなかった。
ドロテアは、ただ立ち尽くし呆然としていた。
本当に何が起きて……あ。
砂埃が晴れるとそこには人がいた。
騎士のような格好をした若い男性。
爽やかな表情で彼はわたしに視線を送ってくる。
「大丈夫ですか、聖女エレナ様」
「あ、あなたは……?」
「僕はクラウス。ただの騎士です」
「助けていただき、感謝します」
見つめ合っていると、ドロテアが発狂した。
「ちょ、ちょっと何よ!! 騎士、どうして邪魔をしたの!!」
「どうして? 困っている人を助ける。当然のことだ。あなたこそ、聖女エレナ様の妹君のドロテアさんですよね。なぜ姉を追い詰めるようなこと?」
「……そ、それは……全部お姉様が悪いのよ! ただそれだけの話!」
「そうか。噂に聞いたが……君は聖女エレナ様からエリックを奪ったそうじゃないか。婚約破棄させ、聖女エレナ様をどうするつもりだったのかな」
「あ、あなたに関係ないでしょ! 騎士のクセに口出ししないで」
「関係はある。この僕は、聖女エレナ様を守護する騎士。だが、今まではエリックとの婚約があって表に出ることは叶わなかった。その状況も変わった……つまり、僕は聖女様を守る正式な騎士というわけだ」
クラウスは、わたしを守るようにしてくれた。……何もかもを失ったと思っていたけれど、彼のおかげで助かった。
「くっ……。お姉様、今日のところは退散するわ。でも、忘れないで……お姉様を絶対に地獄に突き落としてやるからッ!!」
散々悪態をついてドロテアは踵を返した。昔はあんな子ではなかったのに。心優しい少女だったはずなのに。……もう、関係を修復することは出来なさそう。
「聖女様、もし行く当てがなければ僕の屋敷に来ませんか」
「クラウス様の? そうですね……よろしくお願いします」
「良かった。これからもエレナ様をお守り致します。この命に懸けて」
強くて頼り甲斐のありそう。
心優しい人に違いない。
ドロテアは、ただ立ち尽くし呆然としていた。
本当に何が起きて……あ。
砂埃が晴れるとそこには人がいた。
騎士のような格好をした若い男性。
爽やかな表情で彼はわたしに視線を送ってくる。
「大丈夫ですか、聖女エレナ様」
「あ、あなたは……?」
「僕はクラウス。ただの騎士です」
「助けていただき、感謝します」
見つめ合っていると、ドロテアが発狂した。
「ちょ、ちょっと何よ!! 騎士、どうして邪魔をしたの!!」
「どうして? 困っている人を助ける。当然のことだ。あなたこそ、聖女エレナ様の妹君のドロテアさんですよね。なぜ姉を追い詰めるようなこと?」
「……そ、それは……全部お姉様が悪いのよ! ただそれだけの話!」
「そうか。噂に聞いたが……君は聖女エレナ様からエリックを奪ったそうじゃないか。婚約破棄させ、聖女エレナ様をどうするつもりだったのかな」
「あ、あなたに関係ないでしょ! 騎士のクセに口出ししないで」
「関係はある。この僕は、聖女エレナ様を守護する騎士。だが、今まではエリックとの婚約があって表に出ることは叶わなかった。その状況も変わった……つまり、僕は聖女様を守る正式な騎士というわけだ」
クラウスは、わたしを守るようにしてくれた。……何もかもを失ったと思っていたけれど、彼のおかげで助かった。
「くっ……。お姉様、今日のところは退散するわ。でも、忘れないで……お姉様を絶対に地獄に突き落としてやるからッ!!」
散々悪態をついてドロテアは踵を返した。昔はあんな子ではなかったのに。心優しい少女だったはずなのに。……もう、関係を修復することは出来なさそう。
「聖女様、もし行く当てがなければ僕の屋敷に来ませんか」
「クラウス様の? そうですね……よろしくお願いします」
「良かった。これからもエレナ様をお守り致します。この命に懸けて」
強くて頼り甲斐のありそう。
心優しい人に違いない。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームのヒロインが純潔を重んじる聖女とか終わってません?
ララ
恋愛
私は侯爵令嬢のフレイヤ。
前世の記憶を持っている。
その記憶によるとどうやら私の生きるこの世界は乙女ゲームの世界らしい。
乙女ゲームのヒロインは聖女でさまざまな困難を乗り越えながら攻略対象と絆を深め愛し合っていくらしい。
最後には大勢から祝福を受けて結婚するハッピーエンドが待っている。
子宝にも恵まれて平民出身のヒロインが王子と身分差の恋に落ち、その恋がみのるシンデレラストーリーだ。
そして私はそんな2人を邪魔する悪役令嬢。
途中でヒロインに嫉妬に狂い危害を加えようとした罪により断罪される。
今日は断罪の日。
けれど私はヒロインに危害を加えようとしたことなんてない。
それなのに断罪は始まった。
まあそれは別にいいとして‥‥。
現実を見ましょう?
聖女たる資格は純潔無垢。
つまり恋愛はもちろん結婚なんてできないのよ?
むしろそんなことしたら資格は失われる。
ただの容姿のいい平民になるのよ?
誰も気づいていないみたいだけど‥‥。
うん、よく考えたらこの乙女ゲームの設定終わってません??
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
婚約破棄でも構いませんが国が滅びますよ?
亜綺羅もも
恋愛
シルビア・マックイーナは神によって選ばれた聖女であった。
ソルディッチという国は、代々国王が聖女を娶ることによって存続を約束された国だ。
だがシェイク・ソルディッチはシルビアという婚約者を捨て、ヒメラルダという美女と結婚すると言い出した。
シルビアは別段気にするような素振りも見せず、シェイクの婚約破棄を受け入れる。
それはソルディッチの終わりの始まりであった。
それを知っているシルビアはソルディッチを離れ、アールモンドという国に流れ着く。
そこで出会った、アレン・アールモンドと恋に落ちる。
※完結保証
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
魔法を使える私はかつて婚約者に嫌われ婚約破棄されてしまいましたが、このたびめでたく国を護る聖女に認定されました。
四季
恋愛
「穢れた魔女を妻とする気はない! 婚約は破棄だ!!」
今日、私は、婚約者ケインから大きな声でそう宣言されてしまった。
聖女にはなれませんよ? だってその女は性女ですから
真理亜
恋愛
聖女アリアは婚約者である第2王子のラルフから偽聖女と罵倒され、婚約破棄を宣告される。代わりに聖女見習いであるイザベラと婚約し、彼女を聖女にすると宣言するが、イザベラには秘密があった。それは...
醜い私を救ってくれたのはモフモフでした ~聖女の結界が消えたと、婚約破棄した公爵が後悔してももう遅い。私は他国で王子から溺愛されます~
上下左右
恋愛
聖女クレアは泣きボクロのせいで、婚約者の公爵から醜女扱いされていた。だが彼女には唯一の心の支えがいた。愛犬のハクである。
だがある日、ハクが公爵に殺されてしまう。そんな彼女に追い打ちをかけるように、「醜い貴様との婚約を破棄する」と宣言され、新しい婚約者としてサーシャを紹介される。
サーシャはクレアと同じく異世界からの転生者で、この世界が乙女ゲームだと知っていた。ゲームの知識を利用して、悪役令嬢となるはずだったクレアから聖女の立場を奪いに来たのである。
絶望するクレアだったが、彼女の前にハクの生まれ変わりを名乗る他国の王子が現れる。そこからハクに溺愛される日々を過ごすのだった。
一方、クレアを失った王国は結界の力を失い、魔物の被害にあう。その責任を追求され、公爵はクレアを失ったことを後悔するのだった。
本物語は、不幸な聖女が、前世の知識で逆転劇を果たし、モフモフ王子から溺愛されながらハッピーエンドを迎えるまでの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる