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第55話 効率重視の最強パーティ

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 白い影が堕天使・ペトルス。
 黒い影が背教者・グラレアヌス。
 赤い影が大罪人・アタナシウス。


 そんな風に覚えて、遺跡ダンジョンの中を進んでいく。


「無駄に広い遺跡で助かったな。しかも、大魔法をぶつけてもビクともしないし、崩壊の心配もないわけだ」

「そうだ、レイジ。この遺跡は冥界へと繋がっているからね、あらゆる力が働いているのだよ」


 サラは矢を放つ。
 一本で凄まじい魔力を持ち、堕天使を穿うがっていた。……一撃で。なんというか、サラは強かった。当たり前なんだけど、あの矢一本で仕留めてしまうとはね。


「そうか。てか、俺も負けてられないな」


 アモルの大魔法もバンバン発動している。魔力MPの回復は、ルシアが行ってくれるし、魔力回復ポーションもある程度は持って来ているので、それで回復したりだ。




 ――そうして狩り作業を半日かけていった――




 効率重視の最強パーティでモンスター狩りを無事に終え、俺たちはムジョルニア家へ戻った。その日はあまりに疲れてしまい、みんなグッタリ。


「皆、お疲れ様。サラも、アモルさんもアンティさんもありがとう。なにより、ルシアには助けられた。ヒールがなかったら回復が追い付かなかったよ」

「いえ、わたしはずっと支援しか出来なかったですし」

「十分だよ。ねえ、サラ」
「ああ、ルシア様の力がなければ我々は壊滅だった。それと、レイジもよくやった。お前の剣技は見事であったぞ」


 なんと褒めて戴いた。


 アモルさんとアンティさんからも「レイジは強いね。雑兵じゃないじゃん。もう立派な騎士だよ」とか「刀とは美しいのだな。見事な太刀筋だった」とか絶賛だった。



「ありがとう! おかげで経験値クリスタルどころか、経験値テーブル操作が出来るぞ」


「「え」」


 アモルさん、アンティさんはポカ~~ンとしていた。あれ、話していなかったっけ……。そうだ、ルシアとサラにしか話していなかった!


「じ、実は……」


「「ええええッ!?」」


「経験値テーブルを操れるの?」

 アモルさんから期待の眼差し。

「凄いな、それが事実とすればカンストも容易いじゃないか。そうなれば最強だぞ」

 アンティさんからも。



「今回の狩りはリジェクトに勝つためなので、その為なら出し惜しみしないよ。二人のレベルも99にしようか?」



「「まじ!?」」


「うん。その代わり、リジェクト打倒を誓ってくれ」


「もちろん!」
「俺もだ」


 二人から同意を得て、俺は約束した。


「では、一度解散としよう。お風呂に行きたいのでな。女性陣はこっちだ」


 サラは、ルシアとアモルを呼び連れていった。


「あ……俺達二人きり」
「ま~、さすがにな。レイジくんはどうする?」

「俺は部屋に戻るよ。アンティさんも休まれるといいかと」

「ああ、そうする。じゃあ、経験値テーブル操作も期待しているよ。何か困った事があったら、いつでも何でも言ってくれ!」


 ゴツゴツと鎧の擦れる音を響かせながら、アンティさんは戻って行った。俺も戻るか。


 ――俺も風呂を終え、ベッドの上で仰向けに寝ていた。ウトウトとしていると、ルシアがベッドに入り込んで来て……密着してきた。


「ルシアは、淋しがり屋の甘えん坊さんだな」


「……はい、ルシアは淋しがり屋の甘えん坊さんなんです。だから、レイジさんが恋しくて恋しくてたまらない……そんな女の子なんです。こんな聖女はお嫌いですか?」


「最高さ。むしろ大歓迎だよ。うん、その寝巻可愛いね、このキレイな銀髪と合っているし……」


 顔を赤くするルシアは、俺の耳元まで顔を寄せて来た。そして、耳打ちを――。


「レイジさん……。ルシアはその……えっちな事とかよく分かりません」


 ……いや、その言葉だけで大興奮なんですけどっ。


「いや、まってルシア。気持ちはめっちゃ嬉しいよ。でも、まだリジェクトの件が片付いていないからね……それが終わったらね。でも、キスはしたい」

「今はキスでも嬉しいです」


 俺がするよりも先に、ルシアから重ねてきた。


 俺はそれを受け止め――


 時を忘れるくらい長くそうしていた。
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