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第3話 ニセモノの聖女
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突風となったヴィクトルは、レイピアでスライムを一突きにした。
見事に命中し、倒せたのかなと期待をしていると――。
『ポヨ~ン』
と、スライムが転がっていった。
「え……!」
「……くっ。ダメだったか」
「ええ!?」
「やはり、Lv.1の攻撃力では火力が低すぎるんだ」
真面目な顔をして分析するヴィクトル。そっか、レベルのせいで思ったようなダメージが与えられないんだ。
なら、火力を上げられるようにすればいい。
わたしは戦闘支援のスキルも持ち合わせている。
攻撃力を上げるスキル『グラドゥアーレ』を発動。
【グラドゥアーレ】
【詳細】
神の救いの言葉。聖歌のひとつ。
このスキルは自身や対象に使用可能。
その者の物理・魔法攻撃力を増幅。
三分間持続する。
このスキルをヴィクトルに付与すると、彼は神々しい緑色のオーラに包まれた。
「それは攻撃力を上げるスキルです!」
「おぉ、レニ。こんな素晴らしいスキルを持っていたとは、さすが聖女様だ」
彼はもう一度、スライムに向かって走り出す。
レイピアで攻撃すると、今度はスライムに刃が通って――倒せた!
スライムは弾けて消えた。
やった……!
上手くいった。
「良かった……」
「ありがとう、レニ。おかげでスライムを討伐できた」
「咄嗟でしたけどね」
「それでもだよ。君を連れてきて正解だった」
良かった。少しでもヴィクトルの役に立てたのなら嬉しい。
一度、街へ戻ることに。
カウラお婆さんに討伐完了を報告するヴィクトル。
「もう終わったのかい?」
「無事に完了したよ、カウラさん」
「Lv.1なのにやるじゃないか! 以前は倒せもしなかったのに、どうしたことかね」
「レニのおかげだよ。彼女の聖女としての力はホンモノだ」
「へえ、この子がねえ。そういえば、帝都ではニセモノの聖女で騒動になっていると風の噂を聞いたわね」
その噂を耳にして、わたしはハッとなった。
そういえば、お父様と婚約者が言っていた。
わたしのことを“ニセモノの聖女”だと。きっと関係がある。
「あの、お婆さん。その騒動のこと教えてくれませんか」
「……ふむ。スライム討伐の報酬に教えてあげよう」
お婆さんは、帝都で起きている騒動のことを教えてくれた。
噂によれば“ホンモノ”を名乗る聖女が現れ、わたしをニセモノと断定したらしい。それがお父様や婚約者の耳に入ったのかもしれない。
そうだったんだ……。
ホンモノを名乗る聖女……いったい誰なの。
おかげで、わたしは家を追い出され、婚約破棄されてしまった。
許しがたい。
けど、確認しようにも、ここから帝都はあまりに遠すぎる。
「……そんな」
項垂れていると、ヴィクトルが優しく声を掛けてくれた。
「レニ。帝都のことは僕が調査するよ」
「ヴィクトル様……ありがとうございます。わたし、真実を知りたいです」
「ああ、任せてくれ。君がニセモノではないと、この僕は理解している」
優しい眼差し。
わたしを信じてくれるんだ。
嬉しくて涙が出そう。
今は彼がだけが頼り。
ヴィクトルの言葉を信じよう。
その後、ヌルメンカリを歩き回ることに。ヴィクトルが案内してくれることに。
見事に命中し、倒せたのかなと期待をしていると――。
『ポヨ~ン』
と、スライムが転がっていった。
「え……!」
「……くっ。ダメだったか」
「ええ!?」
「やはり、Lv.1の攻撃力では火力が低すぎるんだ」
真面目な顔をして分析するヴィクトル。そっか、レベルのせいで思ったようなダメージが与えられないんだ。
なら、火力を上げられるようにすればいい。
わたしは戦闘支援のスキルも持ち合わせている。
攻撃力を上げるスキル『グラドゥアーレ』を発動。
【グラドゥアーレ】
【詳細】
神の救いの言葉。聖歌のひとつ。
このスキルは自身や対象に使用可能。
その者の物理・魔法攻撃力を増幅。
三分間持続する。
このスキルをヴィクトルに付与すると、彼は神々しい緑色のオーラに包まれた。
「それは攻撃力を上げるスキルです!」
「おぉ、レニ。こんな素晴らしいスキルを持っていたとは、さすが聖女様だ」
彼はもう一度、スライムに向かって走り出す。
レイピアで攻撃すると、今度はスライムに刃が通って――倒せた!
スライムは弾けて消えた。
やった……!
上手くいった。
「良かった……」
「ありがとう、レニ。おかげでスライムを討伐できた」
「咄嗟でしたけどね」
「それでもだよ。君を連れてきて正解だった」
良かった。少しでもヴィクトルの役に立てたのなら嬉しい。
一度、街へ戻ることに。
カウラお婆さんに討伐完了を報告するヴィクトル。
「もう終わったのかい?」
「無事に完了したよ、カウラさん」
「Lv.1なのにやるじゃないか! 以前は倒せもしなかったのに、どうしたことかね」
「レニのおかげだよ。彼女の聖女としての力はホンモノだ」
「へえ、この子がねえ。そういえば、帝都ではニセモノの聖女で騒動になっていると風の噂を聞いたわね」
その噂を耳にして、わたしはハッとなった。
そういえば、お父様と婚約者が言っていた。
わたしのことを“ニセモノの聖女”だと。きっと関係がある。
「あの、お婆さん。その騒動のこと教えてくれませんか」
「……ふむ。スライム討伐の報酬に教えてあげよう」
お婆さんは、帝都で起きている騒動のことを教えてくれた。
噂によれば“ホンモノ”を名乗る聖女が現れ、わたしをニセモノと断定したらしい。それがお父様や婚約者の耳に入ったのかもしれない。
そうだったんだ……。
ホンモノを名乗る聖女……いったい誰なの。
おかげで、わたしは家を追い出され、婚約破棄されてしまった。
許しがたい。
けど、確認しようにも、ここから帝都はあまりに遠すぎる。
「……そんな」
項垂れていると、ヴィクトルが優しく声を掛けてくれた。
「レニ。帝都のことは僕が調査するよ」
「ヴィクトル様……ありがとうございます。わたし、真実を知りたいです」
「ああ、任せてくれ。君がニセモノではないと、この僕は理解している」
優しい眼差し。
わたしを信じてくれるんだ。
嬉しくて涙が出そう。
今は彼がだけが頼り。
ヴィクトルの言葉を信じよう。
その後、ヌルメンカリを歩き回ることに。ヴィクトルが案内してくれることに。
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