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3.癒されていく聖女の心
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アリオク方伯が去り、わたしは一度部屋へ戻った。
あの話は聞かなかったことにして、胸の内に留めた。彼に、恩人であるバルムンクに盗み聞きをしていたなんて言えない。
でも、彼はわたしを庇ってくれた。
その事実がたまらなく嬉しかった。
窓辺から城塞都市ジークフリートの街並みを眺める。
ここは階層の中でもほぼ一番高い位置にあるようで、全体が見えそうなほどに景色が良かった。……そろそろ日が沈む。
空は闇に染まっていく。
やがて赤い月が現れ、街中をストロベリー色に染めあげた。
『……コンコン』
その時、扉をノックする音が響いた。わたしは返事をした。
「どうぞ」
「失礼するよ、レイエス」
バルムンクは騎士のような服装から変わり、紳士服に変わっていた。とても凛々しく、カッコ良かった。服装が変わるだけで、こんなに雰囲気も変わるのね。
「は、はい……」
「緊張しているのかい」
「その、ちょっとだっけ……」
「そうか。でも安心するといい。シグルズ城は自由に出歩いて良いし、自分の家のように使ってくれ」
「で、でも……」
彼は微笑んだ。優しい瞳でわたしの手を取って立ち上がらせてくれた。
「シグルズ城の内部を案内しよう」
「ありがとうございます」
不思議と胸が落ち着いた。
彼の瞳の魔力なのかしら。こんなにも安心できるだなんて信じられなかった。本当に凄い人。
広々とした廊下を歩き、城内を観光地のように歩いていく。……凄い。甲冑や絵画、珍しい置物。寝室も凄い数。
客間や大広間、舞踏会のホールや展望台。神秘的なお花が規則的に並ぶお庭。ところどころに点在する透明感のある噴水と水路。
ここがメフィストフェレス帝国の都でないなんて信じられない。まるで夢のような楽園だった。
「圧巻です。これほど美しく壮大で芸術的なお城は初めてです」
「気に入って貰えたようで良かった」
「そうだ。精霊のシェムハザとは会ったかな?」
「……ああ、あの三毛猫ちゃんですね」
「そうだ。シェムハザは大切な家族。ぜひ仲良くなって欲しい」
「分かりました。がんばります」
あのコはやっぱり『精霊』だったんだ。人間の言葉を喋るし、微量ながら魔力も感じた。仲良くなったら魔法のこととか教えてもらえるかな。
わたしは覚えてみたい魔法スキルがあった。
そのうち仲良くなったら聞いてみよう。
案内の最後にお城の屋上へ。
長い階段を上がった先には、見たこともない風景が広がっていた。
「シグルズ城の屋上へようこそ。ここが城塞都市ジークフリートの中心だ」
外はすっかり夜になっていたけれど、街の明かりが煌々と輝いていた。それと赤い月明りと満天の星空。
なんて神秘的で美しい。
こんな素晴らしいお城にいられるなんて夢のよう。
わたしなんかが住んでもいいのかな。
「素敵な都市ですね」
「そう言ってくれて良かった。けど、なんだかな腹落ちしない顔をしているね」
「……はい。バルムンク様……わたし、生きていていいのでしょうか」
伯爵に家族を殺され、婚約破棄と領地追放という散々な目に遭った。正直、わたしの心はズタズタに引き裂かれていた。今こうして正気でいられるのは彼の“優しさ”のおかげだった。
もし彼がいなければ、わたしはとっくにあの魔物に殺されていたし、この世にいなかった。助けられたことには感謝している。けれど、ふとあのままの方が良かったんじゃないかと思ってしまった。いっそ、消えてしまった方が……。
胸がずっと締め付けられている。
辛い。
本当は辛い。
この気持ちを吐露したい。でも、彼に迷惑が掛かると思い、感情も涙もずっと堪えていた。
「もちろんだ。この都市には君を必要としている人がたくさんいるんだ。その一人が俺であるし、君を幸せにしたいと考えているよ」
「……でも」
「誓うよ。俺が必ず君を守る。もう辛い目には遭わせないし、俺が君の希望になれるよう全力で努力する」
バルムンクはわたしの目の前で腰を下ろし、手に触れた。まるでプロポーズをするみたいな体勢で、わたしは思わず身を緊張させた。
彼の眼差しは真剣そのもので、嘘偽りがなかった。
その言葉を信じようと思った。きっとバルムンクなら、このパズルのように砕け散った心を癒してくれるはず。だからこそ、わたしは返事をした。
「ありがとうございます、バルムンク様。わたし、がんばって生きようと思います」
「そうだ、その意気だ。俺も死にたいと思ったことは何度もある。でも、乗り越えてきた。レイエス、君もきっといつか心の底から笑える日がくるさ」
わたしの手を優しく包み込んでくれるバルムンク。そうね、きっとその日がやってきそうな気がする。今は彼を信じる。――そう決めた。
◆
シグルズ城の案内が終わって食堂へ。
食事に招かれた。そういえば、伯爵の領地を出てからまともに食事をしていなかった。ほとんど食べ物を口にしていないことに気づいた。
思えば空腹が原因で精神的に参っていた部分もあるかも。
今は食べて少しでも精をつけ、バルムンクの足を引っ張らないようがんばって生きなきゃ。
食堂には恐ろしいほど長いテーブル置かれていた。その上には豪華な料理がたくさん。……良い匂い。
恥ずかしながら、今すぐにでも食べたい衝動に駆られた。
「……うぅ。お腹空きました」
「そうだったか。気づかなくて悪かった。さあ、こっちへ」
ついていくとバルムンクは途中で足を止め、椅子を引いてくれた。優しい。
「丁寧にありがとうございます」
「好きなのを好きなだけ食べるといい。ドラゴン肉、高級魚料理、海鮮、スープ、高級フルーツと今日は特別なメニューも取り揃えている」
まるでパーティみたいなお料理の数々。こんな大胆で煌びやかな料理ははじめて。
「こんなに……嬉しいです!」
「ああ、そうそう。料理を運んでいる老執事はヴォルムス。元帝国軍人であり、皇帝陛下に仕えていた時代もあった。わけあって今は俺の専属執事だ」
先ほどからいそいそと動いている執事ね。貫禄があるなぁとは思っていたけど、そんな動い人だったなんて。
「よろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ。聖女レイエス様」
ぺこりと執事は丁寧にお辞儀した。わたしのこと知ってるんだ。
「あの……」
「ああ、すまない。食べようか」
ナイフとフォークを使い、わたしはさっそく魚料理をいただく。これは白身魚のムニエル。
ん~、オリーブオイルとかレモンの酸味の塩梅が完璧に調和している。こんな美味しい料理ははじめてかも。
「…………美味しい」
「そうだろう。ヴォルムスは料理研究家でね。だから、手放せないんだ」
ドヤッと自慢気にバルムンクは誇る。うん、これは凄い味付け。プロ中のプロの料理人だわ。
幸せすぎて嫌なこと全部吹き飛びそう。
まさか料理がこんなに美味しいと思える日がくるなんて。
伯爵の領地にいる時も豪華な料理は出てきた。でも、味付けは伯爵好みの濃いものが多くて脂っぽいものばかり。しかも会話はほとんどなくて退屈で、衛兵からも監視されていてとても窮屈だった。味なんてしなかった。
けれど、バルムンクのお城は明るくて雰囲気も良くて最高。食事がこんな楽しいと思える日が来るなんて思わなかった。
彼には本当に感謝しかない。
そして、いつしか自然と涙がふれていた。……嬉しい、嬉しい。とても、嬉しい。
あの話は聞かなかったことにして、胸の内に留めた。彼に、恩人であるバルムンクに盗み聞きをしていたなんて言えない。
でも、彼はわたしを庇ってくれた。
その事実がたまらなく嬉しかった。
窓辺から城塞都市ジークフリートの街並みを眺める。
ここは階層の中でもほぼ一番高い位置にあるようで、全体が見えそうなほどに景色が良かった。……そろそろ日が沈む。
空は闇に染まっていく。
やがて赤い月が現れ、街中をストロベリー色に染めあげた。
『……コンコン』
その時、扉をノックする音が響いた。わたしは返事をした。
「どうぞ」
「失礼するよ、レイエス」
バルムンクは騎士のような服装から変わり、紳士服に変わっていた。とても凛々しく、カッコ良かった。服装が変わるだけで、こんなに雰囲気も変わるのね。
「は、はい……」
「緊張しているのかい」
「その、ちょっとだっけ……」
「そうか。でも安心するといい。シグルズ城は自由に出歩いて良いし、自分の家のように使ってくれ」
「で、でも……」
彼は微笑んだ。優しい瞳でわたしの手を取って立ち上がらせてくれた。
「シグルズ城の内部を案内しよう」
「ありがとうございます」
不思議と胸が落ち着いた。
彼の瞳の魔力なのかしら。こんなにも安心できるだなんて信じられなかった。本当に凄い人。
広々とした廊下を歩き、城内を観光地のように歩いていく。……凄い。甲冑や絵画、珍しい置物。寝室も凄い数。
客間や大広間、舞踏会のホールや展望台。神秘的なお花が規則的に並ぶお庭。ところどころに点在する透明感のある噴水と水路。
ここがメフィストフェレス帝国の都でないなんて信じられない。まるで夢のような楽園だった。
「圧巻です。これほど美しく壮大で芸術的なお城は初めてです」
「気に入って貰えたようで良かった」
「そうだ。精霊のシェムハザとは会ったかな?」
「……ああ、あの三毛猫ちゃんですね」
「そうだ。シェムハザは大切な家族。ぜひ仲良くなって欲しい」
「分かりました。がんばります」
あのコはやっぱり『精霊』だったんだ。人間の言葉を喋るし、微量ながら魔力も感じた。仲良くなったら魔法のこととか教えてもらえるかな。
わたしは覚えてみたい魔法スキルがあった。
そのうち仲良くなったら聞いてみよう。
案内の最後にお城の屋上へ。
長い階段を上がった先には、見たこともない風景が広がっていた。
「シグルズ城の屋上へようこそ。ここが城塞都市ジークフリートの中心だ」
外はすっかり夜になっていたけれど、街の明かりが煌々と輝いていた。それと赤い月明りと満天の星空。
なんて神秘的で美しい。
こんな素晴らしいお城にいられるなんて夢のよう。
わたしなんかが住んでもいいのかな。
「素敵な都市ですね」
「そう言ってくれて良かった。けど、なんだかな腹落ちしない顔をしているね」
「……はい。バルムンク様……わたし、生きていていいのでしょうか」
伯爵に家族を殺され、婚約破棄と領地追放という散々な目に遭った。正直、わたしの心はズタズタに引き裂かれていた。今こうして正気でいられるのは彼の“優しさ”のおかげだった。
もし彼がいなければ、わたしはとっくにあの魔物に殺されていたし、この世にいなかった。助けられたことには感謝している。けれど、ふとあのままの方が良かったんじゃないかと思ってしまった。いっそ、消えてしまった方が……。
胸がずっと締め付けられている。
辛い。
本当は辛い。
この気持ちを吐露したい。でも、彼に迷惑が掛かると思い、感情も涙もずっと堪えていた。
「もちろんだ。この都市には君を必要としている人がたくさんいるんだ。その一人が俺であるし、君を幸せにしたいと考えているよ」
「……でも」
「誓うよ。俺が必ず君を守る。もう辛い目には遭わせないし、俺が君の希望になれるよう全力で努力する」
バルムンクはわたしの目の前で腰を下ろし、手に触れた。まるでプロポーズをするみたいな体勢で、わたしは思わず身を緊張させた。
彼の眼差しは真剣そのもので、嘘偽りがなかった。
その言葉を信じようと思った。きっとバルムンクなら、このパズルのように砕け散った心を癒してくれるはず。だからこそ、わたしは返事をした。
「ありがとうございます、バルムンク様。わたし、がんばって生きようと思います」
「そうだ、その意気だ。俺も死にたいと思ったことは何度もある。でも、乗り越えてきた。レイエス、君もきっといつか心の底から笑える日がくるさ」
わたしの手を優しく包み込んでくれるバルムンク。そうね、きっとその日がやってきそうな気がする。今は彼を信じる。――そう決めた。
◆
シグルズ城の案内が終わって食堂へ。
食事に招かれた。そういえば、伯爵の領地を出てからまともに食事をしていなかった。ほとんど食べ物を口にしていないことに気づいた。
思えば空腹が原因で精神的に参っていた部分もあるかも。
今は食べて少しでも精をつけ、バルムンクの足を引っ張らないようがんばって生きなきゃ。
食堂には恐ろしいほど長いテーブル置かれていた。その上には豪華な料理がたくさん。……良い匂い。
恥ずかしながら、今すぐにでも食べたい衝動に駆られた。
「……うぅ。お腹空きました」
「そうだったか。気づかなくて悪かった。さあ、こっちへ」
ついていくとバルムンクは途中で足を止め、椅子を引いてくれた。優しい。
「丁寧にありがとうございます」
「好きなのを好きなだけ食べるといい。ドラゴン肉、高級魚料理、海鮮、スープ、高級フルーツと今日は特別なメニューも取り揃えている」
まるでパーティみたいなお料理の数々。こんな大胆で煌びやかな料理ははじめて。
「こんなに……嬉しいです!」
「ああ、そうそう。料理を運んでいる老執事はヴォルムス。元帝国軍人であり、皇帝陛下に仕えていた時代もあった。わけあって今は俺の専属執事だ」
先ほどからいそいそと動いている執事ね。貫禄があるなぁとは思っていたけど、そんな動い人だったなんて。
「よろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ。聖女レイエス様」
ぺこりと執事は丁寧にお辞儀した。わたしのこと知ってるんだ。
「あの……」
「ああ、すまない。食べようか」
ナイフとフォークを使い、わたしはさっそく魚料理をいただく。これは白身魚のムニエル。
ん~、オリーブオイルとかレモンの酸味の塩梅が完璧に調和している。こんな美味しい料理ははじめてかも。
「…………美味しい」
「そうだろう。ヴォルムスは料理研究家でね。だから、手放せないんだ」
ドヤッと自慢気にバルムンクは誇る。うん、これは凄い味付け。プロ中のプロの料理人だわ。
幸せすぎて嫌なこと全部吹き飛びそう。
まさか料理がこんなに美味しいと思える日がくるなんて。
伯爵の領地にいる時も豪華な料理は出てきた。でも、味付けは伯爵好みの濃いものが多くて脂っぽいものばかり。しかも会話はほとんどなくて退屈で、衛兵からも監視されていてとても窮屈だった。味なんてしなかった。
けれど、バルムンクのお城は明るくて雰囲気も良くて最高。食事がこんな楽しいと思える日が来るなんて思わなかった。
彼には本当に感謝しかない。
そして、いつしか自然と涙がふれていた。……嬉しい、嬉しい。とても、嬉しい。
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