チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗

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第69話 建国宣言・前日

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 日が暮れようとしていた。

 結局、フルクは起きなかった。
 ぷにぷにの頬を指で突いても、お腹をくすぐっても反応がなかった。一瞬、死んでしまったのではないかと焦ったけど、寝息はあった。

 これならと、フルクの体を起こし――俺は、そのまま背負った。まさか、眠っているフルクをおんぶする事になろうとはな。


「まあいいか、フルクってかなり軽いし」



 パルウァエ村へ戻り、メディケさんの家へ。


「おぉう、アウルムくん! 未知の物体Xアンノウンを討伐してくれたか。ありがとう、これでもう襲われる心配はないだろう」

「いえ、それが……」


 俺は、今日の詳細を話した。
 キメラが第二勇者であったり、蘇生させたのが元ギルドメンバーのルードスであったという事実を。


「そうか、それはマズイな。これからルードスは、父親の代わりとなって国を攻めて来るだろうな。そうなると、国をより盤石ばんじゃくにする必要がある。一刻も早く建国した方がいいだろうね」


「ええ、明日にでも緊急会合を開き、建国を宣言したいと思います。四人の皇帝も発表しますよ」


「それがいい。期待しているよ、アウルムくん」


 アオベの葉を貰い、俺はEXダンジョンへ戻った。


 ◆


 屋敷に戻ると――


「主様! 心配しましたよ」
「マルガ、すまない。フルクがこの通り、寝ちゃってさ……着替えさせてやって欲しい」

「あら……そうでしたか。では、部屋までお願いします。その後はお任せください」


 中へ入り、フルクの部屋へ。
 ベッドへ寝かせた。
 後の着替えとかはマルガに任せた。


 その間、俺は一階のリビングへ。



「よう、カルニ。すっかりメイドだな」

「おかりなさいませ、アウルム様。今日は一日、お屋敷の掃除とかしておりました。マルガさんには認めて貰えました」

「たった一日で? 早いな」

「ええ、なので次はアウルム様です」


 メイド服を脱ごうとするカルニさん。今のところ肩の部分だけ白い肌が露わになって――っておい、マルガのヤツ、何を教えているんだよ!?


「ストップ! それはダメ」
「ですが、マルガさんは自慢の肉体を使えと。殿方を満足させるには、これしか方法がないと仰っておりましたが」


「あのヘンタイメイドめ……。カルニはそんな事はしなくていいから、その……刺激が強すぎるし。それより、一日きちんと働いた事に感心したよ。魔族にでも真面目なヤツはいるんだな。少し認識を改める必要があるのかも」


 もっとも、カルニはハーフだからな。
 そこが特別扱いになっている要因だが。


「では、脱ぎます」

「なんでだよ!? 人の話、聞いていたか!?」

「マルガさんが……」


 ヘンタイメイドには、後でお仕置きだな……。いや、だけど、マルガにとってお仕置きがご褒美になってしまいそうだが。



 カルニは、もう少し見極めるとして――



 二階へ戻った。ちょうどマルガがフルクの部屋から出て来て、こちらの顔を確認するなり、ニッコリ笑う。


「主様……♡」

「……マ、マルガ。その、近くないか」


「いいではありませんか♡ 今日はずっとフルク様とご一緒だったのでしょう? では、ここからは、わたくしとのお時間です」

「分かった。けど、まずは話を聞いてくれ」


 今日あった事件を事細かに話す。

 マルガの表情は硬くなっていく。


「そうでしたか。……ルードスは、主様の元ギルドメンバーで、失礼ながら彼によって追放されたのでしたね。なるほど、そんな彼がサフィラス伯爵の息子だったとは」


「このままだと村が危ない。いよいよ国にする。防衛力を高め、やって来るであろうモンスターの襲来に備える」


「了解しました。それで、四分統治テトラルキアでしたか。四人の皇帝を定めると仰っておりましたよね、既に候補が?」


「ああ、明日発表するが……一人はマルガだ。誰も文句はないだろう」


 だけど、マルガは悲しそうにしていた。
 な、なんでそんな……表情を。


「……我儘わがままかもしれませんが、わたくしはアウルム様をお慕いしております。なので、離れたくないんです……」


 いきなり抱きつかれ、俺はビックリした。……そっか、マルガは俺の事をこんなに好いてくれていたのか。
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