チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗

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第66話 未知の物体Xの正体

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 ネムスの森は日中でも薄暗い。
 フィールド周辺を探索しようと森を抜けようとしたのだが、その手前。獣道に流れる血溜まりを発見した。


「……フルク、見るな!」

「な、何があったんです!?」


 フルクの目を手でおおう。

 あんなモン見たら、ショックで寝込むってレベルではない。一生のトラウマものだ……。それにしても、これはむごいな。


 複数の冒険者パーティがこの森へ入ろうとしたのだろうか、原形のないズタズタの肉片が散乱。腐敗すらしていた……となると、死後数日が経過しているな。


「既に犠牲者が出ていたのか。余所者らしいけど……フルク、ここは危険だ。一度、戻るぞ」

「で、でも……」
「この惨状を見たら分かる。未知のモンスターは獰猛どうもうで危険だ……む」

「アウルムさん?」


 パルウァエ村の方に邪悪な気配を感じる。……まさか、未知の物体Xアンノウンと行違ったか!


「大至急で戻る。ここから走っていたら間に合わないから、アベオの葉でテレポートするぞ」

「わ、分かりました」


 ◆


 ――パルウァエ村――


「なんだ、この禍々まがまがしい気配……」


 到着早々に、吐き気を催す邪悪を感じた。

 これは何の気配だ……?

 魔王の大幹部とはまるで違う。


「アウルムさん! あそこ! 子供が襲われそうに……!!」


 何かに気づいたフルクが駆け出していく。その先には村の子供が……襲われそうになっていた。アレが未知の物体Xアンノウン!?


「俺が助けるよ、フルク!」


 槍を作っている暇はない。
 ならば、これををぶつける!



『――――レベル投げッ!!!』



 敵に対し、スキルを打ち付けると未知のモンスターは吹き飛んでいく。その隙に子供を救出した。


「お兄ちゃん、ありがとう」
「無事だな。フルク、悪いが女の子を頼む」

「わ、分かりました」


 村の子供をフルクに託し、俺はバケモノを……いや、なんだあれは。俺の【レベル投げ】を命中させたと同時に、敵の体が少し変化し――形を変えていた。


 最初確認した時は、複数の触手を持つ四足歩行のキメラのような……そんな醜いモンスターだった。けれど、今は違う。

 レベル投げのダメージを与えた瞬間、ヤツの肉体は変化したのだ。今は二足歩行・・・・。これでは変化というよりは、進化・・か。


「……レベル投げの影響なのか?」


 通常、俺のレベル投げは副効果で敵を『レベルダウン』する。つまりモンスターのレベルを下げるのだが……あのバケモノに対しては、レベルアップしてしまうのだろうか。……まだ確信が持てない。


『…………』

「お前は何者だ」

『……ア、ウ、ル、ム』

「!?」


 コイツ、言葉を発しやがった。
 しかも、なぜ俺の名を。


 一歩、また一歩と不気味に歩み寄ってくる。俺は最後に確認として『レベル投げ』を全力で投げた。


 見事にダメージを与えたはずだった――


『……敵をレベルアップさせるとは、馬鹿かな君は』

「……なっ。言葉がいきなり流暢りゅうちょうになりやがったな。改めて聞く、お前は何者だ」


 体はバケモノそのものだが、顔が現れた。見覚えのある顔だった――コイツ。どうして……生きている。



「勇者アウルム……私は復活したのだよ、魔の力と……お前の『レベル投げ』によってな。まずは礼を言おう」


セクンドス・・・・・、お前……!」



 人間の体ではなく、キメラの体を持つセクンドスが現れた。どうして、コイツが……こんな恐ろしい姿で……!

 しかも、俺の【レベル投げ】がヤツにとってのエネルギー源になってしまっていたらしい。どういう理屈か分からんけどな。


 このままは、セクンドスを強化させてしまうだけだ。レベル投げは使用しない方が良さそうだな。となると『聖槍』も使わない方がいいのか。……ここは勇者本来・・・・の戦い方でいくべきか。


 俺は、念の為にと背中に携えていた『聖剣・インペラトル』を構えた。良かった、スライム『アウグストゥス』が投げて来たからな、一本拾っておいたのだ。
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