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第36話 レベル投げの追加効果
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「ボ、ボルケーノゴーレム……!?」
噴火しながらも溶岩を体中から垂れ流す真っ赤な巨人ゴーレムが接近してきた。その移動速度こそ鈍足だが、初エンカウントだ。下手に攻撃すれば、死を招きかねない。
「ど、どうしましょう……」
不安気に俺の裾を引っ張るフルクは、恐怖に怯えていた。まずいな、このままでは冷静を失い、恐怖に支配される。その瞬間、死が――。
そうはさせない、俺が必ず守る。
螺旋階段をゆっくり降りていく。
「フルクは、モンスターからの距離をかなり取れ。あんな噴石と降灰、火砕流と土石流を同時多発的に起こす激ヤバモンスター、接近は容易ではないからな。……よし、この位置を維持するんだ」
「こ、こんなに離れるんですか……」
30メートル以上は離れているだろう。
けれど、安全圏だ。この距離を保つ。それから俺は【レベル投げ】の準備を開始する。まずは一体のボルケーノゴーレムで様子見あるのみ。
『――――レベル投げッ!!!』
ブンと振りかぶってレベルを投擲する。
見事に激突するレベルの塊は、ボルケーノゴーレムの顔面にヒット。ドロドロの溶岩を周囲に撒き散らし、倒れかける――が。
全身からドンとマグマを噴出してきやがった。
「げッ……!」
「アウルムさん!!」
どうやら『キラウエア』という火属性魔法らしい。激しいドロドロの溶岩が大津波となって襲ってくる。俺は、それを食い止める為にスキルを乱発する。
「レベル投げ、レベル投げ、レベル投げ!!!」
なんとか押し返し、事なきを得た。
安堵して、俺は少し後退していく。
……それにしても厄介な。
これが本当の『EXダンジョン』ってワケか。モンスターを一体倒すのにも一苦労すぎる。二人ではキツイか……もう少し戦力がいるかもな。
撤退も視野にしていると、フルクが叫ぶ。
「……あの、わたしのレベルを引き換えに、アウルムさんの【レベル投げ】を強化したいと思います」
「なんだって!? そんな事が出来るのか?」
「ええ、わたしの……聖女の力です! ただし、わたし自身のレベルを犠牲にしなければですが、今は話し合いをしている時間も惜しいです。いきますよ!!」
よく分からんが……【レベル投げ】のレベルを引き上げてくれるらしい。それにより、副効果を追加してくれるわけか。それしか手段がないな。
敵の攻撃を捌きながら動いていると、突然、体が光りはじめた。パンッと祝福するような音が鳴り響く。すると――【レベル投げ】に追加効果があった。
「こ、これは……」
――レベル投げ:聖槍生成――
と、あった。
「それを使えば『聖槍・プリムスウィクトール』を生成できます!」
「聖槍だって? そりゃすげぇ、武器を生成出来るとか……勇者として、願ってもない話だ」
さっそくスキルを発動。
すると、手に聖なる光が集中し、膨大な魔力によって槍が編まれた。それは紛うことなき槍の形をしており、早くも手に馴染んだ。
……軽い。
軽くて、丈夫で持ち易い。
「す、凄いです……それが聖槍なのですね」
「らしいな。こんな銀色に輝く槍は初めてだ……いや、槍自体初めて使うけど、なんだろう。コイツを投げれば一撃でヤツを沈められそうな気がしている」
「ええ、その武器なら勝てるかと!」
かなり神聖な魔力が溢れ出ている。
これほど周囲に影響を及ぼす程に拡散しているとはな、ヒーリング効果も僅かにあるようで、体力の自然回復速度も上がっている。
すげぇぞ、これ。
「――ならば、この一撃に懸ける!!」
俺は、槍を、構え――!!!
噴火しながらも溶岩を体中から垂れ流す真っ赤な巨人ゴーレムが接近してきた。その移動速度こそ鈍足だが、初エンカウントだ。下手に攻撃すれば、死を招きかねない。
「ど、どうしましょう……」
不安気に俺の裾を引っ張るフルクは、恐怖に怯えていた。まずいな、このままでは冷静を失い、恐怖に支配される。その瞬間、死が――。
そうはさせない、俺が必ず守る。
螺旋階段をゆっくり降りていく。
「フルクは、モンスターからの距離をかなり取れ。あんな噴石と降灰、火砕流と土石流を同時多発的に起こす激ヤバモンスター、接近は容易ではないからな。……よし、この位置を維持するんだ」
「こ、こんなに離れるんですか……」
30メートル以上は離れているだろう。
けれど、安全圏だ。この距離を保つ。それから俺は【レベル投げ】の準備を開始する。まずは一体のボルケーノゴーレムで様子見あるのみ。
『――――レベル投げッ!!!』
ブンと振りかぶってレベルを投擲する。
見事に激突するレベルの塊は、ボルケーノゴーレムの顔面にヒット。ドロドロの溶岩を周囲に撒き散らし、倒れかける――が。
全身からドンとマグマを噴出してきやがった。
「げッ……!」
「アウルムさん!!」
どうやら『キラウエア』という火属性魔法らしい。激しいドロドロの溶岩が大津波となって襲ってくる。俺は、それを食い止める為にスキルを乱発する。
「レベル投げ、レベル投げ、レベル投げ!!!」
なんとか押し返し、事なきを得た。
安堵して、俺は少し後退していく。
……それにしても厄介な。
これが本当の『EXダンジョン』ってワケか。モンスターを一体倒すのにも一苦労すぎる。二人ではキツイか……もう少し戦力がいるかもな。
撤退も視野にしていると、フルクが叫ぶ。
「……あの、わたしのレベルを引き換えに、アウルムさんの【レベル投げ】を強化したいと思います」
「なんだって!? そんな事が出来るのか?」
「ええ、わたしの……聖女の力です! ただし、わたし自身のレベルを犠牲にしなければですが、今は話し合いをしている時間も惜しいです。いきますよ!!」
よく分からんが……【レベル投げ】のレベルを引き上げてくれるらしい。それにより、副効果を追加してくれるわけか。それしか手段がないな。
敵の攻撃を捌きながら動いていると、突然、体が光りはじめた。パンッと祝福するような音が鳴り響く。すると――【レベル投げ】に追加効果があった。
「こ、これは……」
――レベル投げ:聖槍生成――
と、あった。
「それを使えば『聖槍・プリムスウィクトール』を生成できます!」
「聖槍だって? そりゃすげぇ、武器を生成出来るとか……勇者として、願ってもない話だ」
さっそくスキルを発動。
すると、手に聖なる光が集中し、膨大な魔力によって槍が編まれた。それは紛うことなき槍の形をしており、早くも手に馴染んだ。
……軽い。
軽くて、丈夫で持ち易い。
「す、凄いです……それが聖槍なのですね」
「らしいな。こんな銀色に輝く槍は初めてだ……いや、槍自体初めて使うけど、なんだろう。コイツを投げれば一撃でヤツを沈められそうな気がしている」
「ええ、その武器なら勝てるかと!」
かなり神聖な魔力が溢れ出ている。
これほど周囲に影響を及ぼす程に拡散しているとはな、ヒーリング効果も僅かにあるようで、体力の自然回復速度も上がっている。
すげぇぞ、これ。
「――ならば、この一撃に懸ける!!」
俺は、槍を、構え――!!!
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