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第25話 メディオクリタース共和国
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アベオの葉を使い『メディオクリタース共和国』へ向かった。国の前に到着し、目の前にある大橋を渡り歩いていく。
「冒険者が多いな」
「もしかして、共和国は初めてです?」
マルガから突っ込まれ、俺は頷く。そう、俺は共和国へは初めて来た。基本的に魔王の大幹部討伐にあっちこっち回っていたからな。共和国に関しては大幹部の支配も何故か無かったしな。
「ああ、初見だよ。――にしても本当に多いな。商人とか踊り子とかエルフもいるし」
「わたしもビックリです!」
「そうか。フルクも初めてか?」
「はいっ。共和国は初めてですよ~。こんな広くて大きい国だったんですね。帝国と変わらない街並み。お城とかあって、でもデザインとか違うんですね」
キョロキョロと見渡すフルク。
その気持ちは分かる。初めて訪れる土地というものは、テンションが上がるものだ。俺でさえ、このドキドキ感はたまらん。
「さて、さっそくだが建築スキルの使える職人を探す。噂に聞いただけなんで、俺も詳しい事は知らないけどな」
――というわけで、俺は冒険の基本である聞き込みをしてみた。適当に歩いているおっさんに話を聞く。
「あぁ、その建築家なら有名だよ。モエニア将軍だろう」
「しょ、将軍?」
「ああ、共和国の将軍さ。建築も趣味でやってとるらしい。ほら、あの変な城があるだろう。あそこが将軍のお店さ」
おっさんの指さす方向には、城があった。確かに変な城だった。……なんだろう、色もピンクとちょっとおかしい。
「ありがとう。向かってみるよ」
◆
城の名は『アウラ』といった。
「ここが将軍さんのお城なんですね。なんだか可愛いです」
城の前で立ち尽くすフルクは、目を輝かせていた。ピンクの外壁だし、女子人気は高いかもな。
一方のマルガもちょっと見惚れていた。
「……あらまあ、変わっていますね」
さっそく三人で城の中へ。
城内は本当に城となっていて、豪華な玄関に迎えられた。レッドカーペットがどこまでも続いている。シャンデリアも派手だ。
「お邪魔しまーす。モエニア将軍おられませんか~?」
カタンと扉の音がして、二階の奥から人が現れた。あの金髪ショートヘアの……女性!? が、モエニア将軍?
彼女は派手な赤いドレスに身を包み、こちらを見下ろしていた。嘘、女だったのかよ。
「――――貴様がもしや、第二勇者・セクンドスか!!」
なんか凄い睨まれてる。
「って、俺? 違いますよ。俺は元勇者のアウルム・キルクルスです。家を作って欲しくて訪ねて来たんですよ」
「惚けるな! お前の邪悪な心を視れば分かる――とぅ!」
モエニア将軍は二階から飛び降りてきた。
「うわぁ……!」
「お前が第二勇者・セクンドスのはず。私を騙そうなど……騙そうなど……。あれ……お主、セクンドスではないのか」
やっと気づいたらしい。
それにしても――この将軍、すげぇ美人だ。
「言ったでしょう、俺はアウルムです」
「……む、その後ろにおる方は聖女・フルクトゥアト様か。そちらはグラティア辺境伯ではないか。お主、本当何者だ?」
「だから言ったでしょう。元勇者だって」
おでこを手で押さえる将軍は、あちゃ~と顔を顰める。今の、完全に勢いだったのか。
「そうか……それはすまぬ。実は、第二勇者・セクンドスのヤツが結婚を申し込んできてな。そこに愛はなく、明らかな政略を感じたのだよ。それを鬱陶しく思っていた。だから、すまぬ」
ペコリと丁寧に謝罪してくれる。
悪い人ではなさそうだな。
というか、第二勇者・セクンドスなにやってんだよ……。まさか共和国の将軍に求婚していたとはなぁ……。
「良ければ、それも含めて話をどうでしょうか?」
「本当か! 助かる。ではこちらへ案内しよう」
華麗に踵を返すモエニア将軍。
どうやら、ついて来いという事らしい。
俺とフルク、マルガはその背中を追った。
「冒険者が多いな」
「もしかして、共和国は初めてです?」
マルガから突っ込まれ、俺は頷く。そう、俺は共和国へは初めて来た。基本的に魔王の大幹部討伐にあっちこっち回っていたからな。共和国に関しては大幹部の支配も何故か無かったしな。
「ああ、初見だよ。――にしても本当に多いな。商人とか踊り子とかエルフもいるし」
「わたしもビックリです!」
「そうか。フルクも初めてか?」
「はいっ。共和国は初めてですよ~。こんな広くて大きい国だったんですね。帝国と変わらない街並み。お城とかあって、でもデザインとか違うんですね」
キョロキョロと見渡すフルク。
その気持ちは分かる。初めて訪れる土地というものは、テンションが上がるものだ。俺でさえ、このドキドキ感はたまらん。
「さて、さっそくだが建築スキルの使える職人を探す。噂に聞いただけなんで、俺も詳しい事は知らないけどな」
――というわけで、俺は冒険の基本である聞き込みをしてみた。適当に歩いているおっさんに話を聞く。
「あぁ、その建築家なら有名だよ。モエニア将軍だろう」
「しょ、将軍?」
「ああ、共和国の将軍さ。建築も趣味でやってとるらしい。ほら、あの変な城があるだろう。あそこが将軍のお店さ」
おっさんの指さす方向には、城があった。確かに変な城だった。……なんだろう、色もピンクとちょっとおかしい。
「ありがとう。向かってみるよ」
◆
城の名は『アウラ』といった。
「ここが将軍さんのお城なんですね。なんだか可愛いです」
城の前で立ち尽くすフルクは、目を輝かせていた。ピンクの外壁だし、女子人気は高いかもな。
一方のマルガもちょっと見惚れていた。
「……あらまあ、変わっていますね」
さっそく三人で城の中へ。
城内は本当に城となっていて、豪華な玄関に迎えられた。レッドカーペットがどこまでも続いている。シャンデリアも派手だ。
「お邪魔しまーす。モエニア将軍おられませんか~?」
カタンと扉の音がして、二階の奥から人が現れた。あの金髪ショートヘアの……女性!? が、モエニア将軍?
彼女は派手な赤いドレスに身を包み、こちらを見下ろしていた。嘘、女だったのかよ。
「――――貴様がもしや、第二勇者・セクンドスか!!」
なんか凄い睨まれてる。
「って、俺? 違いますよ。俺は元勇者のアウルム・キルクルスです。家を作って欲しくて訪ねて来たんですよ」
「惚けるな! お前の邪悪な心を視れば分かる――とぅ!」
モエニア将軍は二階から飛び降りてきた。
「うわぁ……!」
「お前が第二勇者・セクンドスのはず。私を騙そうなど……騙そうなど……。あれ……お主、セクンドスではないのか」
やっと気づいたらしい。
それにしても――この将軍、すげぇ美人だ。
「言ったでしょう、俺はアウルムです」
「……む、その後ろにおる方は聖女・フルクトゥアト様か。そちらはグラティア辺境伯ではないか。お主、本当何者だ?」
「だから言ったでしょう。元勇者だって」
おでこを手で押さえる将軍は、あちゃ~と顔を顰める。今の、完全に勢いだったのか。
「そうか……それはすまぬ。実は、第二勇者・セクンドスのヤツが結婚を申し込んできてな。そこに愛はなく、明らかな政略を感じたのだよ。それを鬱陶しく思っていた。だから、すまぬ」
ペコリと丁寧に謝罪してくれる。
悪い人ではなさそうだな。
というか、第二勇者・セクンドスなにやってんだよ……。まさか共和国の将軍に求婚していたとはなぁ……。
「良ければ、それも含めて話をどうでしょうか?」
「本当か! 助かる。ではこちらへ案内しよう」
華麗に踵を返すモエニア将軍。
どうやら、ついて来いという事らしい。
俺とフルク、マルガはその背中を追った。
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