チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗

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第21話 勇者、戻って来い

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 グラティア辺境伯ことマルガの実力を確認し、大量アイテムをゲットしたその日は、無事に終え――翌朝。


 遺跡の階段で体を伸ばしていると、森の方から気配を感じた。誰だ……第二勇者ではなさそうだが、馬に乗って来ているな。



「お~い、アウルムくん!」
「あ、モードゥスさん! 帝国からわざわざ来てくれたんですか?」


 カエレスエィス帝国の俺的一番信用できるお店・ラナンクルスを経営するオーナーだ。前に大量ゲットしたアイテムをオークションに掛けて貰っていたのだが。


「おう、これくらいお安い御用だよ。オークションの結果が直ぐに出ちまって、驚いたさ。ほれ、これが約束の金だ」


 馬には大量の袋。大きくてジャラジャラと激しい音を立てている。まてまて……どんだけ入っているんだ?


「す、凄い音してますけど」
「ああ、おかげで輸送にはヒヤヒヤしたよ。強盗とかに襲われでもすれば大変だからね。だから、早朝に帝国を出た。もちろん、護衛もつけてね」


「護衛?」


 よく見ると、馬がもう一頭。

 ――ローブを被って素顔はよく見えないが、用心棒らしき人物が二人いた。


「一応、紹介しておく。この二人は傭兵の――」


 モードゥスさんが紹介するよりも先に馬から飛び跳ね、俺の前に舞い落ちてくる二人の人物。ソイツ等はローブを脱いで顔を出した。



「お前……女賢者のオリエンスとドワーフのインゲルス!」



 元仲間・・・の二人が目の前に現れた。



「久しぶりね、勇者アウルム・キルクルス」
「やっとこの中に入れたぞ」


 ま、まさか……!


「モードゥスさん、コイツ等は俺を裏切ったギルドメンバーだ! なんてヤツを傭兵にしているんだよ!?」

「な、なんだって!! そりゃすまない!!」


 慌てるモードゥスさん。だが、この二人を何とかしないとマズイな。金を奪われないのが奇跡だが……。



「落ち着いてアウルム」

 と、オリエンスは戦闘の意思がないかのように言って、膝をつく。それにインゲルスも続く。


 なんだ、何をする気だ?


 二人とも、俺の前で土下座してこう言った。


「勇者アウルム・キルクルス、私たちが間違っていた。第二勇者・セクンドスは確かに魔王を倒したけど、でも違う。アレは異常者だ……ルードスがやられちゃったよ……」


 オリエンスはそう言った。
 インゲルスが言葉を続ける。


「そこでだ。オレ等のところへ戻ってこないか!? 頼む、真の勇者であるお前にパーティでもギルドでもいい……どうしても戻って来て欲しいんだ……!! で、このEXダンジョンで稼ぎまくろうぜ! 再び世界に名を轟かせるんだ。あの第二勇者・セクンドスに負けないくらいのギルドにしてやるんだよ」



 ――と、意気揚々に言いやがる。


 ……はぁ?


「……」


 俺はただ怒りが込み上げてくる。


 コイツ等は、今更俺に戻って来いと?


 俺を半殺しにして、ギルドを追放して……肉体的にも精神的にもボロボロにしておいて? 第二勇者・セクンドスの仲間になって、魔王を倒して満足気に戻ってきたクセに??



「……ふざけんなよ」


「「へ?」」



「もう遅いんだよ、なにもかも。お前二人は俺を救ってくれなかった……見限って、裏切って……俺をてやがった。その事実だけは変えられない。つまり、お前等は結局、ただ自分たちが可愛いだけなんだ! そんなリーダーをコロコロ変えるヤツを信用できるかッ!! 出て行け!!」



 二人とも震え始めると、



「ふざけんな、この偽物勇者!! 下出に出ていれば調子に乗りやがって!! 運よく生き延びてEXダンジョンを掠め取っておいて!!」

「オリエンスの言う通りだ!! アウルム・キルクルス、お前は泥棒の勇者だ! このクズ野郎!! EXダンジョンのモンスターにやられちまえよ」



 ――はい、これがコイツ等の正体。

 魔王よりも性質たちが悪い。



「もういい、追放・・だ」




「「――――アウルムてめええぇッ!!!」」




 叫んで突っ込んでくるが、その前に二人を追放した。これでもう会う事もあるまい。
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