無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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七つの世界聖書

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【三日後】

 久しぶりに島国ラルゴの管理をしながら、城内やその周辺を歩く。街の方もいつも通りだった。
 シックザールによる被害は軽微というか、ほとんどなかった。
 無事に食い止められて良かった。

 城へ戻ると、アルフレッドが出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ、ラスティ様」
「おう、アルフレッド」

「お庭にてテレジア様がお待ちです」
「そうか。解かった」


 やっと人型に戻ったらしい。
 ずっと刀になって引きこもっていたし、ようやく話ができる。

 俺は庭へ向かった。

 すると、妙にソワソワしているテレジアの姿があった。


「…………」
「久しぶりだな、テレジア」

「そ、その……今回の件、大変申しわけございません」

「なにを謝る必要がある」
「その、アグレロ枢機卿の……シックザールの悪事を見抜けませんでしたから」

「そりゃ、俺だって見抜けなかったよ。元老院はかなりヒドイことになっちまったけど、大丈夫。再建できるさ」

「……ラスティ様」


 涙目になるテレジアは、申し訳なさそうにしていた。こう縮こまれると俺も困るというか。

 ここは一旦話題を変えよう。


「そ、そうだ。俺、しばらく島国ラルゴに滞在しようと思うんだ」
「そうなのですね?」

「ああ。ずいぶん空けちまったし、少しは管理しないと」
「なるほど。では、ドヴォルザーク帝国はスケルツォ様にお任せする形で?」


 そう、そこは問題だ。スケルツォはあくまで皇帝を守護する存在。かといって、シベリウスも全体を見れるかと言えば、そうでもない。……残念ながら支持もそれほど高いとは言えない。

 となると別の誰かを“皇帝代理”にしようかと俺は思った。

 誰にすべきか。


「いや、もうちょい考えるよ。テレジアは先に帝国へ帰って元老院を立て直して欲しい」
「そうですね。今のままですと機能しませんから」


 テレジアは、この後にもエドゥの転移スキルで帰国することになった。

 いったん別れて俺は自室へ。

 扉を開けると――あれ。


「…………え」


 振り向くスコルは、下着姿のまま。俺を視認するなり、顔を真っ赤にしていた。……って、着替え中だったか!!


「す、すまん!!」


 すぐに部屋を飛び出し、俺は逃げ出した。

 ……なんてタイミングだっ。

 壁に両手をつき、俺は滝の汗を流す。……み、見てしまった。スコルの半裸を。すっげぇキレイだったなぁ……じゃなくて!


「あ、あのー…」


 しばらくすると、扉が開いて顔を出すスコルの姿があった。
 俺は心臓がバクバクしながらも視線を合わせた。


「す、すまん。わざとじゃないんだ」
「解かってます。着替えていたわたしも悪いんですから」
「いいのか?」
「はい。大丈夫ですよ~」


 ふぅ、良かった。スコルは怒っていない様子。気にしないでと何度も言ってくれたので、俺は安堵あんどした。

 改めて自室の中へ。

 気持ちを落ち着かせ、改めて話をした。


「スコル、俺はしばらく島国ラルゴで活動しようと思う」
「そうなのですね! それは素晴らしいことです」

「でも、ナハトの聖女アイファも探してやりたい」
「はいっ。お手伝いします」


「だから、ナハトもラルゴに迎えようと思う。そして、一緒に黄金の聖女を探す旅に出るんだ」
「名案です! とっても!」



 スコルの同意も得られた。ならば、俺はナハトを迎えに行く。
 彼は、シックザールとの戦いの晩にドヴォルザーク帝国へ戻っているからな。

 このことを直ぐにエドゥとルドミラに話した。


「――というわけなんだ、エドゥ」
「解かりました。では、自分がナハトを連れて参ります。どのみち、テレジア様を連れ帰らねばならないので」

「任せたぜ」

「了解です。それでは行って参ります」


 早くもテレジアとドヴォルザーク帝国へ帰るようだ。

 しばらくしてテレジアが広間にやってきた。
 彼女はエドゥと共に転移――帰国した。

 任せたぜ、エドゥ。


「ラスティくん、ナハトを住まわせるのですね」
「そのつもりだ。彼がそばにいる方が都合がいい」


 『七つの世界聖書』と『七つの世界』。
 これにまつわる事件はまだ完全に終わったわけではない。

 黄金の聖女アイファを見つけ出し、すべてを元通りにしてゴールなのだ。
 ドヴォルザーク帝国だって完璧ではない。

 そして、このかつて無人島だった島国ラルゴも。


 だから俺は――。
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