無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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魔王の生み出した大蛇ミドガルズオルム

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 世界ギルドを立ち去り、シックザールではなくスケルツォの気配を追う。アイツの魔力ならとらえられる。

「……!」

 既に膨大な魔力が漂っていた。これだ。これは間違いなくスケルツォたち。テオドールとナハトも戦っているはず。

「ラスティくん、みなさん戦闘中のようですね」
「ああ、どうやらシックザールと遭遇したのかもしれん」

 急いで通路を走っていく。
 気配の方向へ向かっていくと、ドヴォルザーク帝国の外壁あたりで巨大な爆雷が上がっていた。

 スコルを足を止め、空を仰ぐ。

「あ、あれは……なんですか!?」
「スケルツォの大魔法だな」

 アイツは“轟雷の魔女”だからな。本来の力が出せるフィールドなら、たとえシックザールでも苦戦する相手のはず。


 走って現場に駆け付けると、外側にある荒野フィールドに大穴が穿うがたれていた。な、なんて巨大な……!

 まるで湖が水を全て失ったような……とんでもないな、こりゃ。


「みなさんの姿がありませんね、ラスティくん」
「そうだな。いったい、どこに――」


 微かに残る魔力を追っていくと、スケルツォの姿があった。大穴の前に立っていた。


「来られたのですね、ラスティ様」
「なにがあった……!」


 聞き返すと、スケルツォは突然その場に倒れた。俺は彼女が地面に激突する前に支えた。

 ん、これは……血!


「おい、スケルツォ!」
「……も、申し訳ございません。ナハトとテオドールさんを“封印”されてしまいました」
「なんだって……!?」

「あの男……シックザールは予想外の行動を――ぐっ」


 ウソだろ。スケルツォほどの大魔女が負けた……?
 ロイヤルガーディアンだぞ。なのに、なぜ……!

 このままでは死んでしまう。スコルに頼み、治療を頼んだ。


「ヒールをします……!」


 スコルは腰を下ろし、スケルツォにヒールを施す。
 そんな中でもスケルツォは話を続けた。


「き、聞いてください。ラスティ様」
「馬鹿、死ぬぞ」
「この情報を頭に入れてください」

「……解かった。なんだ?」

「シックザールは、トロイメライの完成を急いでいるようです。世界を全て繋げると……そして、作り直すと言っていました」


 なんだって……!

 それはつまり……!


 世界聖書ウルガタの第七スキル『破壊と再生メメントモリ』の成就ってヤツか。


 自分の世界にならないなら、新たに創り直す。それがヤツのやり方なんだ。
 必要な人間だけを傍に置き、必要な人材だけを生かす。そんなところだろう。


 ……認めるかッ!


「ラスティくん、話しはここまでです」


 黄金の槌『覚醒アマデウス』を構えるルドミラは、最初から魔力全開だった。……つまり、強敵が――シックザールが現れたのか?



『…………グ、グゥゥゥゥ』



 ズンっと張り詰めるような空気に支配され、俺はゾッとした。な、なんだこりゃ……!
 邪悪なモンスターみたいな気配だぞ、これは。


 大穴から現れたのは……うわ、何だこの巨大なウネウネ……!

 這い出てくるウロコのある黒い物体。
 ま、まさか、これは……!


「魔王ドヴォルザークのペットの一匹、ミドガルズオルム……! 封印が解けたのか」

 と、青ざめるルドミラ。どうやら知っているらしいな。



[ミドガルズオルム]
[詳細]
 魔王ドヴォルザークの生み出し大蛇。
 世界を飲み込むとされている。
 鱗は非常に硬く、通常の剣では歯が立たない。
 デッドリーブレスはあらゆる生物を融解させる。



「ルドミラ。このモンスターのことを?」
「はい。存じております。魔王ドヴォルザークの支配が強まったある時代に生み出された最強の大蛇。この場所に封印したのを思い出しました……」

「なんてところに!」


 その封印が丁度解けて現れてしまったのかよ。


「当時はこれを倒せる方法がなかった。なので封印したのです」
「そうだったのか。だが、なぜ封印が解けた?」

「この大穴のせいでしょう」


 つまり、スケルツォとシックザールの戦いで偶然にも――ってことか。


「申し訳ございません、ラスティ様」
「お前が悪いわけじゃない、スケルツォ。悪いのはシックザールだ」



 とにかく、この大蛇を倒さないとドヴォルザーク帝国がめちゃくちゃにされちまうぞ。 さっそく『妖刀テレジア』を構える。


「お待ちを」
「ルドミラ! しかし!」

「ラスティくんは体力の温存を。ここは私が……勇者としてヤツを仕留めねば」

「そうか。解かった! 頼んだぞ!」


 猛スピードで走り抜けるルドミラは、黄金の槌『覚醒アマデウス』を軽快に振るう。どうやら、本調子が出てきたようだな。

 今のルドミラなら、きっと勝てるはずだ。
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