無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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元騎士の大技スキル『ソニックブーム』

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 ディミトリーは「ラスティ、お前は行方不明になったシベリウスを助けに来ると思ったさ」と不敵に笑う。

「当たり前だろう」
「私とクラウスは、偶然にもこの大穴を見つけた。だが、シベリウスが噂を聞きつけ……ポーションダンジョンと仮称をつけて先遣隊を送ってきやがった」

 その偶然によって本物のクラウスとディミトリーが見つかった――というわけだ。で、シベリウスはあの通り、捕らえられてしまったと。

「そうか。騎士たちはどうした?」
「さあな。気づいたら消えちまってたよ……!」

 と、ディミトリーはまたしてもニヤニヤと笑う。いちいち不快なヤツだ。
 仲間の騎士は恐らく、あのさっきのオークオブザデッドに殺されたか。シベリウスの言う罠とはそのことだろう。

 だが、オークは俺が倒した。もう罠なんてないはず。


「さぁて、世界聖書ウルガタを戴こうか」


 スコルの方へ向かうクラウス。俺は当然、シグチュールでかばい静止した。


「やめろ!」
「ふっ。では、一対一サシに合意だな。ディミトリー! 邪魔をするなよ!」

 そう叫ぶクラウス。
 遠くで肩をすくめるディミトリーは「はいはい」と返事を返していた。いや、あの感じだと妨害してきそうな気しかしないけどな。

 まあいい、クラウスがサシを望むなら俺は構わない。

 ただ、俺は剣の腕はそこそこ。一方のクラウスは“元騎士”だ。剣技においては、向こうの方が上だろう。
 剣だけでは勝てない。
 ならば、無人島開発スキルも駆使していかねば。

 身構えていると、クラウスの方から飛び出してきた。


「ラスティ、貴様程度ではこの俺は倒せん!」


 防御姿勢の俺のシグチュールにクラウスの剣が落ちてくる。重い一撃に、俺は腕がしびれた。
 な、なんて馬鹿力だ……!

 いや、これがコイツの基本的な筋力なんだ。

 本気を出される前に片付けねば。


「無人島開発スキル『鋼鉄チェーン』!」


 なにもない空間からチェーンが現れ、クラウスを捕縛しようとするが――ヤツは剣を巧みに操り全てを弾き飛ばした。


「やはり、その珍妙なスキルを使ったな!」
「……知っていたか」

「当然。ラスティ、お前のスキルは把握済みなんだよ」


 距離を取り、剣に青いオーラをまとわせるクラウス。なにかのスキルだ! 危険を感じ、スコル達を守る形で距離を取る。


「大丈夫です、ラスティ様。スコル様はこの自分が命に代えてでも守りますので」
「……分かった! エドゥ、スコルは任せたぞ」


 信じるしかない。いや、信じている!
 大賢者エドゥアルトの言葉を。

 だから俺はディミトリーの方へ走った。全速力で。


「くっ、ラスティ! この私を巻き込む気か!」
「それが手っ取り早いだろうが!」


 そんな間にもクラウスは何度も“斬撃”を飛ばしてきた。しかもバカデカい斬撃だ。
 地面をえぐってくる刃の形をした何か。

 俺は回避して回避しまくった。

 くそっ、いくつ飛ばしてくる気だ、あの野郎!


「そら、そらそらッ!! 俺の『ソニックブーム』をとくと味わえ!」


[ソニックブーム]
[攻撃スキル]
[詳細]
 風属性の斬撃攻撃。
 強烈な風は剣の刃よりも切れ味がある。建物すら真っ二つにできる。
 風属性攻撃力 +10000%。
 使用者のレベルによっては威力が大幅にアップする。


 スキル詳細が現れた。ということは、エドゥの仕事だ。おかげでスキルの特性を理解できた。……なるほどね、これは厄介だな。
 だが、内容が分かった以上は対策のしようがある。


「ひ、ひぃぃぃ……」


 腰を抜かしているディミトリー。どうやら運よく斬撃が当たらなかったようだ。本当に運のいいやつめ。

 コイツはどうでもいいとして、クラウスだ。

 今度はこっちの番だ!
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