無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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新聖女スキル『ホーリーアーク』

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 凶悪な目つきを俺たちに向けるサーベルウルフ。
 数はざっと10体ってところだろうか。

 なかなかに多い。俺が腕をまくって出ようとするとスコルが前へ出た。

「たまには役に立ちたいんです。いいですか?」
かったよ。無茶はするな」
「はいっ!」

 率先して戦いたいと申し出るなんて珍しい。ここはスコルの気持ちを尊重し、任せよう。俺はエドゥにも手を出すなと指示を出した。

「だ、大丈夫なのですか……聖女様ひとりで」

 心配な表情でドルコス男爵は見つめていた。てか、足元ガクガクと震えてるな。そんなに怖いのなら小屋で待機していて欲しいのだが、戦況が気になるのだろう。
 俺はとくに注意はしなかった。

 視線をスコルに定める。

 ヨダレを流し、お前を食い殺してやる――みたいな恐ろしい目つきのサーベルウルフ。おっかないな……。


『ガルルルルゥ……!』


 そんな威嚇いかくにスコルは、足がすくんでいた。
 でも、大丈夫だ。
 やると言った以上は、最後までやり遂げてくれるはず。
 そうでなくとも、最終的には俺が守るけどさ。

 やがて、サーベルウルフ複数体はスコルに襲い掛かった。


「ホーリーアーク!!」


 お、これはスコルの得意とする聖属性魔法スキルか!

 ――って、アレ。

 いつもの『ホーリークロス』ではない……?
 もしかして、新しいスキルを習得していたのか!

 その『ホーリーアーク』は、巨大な十字を作り出して範囲攻撃をした。とんでもない範囲だぞ、これは。
 一撃でサーベルウルフ10体を浄化してしまった。

 ちょうど日が沈みかけて逢魔時おうまがとき。空は闇夜に染まる寸前だった。だから、スコルの放ったホーリーアークは強烈な閃光となり、綺麗な花火のような光を分散させた。

 てか、凄まじい威力だな、これ。


[ホーリーアーク][Lv.Max]
[魔法スキル]
[効果]
 聖女専用スキル。
 範囲攻撃による聖属性魔法。
 非常に強力な一撃を与え、浄化する。


「スコル、お疲れ! 新しいスキルを覚えていたんだな!」
「そうなんです。ちょっとレベルアップしまして……えへへ」

 照れくさそうにするスコルは、けれども嬉しそうに微笑んだ。その笑顔があまりに可愛くて、俺は胸がドキドキした。

 ……こ、これは。


「…………」


 しかし、エドゥがジ~っと見つめてきた。そんな見つめられても……!? ま、まさかいてる?
 エドゥは表情の変化に乏しいんだから、そんな目で抗議されてもなぁ!
 それとも、あのまれに見せるキャピキャピモードになってくれればね。


 ◆


 サーベルウルフの討伐は完了。
 少しばかりアイテムも入手し、アイテムボックスへ収めた。あとで帝国へ戻ったら売却だな。

 小屋へ戻ってスコルがご飯を作ってくれた。

 煮込み料理ポトフだ。

 タマネギ、ニンジン、ドラゴン肉、カブ、キャベツなどなど野菜たっぷりの料理。これは良い匂いで美味そうだぁ。


「はい、どうぞ~」


 お皿を受け取り、スプーンを使って野菜を一口。ん~、味がしみ込んでいて美味いな。肉もホロホロで口の中で溶けるようだ。
 やはり、料理スキルを磨いただけあってスコルの作る飯は最高だな!

「……こ、これは! 宮廷料理並みの味ではありませんか!」

 ドルコス男爵も、久しぶりに食べるらしいマトモな料理に驚嘆きょうたんしていた。そうだろう、そうだろう。
 マズいとか言ったら俺がぶっ飛ばすところだ。

「そ、そんな。わたしの料理なんて……」
「ご謙遜けんそんを。聖女様が料理が得意とは驚きました」

 そのまま料理をかっこむドルコス男爵。腹減ってたんだな。

 その隣で静かにポトフを味わうエドゥ。普段から口数が少ないからな、コイツはこれでいい。


 美味すぎる料理を堪能たんのうしたのち、少し眠くなってきた。

 少し横になっているとスコルが俺の体をさすった。



「あ、あのぅ……」
「ん? スコル、どうした」

「体を清めに川へ行ってきます。み、見ないでくださいね」


 恥ずかしそうに風呂へ行くと告白するスコル。そ、そうか。こんな野宿の旅では風呂なんてないからな。俺の無人島開発スキルで作ってやりたいが、この小屋の材料でほとんどを消費してしまった。
 木材に戻せば作れないこともないが、ドルコス男爵とエドゥに悪い。


「解かった。気をつけてな」
「ありがとうございます」


 小屋の扉を開け、外へ向かうスコル。近くの川で水浴びをするのだろう。
 心配だが、大丈夫さ。新しいスキルも覚えていたし。あのスキルならボスモンスターもワンパンだ。

「ラスティ様、自分もお風呂へ」
「構わないよ。スコルを守ってやってくれ――って、ここで脱ぐな!?」


 ハラリと落ちていくエドゥの服。下着姿になっていた。


「ダメ、ですか?」
「ダ、ダメだ。外で脱ぎなさい」

「そうですか。覗きは禁止ですよ」


 ……その場で脱いでおいて、なんの警告だよ、それは?

 って、下着姿のままで外出してるし!
 エドゥめ……やれやれ。

 この賢者の服は畳んでおいてやるか。


 少しすると、小屋の外から声が聞こえた。スコルとエドゥがなにか話しているらしい。


『――エドゥさん、お肌キレイです……』
『スコル様も女神様ようにお美しい。おっぱいが大きくて羨ましい』


 ブッ!?

 な、な、なにを話しているんだよ、エドゥよ!

 けれど、こ、ここまで声が鮮明に聞こえるとは想定外。このまま耳を澄ませてみるかな。



『あぅ……! エ、エドゥさん。どどど、どこを触って……!』
『……げへへ。スコル様、かわいいー☆』


 うぉい! エドゥのヤツ、こんな時にキャピキャピモードじゃないか! なにしてんだよ! 変態オヤジかよ!

 助けに行こうにも、向こうは裸のはず。

 くそう、無理だ!

 どうすりゃいい~~~~~~!?
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