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悪逆議員に懸賞金をかけて叩きのめせ!

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 モラヴィアニのおかげで偽者スキルの弱点が判明。
 これで見分けがつけられる。偽者は早期に撃破し、本物を探す。
 偽者なら偽者で倒せば、その内数は減るだろう。
 魔力量には限界がある。
 いくら回復ポーションを使っても、それほど多くの偽者を作り出すことは不可能なはず。というか、そう何百人も作れるとは思えなかった。

 さすがに千人以上はない……よな?


「情報提供ありがとう、モラヴィアニ議員」
「いえ、陛下の為ですから。では、わたくしは業務の為、帰国いたします」

 立ち上がり、胸に手をあてて礼をするモラヴィアニは華麗かれいに去っていく。美しい人だなぁと、ついつい見惚みとれていると。


「ラ、ラスティさん!」


 ぷくっと頬をふくらませるスコルから注意を受けた。あ、いかん……。
 このままでは追求を受けかねんので、俺はすぐに話題を変えた。

「きっと、このままでは『偽者』を狩り続けるハメになるだろう。ならば、こちらも総力戦だ」
「つまり、人海戦術じんかいせんじゅつですね?」

 滑らかな口調でそう要約してくれるストレルカ。そう、どうせ偽者ばかりにぶつかると目に見えている。ならば『世界ギルド』の力を借りてクラウスとディミトリーに“懸賞金けんしょうきん”をける。

 多くの冒険者をつのり、偽者を退治たいじしてもらうという作戦だ。


「ヤツ等を一網打尽いちもうだじんにするために賞金首にする。どうかな」
「名案なのだ、兄上! それがいいっ。そうすれば偽者を多く減らせるのだ」

 そう、大勢で討伐すれば効率がぐっと上がる。しかも、懸賞金もそれなりの額をつければ冒険者のやる気も大幅に上昇するだろう。


 決まったところで、俺は街中にあるトレニアさんが管理する冒険者ギルドへ向かった。

 ギルドの建物に入って直ぐに受付嬢姿のトレニアさんを発見。今日もせわしなく動き、受付業務を進めていた。笑顔でさすがだな。

 手が止まったところを見計らって、俺は声を掛けた。


「ちょっといいかな、トレニアさん」
「あら、ラスティ様! 来てくれたのですね、嬉しいです」

 ニコニコと笑うトレニアさんは、極上のスマイルで挨拶あいさつをしてくれた。こんな笑顔に巡り合えるのなら、ギルドに毎日通っちゃうね。


「ちょっと相談があるんだ」
「相談、ですか?」

「実は――」


 さっそくドヴォルザーク帝国の置かれている状況を交えて“懸賞金”のことを話した
 直ぐに理解を示してくれるトレニアさん。


「なるほど! 偽者の議員さんが出現しているのですね。そういえば、そのような情報がこのギルドにも流れていました」

「本当かい!」

「はい。周辺の無人島で不審人物を見たと」


 やはり、そういうウワサがすでに広まっているんだな。しかも、そのほとんどが『偽者』なのだ。本物はきっと安全な場所で身をひそめているに違いない。
 特定は困難を極める。
 なぜなら、この周辺には無人島が無数に存在するからだ。


 だからこその賞金首だけどな。


 本日をもって本物『クラウス』には暗殺容疑でベルリオーズ金貨300枚。貨幣ベル換算で30,000,000。『ディミトリー』も共謀でベルリオーズ金貨100枚、ベル換算10,000,000。――に設定された。ただし、レート変動あり。

 偽者の場合は『クラウス』も『ディミトリー』もヴォルムゼル銀貨で10枚。80,000ベル。

 銀貨報酬でも十分なアイテムや装備が購入できる。
 こんなところだろう。
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