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偽者スキルの弱点が判明した
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朝食を満喫したところで、偽者ではない本物のクラウスとディミトリーを探す作戦を立てなければならん。
しかし、どうやって探す……?
ほんと見分けがつかないし、本物すぎて俺は普通に戦闘していたからな。
全くの同じ分身を作り出すスキル『スケープゴード』。
なんて恐ろしい魔法スキルなんだ。
腕を組み、俺は食堂の天井を見上げた。
……対策、対策ねぇ。
分身を作るヤツなんて初めてすぎて、どう対処していいのやら……。
スコルやハヴァマール、ストレルカも同じように考え、悩んでいた。
そんな静かな時間が流れる中、食堂の出入り口から気配を感じた。みんな一斉にそこへ視線を移し、一番近くのストレルカが挨拶を丁寧に投げた。
「おかえりなさいませ、エドゥ様」
「ただいまもどりました」
もうエドゥが帰ってきた。
早かったな。
「ドヴォルザーク帝国の様子はどうだった?」
「大きな事件はありません。ですが、枢機卿暗殺の情報が大きく取り上げられ、貴族や民の間で激しい動揺が広がっています」
冷静にそう状況を口にするエドゥ。それを聞いて俺は少し危機感を持った。
暗殺のことはウワサになるだろうとは予想していたさ。だけど、こんな早く広がるとはね。
いや、アレグロ枢機卿は帝国の顔であった。
そんな彼が暗殺されたのだ。
誰だって驚くだろうな。
――って、まて。
エドゥの隣に誰かいた。その人は見知った顔だった。
確か美人女性議員モラヴィアニだったかな。うん、そうだ。あの極上美人の容姿を忘れるはずがない。
大人の色気が凄くて、逆に近寄りがたいというか。高嶺の花っぽいんだよね。
しかも、議員らしい風格のある格好をしている。
あの煌びやかな服装は、華があるな。
「お邪魔致します、陛下。わたくしはモラヴィアニと申します」
立ったまま丁寧に頭まで下げるモラヴィアニは、みんなにも挨拶を交わした。それから、彼女は俺の前で片膝をついた。
「わざわざ島国ラルゴまで来るとは、どうした?」
「申し訳ございません。大賢者エドゥアルト様には無理を言って同行させていただきました。どうしてもお話したいことがあるからです」
モラヴィアニは、まるで怯えているような表情だった。なんだ、なにを恐れている? 暗殺か?
「話してくれ」
「はい。クラウス議員とディミトリー議員のことです」
「ふむ?」
「その、二人は『偽者』だったのではないですか?」
少し言い辛そうに、まさに俺たちの悩みの種を明かす。お、おいおい……なんでそのことを知っているんだ。盗聴でもしていたのか?
「モラヴィアニ議員、あなたはいったい……」
「実は、わたくしはディミトリー議員に見せてもらったことがあるのです」
「スケープゴートか?」
こくりと頷く。そうか、ディミトリーの野郎、美人相手に偽者を作るスキルを自慢していたんだな。きっとそうだ。
ということは、もしかして……!
「お困りかと思い、馳せ参じた次第です」
「そうだったのか! 助かるよ」
モラヴィアニからスケープゴートの“弱点”を知れれば、本物と偽物の見分けがつくかもしれない。
みんなも期待感を持ち始めたようで、真っ先にスコルが「あのモラヴィアニ議員。見抜く方法とかあるんです?」と聞いてくれた。
「……あります」
「それはどういう方法なんですか?」と、スコルは続けて聞き返す。
「クラウス議員の左目には小さな泣きボクロがあるんです。そして、ディミトリー議員には足の裏に“魚の目”があるんです……!」
クラウスの方はともかく、ディミトリーの足の裏は難易度高すぎだろッ!
てか、そんなところを見せてくれたのかよ。その時のモラヴィアニはどう思ったんだか。
「あ、足の裏って……」
唖然となるハヴァマールは、そう困惑を漏らす。
そんなところをどやって確認すりゃいいんだよ!?
けど、やるしかないんだろうなぁ。
しかし、どうやって探す……?
ほんと見分けがつかないし、本物すぎて俺は普通に戦闘していたからな。
全くの同じ分身を作り出すスキル『スケープゴード』。
なんて恐ろしい魔法スキルなんだ。
腕を組み、俺は食堂の天井を見上げた。
……対策、対策ねぇ。
分身を作るヤツなんて初めてすぎて、どう対処していいのやら……。
スコルやハヴァマール、ストレルカも同じように考え、悩んでいた。
そんな静かな時間が流れる中、食堂の出入り口から気配を感じた。みんな一斉にそこへ視線を移し、一番近くのストレルカが挨拶を丁寧に投げた。
「おかえりなさいませ、エドゥ様」
「ただいまもどりました」
もうエドゥが帰ってきた。
早かったな。
「ドヴォルザーク帝国の様子はどうだった?」
「大きな事件はありません。ですが、枢機卿暗殺の情報が大きく取り上げられ、貴族や民の間で激しい動揺が広がっています」
冷静にそう状況を口にするエドゥ。それを聞いて俺は少し危機感を持った。
暗殺のことはウワサになるだろうとは予想していたさ。だけど、こんな早く広がるとはね。
いや、アレグロ枢機卿は帝国の顔であった。
そんな彼が暗殺されたのだ。
誰だって驚くだろうな。
――って、まて。
エドゥの隣に誰かいた。その人は見知った顔だった。
確か美人女性議員モラヴィアニだったかな。うん、そうだ。あの極上美人の容姿を忘れるはずがない。
大人の色気が凄くて、逆に近寄りがたいというか。高嶺の花っぽいんだよね。
しかも、議員らしい風格のある格好をしている。
あの煌びやかな服装は、華があるな。
「お邪魔致します、陛下。わたくしはモラヴィアニと申します」
立ったまま丁寧に頭まで下げるモラヴィアニは、みんなにも挨拶を交わした。それから、彼女は俺の前で片膝をついた。
「わざわざ島国ラルゴまで来るとは、どうした?」
「申し訳ございません。大賢者エドゥアルト様には無理を言って同行させていただきました。どうしてもお話したいことがあるからです」
モラヴィアニは、まるで怯えているような表情だった。なんだ、なにを恐れている? 暗殺か?
「話してくれ」
「はい。クラウス議員とディミトリー議員のことです」
「ふむ?」
「その、二人は『偽者』だったのではないですか?」
少し言い辛そうに、まさに俺たちの悩みの種を明かす。お、おいおい……なんでそのことを知っているんだ。盗聴でもしていたのか?
「モラヴィアニ議員、あなたはいったい……」
「実は、わたくしはディミトリー議員に見せてもらったことがあるのです」
「スケープゴートか?」
こくりと頷く。そうか、ディミトリーの野郎、美人相手に偽者を作るスキルを自慢していたんだな。きっとそうだ。
ということは、もしかして……!
「お困りかと思い、馳せ参じた次第です」
「そうだったのか! 助かるよ」
モラヴィアニからスケープゴートの“弱点”を知れれば、本物と偽物の見分けがつくかもしれない。
みんなも期待感を持ち始めたようで、真っ先にスコルが「あのモラヴィアニ議員。見抜く方法とかあるんです?」と聞いてくれた。
「……あります」
「それはどういう方法なんですか?」と、スコルは続けて聞き返す。
「クラウス議員の左目には小さな泣きボクロがあるんです。そして、ディミトリー議員には足の裏に“魚の目”があるんです……!」
クラウスの方はともかく、ディミトリーの足の裏は難易度高すぎだろッ!
てか、そんなところを見せてくれたのかよ。その時のモラヴィアニはどう思ったんだか。
「あ、足の裏って……」
唖然となるハヴァマールは、そう困惑を漏らす。
そんなところをどやって確認すりゃいいんだよ!?
けど、やるしかないんだろうなぁ。
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